蝶が舞う頃に㉕ | ー夢星石ーシンイ二次創作

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※少し原作やドラマに被る部分がありますが、あくまでもこの話は“蝶が舞う~の中の二人”ですので、そのつもりで読んで頂けるとありがたいです。

蝶が舞う頃に㉕【最終話】




ウンスは自分の中の青年とヨンの姿が重なってしまい、違いを見つけるのが難しい状態になっている。

最近になって何処で見た事があったかと微かに過ぎったが、そんな筈は無いと頭の片隅に追いやったのだ。
有り得ない、彼は何処かの裏社会の若者だったのではなかったか?
こんな大昔の彼では絶対に無い筈だ。

でも・・・。
だったら、どうしてそれを知っているのか?

顔半分を未だに隠しているヨンに質問しなければならないのに、激しく鳴る鼓動と聞いて大丈夫?と問うている自分もいる。



彼と私にしかわからない事。



それは。



「・・・・・・・目?」


――・・・まさかよね?


貴方ではないわよね?

そう続けたかった。



なのに、


「何で、それを・・・・・・貴女が・・・」



――・・・嘘でしょう?


ウンスは包んでいたヨンの手をぱたりと落としてしまった。




手が離された後も、ヨンは硬直したままウンスを凝視している。

頭の中は真っ白なのに、終始ウンスにあの天女が重なっているのだ。

まさか、違うだろう。

俺は何処かに行った地方の女人を――。

いや、そうでは無い。
その後に再び行った時には小屋も近くに家も何の痕跡も無かった。

だから女人を“天女”と呼んだのだ。
数日間だけ見た夢。
自分は桃源郷へ行ったのだと思う様にして。



確かに数えれば十年以上前で、
この方も自分と同じ歳で――。



――・・・嘘だろう?


ウンスが少しずつ後退りし離れて行こうとしているのに気付き、ヨンは思わず手を伸ばそうとしたが、
左手は血塗れ、右手は凍傷と動かすなとの言葉を思い出し直ぐに下ろした。



再び訪れた静寂。

しかし、見つめ合った二人は先程とは違う混乱と表現し難い感情に何の言葉も思い浮かばないでいた。

相手が先に話すのを待つ。
だが、その言葉を恐れてもいる。



「・・・・・貴方、だったの?」



長い沈黙の後、ウンスが小さい声で尋ねて来る。

だがその言葉だけで、ヨンには充分だった。


この方が、
“天女”だった――。



驚愕したままウンスを見つめ、ウンスもまた小さい口をポカンと開け、
有り得ないと言わんばかりの表情をヨンに見せていた。

「小屋・・・」

何処から尋ねれば良いのかわからず、頭に浮かんだ言葉を口に出すと、ウンスは驚いた顔のまま返事をする。

「・・・あれは、山の所有者が売ってしまって数年前に無くなったわ」
「・・・・・」

あの山はやはり、この地では無かった。
だから師匠達も探しに来れなかったのだ。
自分は何時からあの山に入り込んでいたのだろうか?


いや、そんな事よりも・・・。

「・・・お前、いや、医仙・・・いや・・・」

どう呼べば良い?
どうすれば、近くに来てくれる?

僅かに離れてしまった距離に、その分焦る自分がいてウンスを呼ぶ言葉さえ躊躇してしまう。

――あぁ、くそっ、手が使えないだろうが!

苛立ちに右手を上げ拳を作ろうとすると、それを見たウンスが慌ててその手を握って来た。

「何してんの?!無理しないでって・・・」
「手」
「え?」
「医仙の、・・・手が握りたい」
「・・・」
「いや、貴女だったんだな・・・」
「有り得ないわ・・・」
「しかし、・・・匂いも、髪も、・・・肌も」
「?!」

やっぱり彼も覚えていた、二人だけの時間を。

数日間しか会っていない男と山小屋で身体を重ねたなど、初体験にしては随分と変わった思い出の部類に入ると友人達に話す事は出来なかった。
一人だけの特殊な秘密は心の隅に置いてもふと出て来る時もあり、きっと恋人が出来てもこれ以上の経験は無いだろうと考えていたのだ。

