ー常永久ーシンイ二次創作 -55ページ目

ー常永久ーシンイ二次創作

☆信義-シンイ-の二次創作ブログ☆
(小説・イラスト・日記等)
二次創作に嫌悪感のある方はオススメいたしません。





心、境界線⑦




数メートル先のヨンと確実に目が合い、ベンチの後ろに隠れているウンスとしては言い訳が出来ず、驚いた表情で此方を見下ろして来るヨンをただ見上げていた。


「・・・何してるんだ?」

「・・・お、落し物を探して」

「落し物?」


ヨンはベンチへ数歩近付いたが直ぐに止まり、ジッとその場からまだ座っているウンスを見つめ、


「・・・話、聞いていたか?」

「は、話?・・・少しだけ」


少し間の後尋ねて来たヨンにそう答えてしまうが、実際終始聞こえていたなどとは絶対に言えない。それに聞いたからといってどうするのかと此方が問いたかった。


自分は彼のどの言葉で納得出来るのか?

彼もまた自分から何を言われたいのかわからない・・・。


ヨンは「そうか」とだけ答え再び沈黙してしまう。


静寂になった空間に居たたまれずウンスが腰を上げそれじゃあと挨拶をしようとしたが、気付くとヨンも足を進め此方へと近付いて来た。


「な、何?」

「・・・少ししか聞こえていなかったのなら、もう一度話がしたい」

「嫌よ」

「・・・」


即答にヨンの戸惑う様に息を飲む空気が伝わり、急いでベンチから離れヨンの顔に視線を向けたが――。


少し俯いた彼の姿は何時の佇まいだ。

しかし、悔いている様にも見えそれを見た瞬間どういう訳か自分の心臓まで沈んだ気がした。



――・・・何で貴方が辛そうな顔になるの?

それは本当は私の筈よ。



「・・・確かに今更俺が言う資格も無いのはわかっている。・・・それに、ウンスの考えていた人生さえも狂わせたとも思ってる」


ウンスはヨンに『今更』と何度も言った。

あの時彼女が思っていたとしても既に気持ちは完結している事も――知っている。


それでも。


「・・・まだ、俺はウンスを・・・」


まだ隣にいるのが自分なら――。

きっとあの頃の自分が1番幸せな時だったのだろう。毎週週末ウンスとの逢瀬に何の疑問も持たず何時までも続くと勘違いした自分が愚かだった。



「・・・別に貴方のせいで転勤した訳じゃないし、考えがあっての事だから――気にしないで」


彼との事がきっかけでは無いが、偶然的に背中を押されてしまっただけの事。


「仕事とプライベートは別と考えているから」



ウンスがそう言うと、

何故かヨンの眼差しが少し険しくなった気がした。



「・・・それは本当か?」

「はい?」

「あの男性、医者じゃないのか?」


“男性”と言われヤン医師の事だと直ぐにわかった。

だが、ヨンの言わんとしている事が理解出来ずウンスは眉を顰めてしまう。


「確かにヤン先生は医師だけど・・・何?」

「彼から何かサポートを受けているのでは?」

「は?」


――サポートとは?


レストラン前でウンスとヤン医師の会話を聞き、彼の後ろ盾を得たのだと思ったという。


ヤン医師から後ろ盾を得られたとしてあの小さい病院で何の得があるのか?


「そんな訳ないでしょう?何考えてんの?」

「違うのか?だったら、本当に恋人として・・・」

「何?」

「・・・今の恋人なのか?」


――“今の恋人”?


ヨンの問いに無くなったと感じていた怒りが再びぶり返した。


あぁ、私は意外と執念深い人間だったのかもしれない。

言いたくなかった。

そんな事を言うと自分が小さい人間だと自覚してしまうから。

男性と同等としていたかったのか、自立出来る女を見せたかったのか。



「“今の”も何も、私達が“恋人”として周囲に見せた事も言った事も無いじゃない。ヨンから“恋人”と言われた事なんか無かった。

結局はお互い発散させる為の関係だったのよ」

「・・・今、言っても遅いだろうが、そうは思っていなかった」

「女が傍にいるのに慣れているからよ!」

「ウンス・・・」


――貴方が傷付くのがおかしい!

泣きたいのは私なのに。


頭に上がる熱を抑える事が出来ず驚愕した表情のヨンを見て更に声を上げ様としたウンスだったが、ヨンの背後十数メートル先に見えた人影に言葉を止めた。

芝生道から出て来たヤン医師が此方に気付き、近付いて来たが相手がヨンだとわかると2人を交互に見始め、そして背後からの気配にヨンも振り返りヤン医師に視線を向けた。


「・・・貴方はあの時の・・・」


「・・・」


ヨンはヤン医師と話す気は無いのか無言で見つめている。静寂になっていく空気に少し落ち着いたウンスは慌ててヤン医師へと駆け寄った。


「すみませんでした、行きましょうか」

「え?はい」


前回同様ウンスに促される様にヤン医師は歩き出したが少しだけヨンを一瞥すると、ぺこりと小さく頭を下げる。


「・・・失礼します」

「・・・」


それでもヨンは返さない。




「・・・随分とはっきりした性格なんだね、彼は」

「そ、そうですか?」

「ええ」


ヤン医師は何時もの柔らかい笑みでウンスを見下ろし頷く。


だがそれからヨンの話をする事は無く、ウンスとヤン医師は公園を後にした――。







江南の病院ではヨンが昔の女性に今だ未練がありその寂しさを補っていたという話に、嫌悪感を出す者、遊びでも良いならと盛り上がる者にアン医師はイケメンとはどちらに転んでも話が盛り上がってしまうものだと理解した。


少し変わったのは、数日前からヨンが何時もの落ち着きから挙動不審気味になり始めている。

考え込んでいたと思えば、頭を掻きだし唸り出す。


何があっても静かだったヨンの姿にとうとうアン医師が声を掛けると、ヨンはゆっくりと顔を上げ憔悴した眼差しを向けて来た。


「おいおい、どうしたんだ?チェ先生?」

「・・・昔の自分を殴りたくて仕方ない」

「今思ってもね・・・だから“後悔”て言葉があるんだな」


終わってから知った自分の初恋や恋愛を思い出し、彼もまたそういう状態なのだろうと感じた。

しかも、好きな人は今だ近くにいて現在別な男性といるのだから――そりゃあ、辛い。


謝罪行脚も彼女に向き合う為の整理だったのだろうが、彼女が許してくれるかは別問題なのだ。



「・・・待つしかないんじゃないのか?

気が済むまで待って駄目なら諦めるしかない」


「・・・」


ウンスがあの時に言ってくれたら・・・なんて事は思わないが、本音を言わなかった、気持ちに気付かなかった自分は本当に愚かだ。



あの時、ウンスの後を追い去って行く男性医師の眼差しは確実にヨンを観察していた。


柔らかい瞳の奥から放つ冷たい光はウンスを傷付けるなと言わんばかりの怒りで、ウンスに甘えていたのはお前だとあの目は言っている。




次は選ぶのはお前では無くウンスなのだと――。









「・・・・・・え?」





「ユ先生、あちらの病院を辞めるそうです。他の病院にも転勤申請はしなかった様で、実家に帰るとの話らしいです」



――更にウンスとの距離が自分から離れていく。

彼女の中に自分が居座る場所はもう無いのか。




イ医師の話に、

ヨンは呆けた声を出しただけだった――。







⑧に続く

△△△△△


ウンスさん、病院辞めるみたい。😶






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冬も来日☃❄やったー!❣️