
蝶が舞う頃に①
「・・・はぁ、もう何なの?人間を物と勘違いしているんじゃないの?!」
ウンスは机に湯呑みを強く置き、中にある茶が跳ね飛んだ。
チャン侍医は静かにそれを布で拭き、何処かから持って来た菓子を置く。
「どうぞ」
「あ、ありがとう」
ウンスの怒りをさらりと躱し正面に座るチャン侍医に、怒気も薄まりウンスはもう一度長いため息を吐いた。
「・・・でも私には医仙を助ける為にしたのだとわかりましたが。・・・医仙は違いましたか?」
「それは・・・」
慶昌君の腹上に溜まった血溜まりと彼の腰に仕舞った血の付いた短刀。
瞬間を見なくても彼が何をしたのか明らかであり、ウンスは思い出す度に怒りと悲しみで苦しくなる。
可愛らしく現代の話を興味深気に聞いていたあの少年はあんな場所で幼い命を亡くしてしまった。
本当は誰か家族にでも看取られた最後が良かったのだろう。ウンスはキチョルの屋敷にいる間もずっとそんな事を考えていた。
何方にしろ、若い子が一人寂しく
・・・はあまりにも可哀想だ。
・・・だが、あの時自分は興奮していたが、もしかしたら彼も泣いていたのではないか?潤んでいた瞳を思い出し、自分以上に辛かっただろう・・・。
ふと、そう思っていたのに――。
あれが私を助ける為ですって?
数日経ってもウンスの怒りは中々収まらなかった。
「あの人のせいで私は罪人の身よ。医者が罪人まで落ちたのよ」
ぶつぶつ言うウンスにチャン侍医は小さくため息を吐き、ウンスの湯呑みに新しいお茶を注いだ。
酒を所望したウンスを優しく窘め、そのかわり話を聞く事で茶と菓子に変更出来た。だが、ウンスの話は脈絡が無くチャンビンもとうとう机に肘を付きただ黙って聞いているだけになっていた。
・・・確かに酒は飲ませていない筈なのだが。
それでも机をバンバンと叩き、今まで腹に締まっていた不満をぶちまけているウンスにそうですか、と頷いた。
「チャン先生は話しやすいわ。私そういう人好きよ!」
「すき?」
「好き・・・想い想われ・・・慕うという事かしら?病院にも相談に乗ってくれる同僚はいたけど、皆腹の中では誰よりも功績を残す事ばかり・・・私もなんだけどね」
「・・・医仙は戦う相手が欲しいのでは?」
だから、隊長に食ってかかる。
「違います!それとこの問題はまた別よ!あれは何も言わなかったあのチェヨン氏が悪いの!」
ダンダンと足を鳴らせてまるで駄々っ子だ。
チャン侍医はふと思ったが、ん?と閉めた窓側を見た。
「何?」
「・・・いいえ。
もう月も雲に隠れ暗くなりました。部屋に戻らないと」
「えー?話聞いてくれるんじゃなかったの?もう帰るの?」
「・・・医仙」
はぁーと長いため息が出てしまう。
男を留める言葉を吐くのはこの方にとって問題無いのだろうか?
酔ってないのにこれとは。
「・・・・・」
チャン侍医は再び部屋の扉側をちらりと見たが、
少し間の後、顔を戻しわかりましたと返事を返す。
「・・・少しだけですよ」
「ええ!―でね、あの屋敷にいて思ったんだけど・・・」
止まないウンスの話に、チャン侍医は小さく頷くだけ。
そんな事で二人の夜は更けていったのだった――。
②に続く
―――――――――
いきなり始まった違う話。
ですが、違うお話の合間にちょいちょい入ってきますが、エントランスや君降るが基本ですので本当にこれは気まぐれです。
既に知っている方もいらっしゃるかもしれませんね。
(間に省いた部分を足しておりますので、ここ知らないわてのがあれば嬉しいです☆)
・・・結構溜まったので、✋( ˙-˙ )コチラに少しずつ載せます〜。
※前のイラストは記事を少し変えてイラストとして移動します(はたしてあそこまで行くのか?笑)
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