結局は医学部時代に辛い経験をしただけで、大した男と出会う事も無かったが・・・。

冷たいヨンの手を握り、ふと視線を顔に戻すと彼はウンスからずっと目を離していなかった。

「・・・」
「・・・な、何?」
「いや・・・」

見たかった天女の顔はこうだった。

ずっと考えていた事が今わかり、中々逸らす事が出来ない。それに、ウンスが自分の手を握る度にあの時の慣れない二人の閨事を思い出し顔が熱くなっていく。
男の威厳も何も無く、ましてや女人に準備をさせてしまうという随分と情けない姿を自分はこの方に見せていたのだ。

微かに赤くなったヨンの顔に気付いたウンスは、大丈夫?と心配そうに尋ねて来る。

そうでは無いと言い、

「・・・情けない姿を思い出したんだ」

その言葉に少し間の後、ウンスも何かを理解したのかボッと顔を真っ赤にさせた。

――あの時もこんなに赤くなったのだろうか?
・・・見たかった。

変わっていくウンスの表情を近くで見たいと、再び顔を隠し始めた髪に触れた。

「・・・」

じり。
じり。

ヨンが近付いた分ウンスが少し退いていく。

「見たいんだが・・・」
「えと、でも・・・」

通行人は逢い引きだと思われるかもしれないが、夜とはいえ外に誰かはいるのだ。
そもそも、近くにはテマンが待っているのではないか?
ウンスにそう言われ、ヨンも素直に従い漸く身体を離していったが、それでもウンスはヨンの手を握ったままだった。

「後遺症が無くて良かった・・・」
「・・・イムジャのおかげです」

ウンスは彼からずっとその言葉を聞きたかった。

「ずっと戻ろうか、後悔していたから・・・」

山を下りている最中も何度も振り返っていた。
やはり一緒に下りようか?でも、彼の頑として拒否する理由は何なのか?と・・・。

「・・・イムジャ」

握られた手を軽く引くとウンスの身体は何時の抵抗感も無くそのままヨンの厚い胸元へと入って来る。
直ぐ様腕をウンスの背中に回し、ヨンは片腕だけで強く抱き締めていた。

『自分から離れるな』

だが、自分の大切な人達は誰も残ってくれなかった。
違う、離さなければ良かったんだ。
全ては天女から始まっていたのだ。
自分が何故この方を天界から連れて来たのか。


――そういう事だった。

「・・・諦め切れなかった。必ず迎えに行くと言った言葉は嘘では無いんです」
「・・・まさか、こうなるだなんて・・・嘘でしょう?」

たった一度だけの秘密の時間。

しかし、消えない記憶として二人の奥底に深く入り込んでいた。

「・・・あの時、私が断れば良かったの?」

――そうすれば、何かが変わった?

「拒まれたら、それまでだと・・・いや、どうだろう」

せめて何か一つだけと、接吻だけでも強請っていたかもしれない。
小さく呟くヨンの言葉にウンスは、目を丸くして抱き締められたまま顔を向けた。
先程より近い距離にお互い見つめ合い、一瞬で揃って視線を逸らしてしまったがヨンの抱き締める力は変わらずウンスは離れられないでいる。
ヨンも抱き締めるとよりわかるウンスの匂いに、やはりこれだったと髪に鼻を埋めてしまう。

「ちょっと、私昨日髪洗ってないんだから・・・」

毎日風呂に入ると言っていた天女を思い出し、ヨンは鼻を埋めたままくつくつと肩を震わせ笑い出した。

「大丈夫です。・・・イムジャの匂いはこの地には無い良い香りがする。だから消えなかったんだ・・・漸く探し出した」
「見つけたというの?これ・・・?」


『貴方は過去の男に会う』
占い師の言葉は嘘では無かった。


裏社会の若者でも何でも無く、ましてや現代の人でも無かった。調べるとこの人がきっと有名な偉人だという事もうっすらわかって来た。私はあの時からとんでもない人を助け、一時を過ごしてしまっていたのだわ。

それでも、
ウンスはゆっくりと手をヨンの頬に寄せた。

――良かった。

記憶と一緒に付き纏っていた後悔は漸く消えている。

苦笑するウンスを首を傾げて覗いて来るヨンに、あぁ、あの青年もこんな仕草をしていたと徐々に思い出しているとヨンが頬に唇を寄せて来て、



「イムジャ、・・・もう一度、良いですか?」



・・・何を?何処まで?

