蝶が舞う頃に⑤
テマンはわかっている。
隊長の眼差しが以前とは違う事に。
天門での出来事で隊長に対しあの天の女人は怒っていた。だけど、隊長に一つ罰を与えただけで後は許してくれた様だ。本気で殺す勢いだったら、隊長の腹等治さなかっただろう。
その後、隊長は天の女人を助ける為に傷も完治していないのに追い掛けた。
その時に何となくだが、テマンには隊長はこれからも王宮に残るのではないか?何時も遠くを眺め、何処かに行こうとしていた隊長があの天人を守っていくのではないか?
そんな考えに嬉しくなったのだ。
――だが。
天の女人をキチョルから取り戻した途端、
二人は話もしなくなってしまった。
あの天の方は隊長も見もしなくなり、あの美しい笑顔をチャン侍医に向け始めたのだ。
見ると隊士達も何かと隊長の様子を伺い、心配し始めている。
あぁ、どうしよう・・・!
このままでは隊長が再び宮殿から出ようと気持ちを変えてしまう!
どうすれば良い?でも自分には何も思い浮かばない。
何も出来ない自分が歯痒いと、テマンは髪を掻き毟り悩むのだった――。
そんな事を皆思っていたある日、事態は変わっていった。
「オイラも付いて行く!」
「煩い、付いて来るな!」
一人何かを決意した様にヨンは暗闇の町中に消えて行く。
橋の上でただ呆然と彼の背中を見送るしか出来ないテマンは、どうすればと空を仰いだ。
――誰か、誰か来てくれ!!
ふとテマンの頭に過ぎった顔は何故か仲間では無くあの天人で、教えた方が良いだろうか?と足をさ迷わせる。
今まで隊士達の言う事など無視して来た隊長が、あの天人の言葉だけは必ず耳を傾けている。顔は違う方に向けているのにまるであの女人の声を聞きたいかの様に・・・。
それに時々苛立つ空気も出すのに必ず見るのだ。
どうしてだろう?嫌でも良いでも無いなんて・・・。
だが、今の隊長は。
あの女人から拒まれたからでは無いと思うが、
隊長の瞳はテマンを通り過ぎ死へと向かっている様にも見え、先程から怖くて仕方がない。
テマンは祈る様に手を組み震えを抑え込んだ。
刻刻と時は過ぎ、
生暖かい風だけが橋の上を通り抜ける。
もう我慢が出来ないとテマンは足を進め様としたが、その時遠くから馬が駆けて来る音がした。
振り向きその姿を見ると馬上にはあの女人がおり、髪を靡かせ此方に向かって来る。
早く!と心の中でテマンは叫んだ。
馬から下りた天人に隊長が去って行った方角を指差し教えると、ありがとうと礼を残し再び其方に駆けて行く。
――・・・きっと、あの天人は人生を諦めた様に過ごす隊長に光を与えに降りて来たのだ。
命を分け与えたのは、そういう意味だった。
テマンは再び手を握り、
ウンスが消えた暗闇を凝視するのだった――。
⑥に続く
△△△△△△△
・・・はい、隊士達の話はここまで。
追加話は後少し足されますが。
次からは、ヨンの昔のお話。🦋~✨
と、
今のヨンのお話。🗡
が時々交互に出たりします。
それを読んでいくと、ヨン氏の今までの話に繋がるかもしれないですね。( ˙꒳˙ )✨
※色文字は⑦話が更新すると消えます。
(色文字の序奏を踏まえて過去話をお読み下さいませねー( ᴖ ·̫ ᴖ ))
