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ー常永久ーシンイ二次創作

☆信義-シンイ-の二次創作ブログ☆
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心、境界線③




三日後。

ヨンが違う科の女性スタッフと別れたとの話が流れアン医師は椅子からずり落ちそうになった。


「大丈夫ですか?アン先生?」

「あ、ああ、え?付き合って間も無いのに?」

「ええ、しかも話によると飲んでいる最中に『ごめん』と言って来たみたいです」

「はあ?」

「とはいえ、前の彼女もそんな感じで振られていますから、話してみて合わないと判断したのかタイプじゃ無かったのか・・・」


呆れる様に話す看護師の言葉にアン医師は徐々にヨンの性格が危ないものではないか?とさえ思い始めていた。

あまりにも軽薄すぎる態度に彼の、いや病院の評価さえ影響するだろうと看護師に話すと何故か彼女は意外な返答をして来た。


「でも、彼女達わかって彼に言っているんでしょう?だったら文句は言えないわよね」

「え、と?」


言っている意味がわからない。


「チェ先生は来る者拒まずだけど、気に入らなければ直ぐさよならの人だと有名なのよね」

「最低じゃないか」

「でも見た目良いし、金持ちだし、将来有望だし、チャンスがあるなら・・・ねえ?」


女性側も何も無い男よりは色々兼ね備えた将来有望の男と付き合った方がステータスが上がるとでも言いたいのだろう。


「そうですか・・・」


何だか聞いていて疲れが溜まる気がすると話を終え様とし、そういえばと言葉を出した。


「この間、居酒屋で前にここにいた医師を見たよ」

「医師ですか?」

「チェ先生が入って行った個室にいてさ、赤茶色の髪で女優さんみたいな綺麗な女性だった」


アン医師の話を聞いていた看護師は途中から思い出したのか、あーと声を出し頷き始めている。


「ユウンス先生かしら?」

「多分、そんな名前だったかと」


彼は『ウンス』と名前を呼んでいた筈だ。


すると看護師はニコニコと笑う。


「数年前までいた外科医です。綺麗な方で、でも医術も優秀な先生ですよ」


在籍は約1年程だが彼女はとても明るく短い間でも実績ある優秀な医師だった為、転勤する際は上層部と多少揉めた噂もあった。


「チェ先生とも仲良かったんです。へぇ、いたんですかユ先生が」

「酔ってるのにまだ飲むと騒いでいて、いきなり席立ったチェ先生が個室向かって行ったから何事かと思ったよ」

「チェ先生が?」

「いきなり部屋から引き出して、強引に送ると店出て行ってさ。あ、会計全部俺払ったから後で返して貰わないと」


「・・・チェ先生が?」


再び尋ねて来た看護師を不思議に思い見つめると、今度は看護師が微かにアン医師へと近付いて来た。



――優しく微笑んでいる看護師の瞳が

一瞬光った気がしたのは気のせいだろうか?








「あの男性誰なんですか?」

「恋人いるんならどうして教えてくれないんです!しかもあんなイケメンを」

「あの人は恋人でも無いし、前の職場の同僚よ」

「江南の病院?あの男性医者なんですか?えー!」

「モデルかと思ってました!」

「・・・」


止まない追求とチェヨンへの賛辞にウンスの機嫌も下り始めていた。


恋人とも呼べない微妙な関係だった事も言えず、今更彼の話で盛り上がるなどもしたくない。

だが、ヨンがウンスを攫う様に連れ去り暫く呆けていた彼女達は何時もに戻るとどういう事だと騒ぎ出した。


「気付いたら男性のお連れもいなくなってるし、一体何があったのかと驚いたんですから!」

「そこは謝るけど、本当に彼は知人で久しぶりに会っただけよ」


しかし、そんな話で誤魔化される訳も無く。


「いやいや、彼ユ先生を名前で言っていました!」

「・・・チッ」


やはり聞こえていたか。


年功序列を重んじるこの国で名前を呼び合うなんて、それなりに気心が知れた相手か異性なら親しい関係しかない。


「敬語だったから彼の方が年下?」

「1歳しか違わないわ」

「江南の病院に務める程だから余程優秀なのねぇ」

「そうね」


そこは否定しないでおこう。

しかし、これ以上彼の話を広げたくは無いとウンスは社食のフロアを見渡し、あ、と声を上げた。


「ヤン先生、こちらですよ!」

「ん?」


呼ばれた男性はトレーを持ちながら席を探していたのか、ウンスを見つけにこやかに近付いて来た。


「あぁ、そこか。業者から電話が掛かって来て時間を食ってしまった」

「新しい器具ですね?取引するんですか?」


その問いにウンス達に近付いたヤン医師はやれやれとばかりにため息を吐いた。


ウンスも同僚の女性達も若いながらにリーダーとなったヤン医師の疲れた顔に心配になってしまう。この病院の人事部は大きな病院から来た医師を快く思っていないのか大病院を経ての転勤したヤン医師もまた何かと押し付けられていた。


「本当は欲しいけど、上が良いというかどうか・・・」

「確かにここは小さい病院ですし、そこまで繊細な機械はいらないと言うのはわかりますが・・・」


難しい胸部手術や血管手術などは江南の大きな病院に行った方が確かに良い。しかし、自分達も医師でありどんな患者が運ばれて来るかわからない為、常に最新の道具や器具を揃えておくのも間違いではないのだが・・・。


「私達も頼みますので」


同僚も心配そうに言いヤン医師は眉を下げありがとうと礼を述べた。



「・・逃げて来た自分にはやはり中々難しいですねぇ」


元々が気持ちが弱い人間だから。


ヤン医師はハハと苦笑し、そう言うとウンスを見る。


「ヤン先生、負けちゃダメですよ!」



まるで自分の様だと感じながらもそんな事で負けないと、

カジャ!とウンスも腕を上げ士気を高めた――。








④に続く

△△△△△△



看護師はウンスを知っているみたい。



ウンスもまた、違う病院で頑張っているんだけどね・・・。