最後までしてしまった二人に
はたしてここまでと線引きはあるのだろうか?

ウンスは思ったがそこは口には出さない。


「そうね・・・キスだけなら」
「?」

口を指差し言うウンスの言葉の意味がわかったのか、少なからずヨンの口も拗ねた様になった。

「それは・・・」

今更そこまでで終わりはないだろう、
やはりヨンも思った様で――。


「おそらく、無理だと思うが・・・」


そう囁きながらそっとウンスの薄い唇に自分のを合わせると、あの懐かしい感触に感嘆の息が漏れる。

僅かに離しゆっくり目を閉じていくウンスを確認した後ヨンも瞼を閉じ、

この香りと共にあの山小屋での甘美な記憶の中へと入っていったのだった――。














「あ、戻って来た!」

橋の上で落ち着かない気持ちで二人を待っていたテマンはヨンとウンスの姿を見つけ、
おーいと大きく手を振り走り出そうと階段を飛び降りたが、ピタリと直ぐに動きを止めてしまった。
二人仲良く帰って来たのはきっと誤解も解けたのだろう。

しかし、何かが違うと感じた。
気のせいだろうか?

隊長がちらちらとウンスを見下ろしているのだが、その眼差しが何時もと違う。
ウンスも見上げているが、どことなく恥ずかしそうでもある様な・・・気のせいかな?

走り出せず佇んでいるテマンにウンスが気付き、手を上げ此方に向かって駆けて来ようと足を踏み出した。

――が。

いきなり、後ろからヨンがウンスの手を掴みその動きを止めてしまった。

「向かっているのだから、走る必要はないでしょう?」
「え?」

驚いたウンスはヨンを振り返り見上げており、
ヨンは少し不機嫌になっている。


「・・・・あ、れ?」

テマンはどういう事だ?と混乱した。

だが、今までヨンに付いていたからか、隊長が一瞬で不機嫌になったのは瞬時に気付いた。

・・・あ、何か、オイラ・・・。

「た、隊長!」
「何だ?」
ムスッとした顔と低い声でやはりと理解する。

「さ、先に報告に、帰ります!」
「そうしろ」
「は、はい!」

下りたばかりの階段を二段跨ぎで上がり反対の道へと走り出す。一瞬だけ後ろを振り返り、二人を見るとヨンがウンスに向かって何かを話している様だった。



「・・・え?!」

だが、叫んだのはそこではなく、
ヨンの手がウンスの腰に回されている事にテマンは驚愕した。
一瞬だがヨンの鋭い眼差しが此方を向いて来た為、慌てて前方を向きそのまま走り出したが――。


・・・ど、どういう事だぁ?


チャン侍医と医仙が何でもない事も、隊長がウンスを少なからず気にしているのも知っていた。だが、あんな風にあからさまに女人の腰に手を回すなどテマンは見た事がない。

わからない、何があったのか?
女人の話をよくするトルベなら教えてくれるかな?
先にトルベの所に行かなくては!


テマンは先程町中で巡視をしていたトルベを探そうと、商店が並ぶ中へと行先を変え走り出した――。






【蝶が舞う頃に】―終わり―
△△△△△△△△△△△△△△

ここまで読んで下さった方々本当にありがとうございました。✨
外だから、外だし。二人は何処までしたのかは大人の考えでよろしくお願いいたします。🤭
とりあえず、ヨン氏は天女はウンスだ!💕と大喜びなので、自分が言っている体面どうなの?になっていくのかと♡
他のに比べ、既に関係持っていますので少しは大人な関係なのかしら?腰触っていたし・・・🐱
先に関係持って娶るまで言ってますので、離さないでしょうねぇ・・・。

そんな話(ちと、大人な話も)はまた後で・・・🥰ウフ


この話の続きが出る際は、何かの記事の下に“お知らせ”しているかもしれません💁‍♂️その時はヨロシクデス✨





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