スノーフレーク
   SNOWFLAKE
    雪結晶のふしぎを探る

 ケネス・リブレクト 著
 パトリシア・ラスムッセン 写真
 でがわ あずさ、広田 敦郎 訳 / 山と渓谷社
 2006年11月20日第1刷発行

 今回はいつもの書籍紹介とは違って友人が翻訳した本の紹介を。

ノースダコタの農場で育った著者は日常的に「雪」と接する生活を送り彼の言葉を借りれば「伝統」そのものだった。あまりに身近すぎた「雪」がカリフォルニアに移り住んで雪のない生活の中で昔の感覚が戻ってきて雪結晶を研究するようになった。
雪結晶をはかない芸術作品として、空気中を降ってきたものを一つひとつとらえて撮影したものを綺麗なカラー写真で紹介しながら、雪結晶の成り立ち、雪結晶観察の歴史、雪結晶の形態形成、雪結晶の気象、雪結晶の多様性(空から降る雪のフィールドガイド)、と多岐にわたる解説が続くが「SNOW」が好きな方は普段楽しんでいる「SNOW」に思いを馳せながら楽しく読めるのではないだろうか。雪結晶の形成について科学的なアプローチをしながらも結晶一つひとつが『どのような歴史があるのかを物語っているのである。雲の中を旅しながら、どのように変化してきたのか』とベントレー/パーキンスの言葉を引用して『空から届く象形文字』とロマンある言葉などを使い興味深く読ませてくれる。

『想像してみて下さい。一回の降雪で何億、何兆という見事な氷の彫刻が空から舞い降りてきます-そのすべては儚く、人知れず消えていく作品。雪の降る日は、毎日がまたとないウィンター・アートの展覧会なのです』と著者は言うがこの本を読むと、またその美しい写真を見ると本当にそう思えてくる。『雪結晶ウォッチングはバード・ウォッチングに似て』いて器具にあまりお金がかからず雪結晶には『せいぜい安価な虫眼鏡だけ』で充分としている。それだけで自然が作り出す本当に小さな大傑作を自分で間近で見ることができ、条件が良ければこの本の中でも紹介されている「十二花」の雪結晶に感動するためにも今シーズンスキー場に行ったときにはたまにはガツガツ滑るのを休んでこの本で紹介されている雪結晶を探してみるのも楽しそうだ。
雪結晶は雪が降るエリアであればどこでも同じようにおもしろい結晶が見られるわけではないようだが地球上には良い結晶を見られるエリアがいくつかあり日本にもそのひとつがあり北海道の中央部が大型の結晶を観察できるプライム・スポットのようだ。今シーズン北海道SNOWを予定の方はぜひ携帯しやすい「虫眼鏡」を忘れずに。

雪結晶をイメージできれば人工の雪のゲレンデが何故あんなに固いのか、自然の新鮮な「新雪」・自然の雪結晶が持つ素晴らしさもよく理解できるだろう。また、雪結晶形成における「ファセット」構造を知ることはバックカントリーSNOWのために「雪」を勉強している方にも興味深いのではないだろうか。

まぁ、雪結晶観察の歴史とかその形成など難しいことを考えないでも全ページカラーでその半分以上に綺麗な雪結晶の写真を掲載してくれているのでそれを眺めながらページを繰るだけでも楽しい。
冷たい雨の降る今晩のような日は暖かい部屋でボージョレー・ワイン片手に今シーズンの「SNOW」に思いを馳せながら素敵な写真を眺めたいものだ。


あと1ヶ月余りでX'masを迎えるがこの本の装丁、また先のように綺麗な雪結晶の写真が多く、品の良い絵本をイメージする仕上がりからX'masプレゼントにもきっと喜ばれるものと考える。



《memo》
・著者ケネス・リブレクト博士のWebでも綺麗な雪結晶画像が楽しめる
  URL:http://www.its.caltech.edu/~atomic/snowcrystals/

・でがわあずさ氏の活動:
 「スキーマップル2007 全国版」 2006年11月発売
 日本雪崩ネットワーク
  今冬の「アバランチナイト」「セーフティキャンプ(雪上講習会)」など
   URL:http://nadare-net.jp/