あの場所でもう一度◇(1) | ー常永久ーシンイ二次創作

ー常永久ーシンイ二次創作

☆信義-シンイ-の二次創作ブログ☆
(小説・イラスト・日記等)
二次創作に嫌悪感のある方はオススメいたしません。




△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△
あの場所でもう一度◇(1)





「あ、すみません」
「いえ、こちらこそごめんなさい」

信号待ちをしていたイ医師が鞄を持った手を動かした際に後ろにいた女性にぶつけてしまい、慌てて謝罪をし頭を下げると、
女性は大丈夫ですと言い顔を上げイ医師を見上げて来た。

「本当にすみませんでした」

イ医師はそう言い、女性の顔を見つめ一瞬止まったが直ぐに顔を逸らし自分の家の方角へと歩いて行く。数メートル離れた時にイ足を止め後ろを振り返ったイ医師だったが、その女性は既に歩き出していて雑踏に紛れてしまい見えなくなっていた。

・・・何故自分は一瞬止まってしまったのだろうか?

不思議に思ったが、それ以上考える事なく再び顔を前に向けると歩き出したのだった。




「イ先生、どうしたんですか?」

隣りに座るヨンが尋ねて来て、イ医師は自分が少し呆けていた事に気が付いた。

「何でも無いですよ」

暑いからなぁ、疲れたのかな?首を軽く回すイ医師にヨンは、だったら今日は飲みに行きますか?と聞いて来る。

「あれ?チェ先生、ユ先生と約束があったんじゃ・・・?」
すると途端にヨンの笑顔が消え、どよんと淀んだ空気を放ち出した。

「この間、食事する約束をしたのですが・・・クリニックでスタッフの研修が始まり中止になりました」

新しく入ったスタッフの研修が始まり、クリニックが終わっても何時に終わるかわからないので、暫くは食事云々は無理だと断られたという。


――だから誘って来たのか。

先週はウキウキと帰って行き次の日には更に機嫌が良くなっていたから、何か良い事があったのだろう。とうとうお泊まりでもしたか?と思ったのだが。

「お熱い事で・・・、だけど少しは我慢しないとな」

向こうも仕事があるのだから、女性が疲れちゃうよ。


しかしイ医師の言葉にヨンが顔を向けて来た。

「は?何を言っているんですか?」
「え?」
「え?」

「「・・・・・」」

二人の声が重なり、その後は黙ってしまう。

あれ、何だ違うのか。
・・・遅。


「・・・うん、ごめん」
「イ先生、今軽く笑いましたよね?」

顔を逸らしヨンを見ない様にしているイ医師を隣りから、何故目を逸らすのか?と顰めた顔で問うて来るヨンがいた。




再びイ医師は街であの女性を見掛けた。

それは何時も行くコーヒーショップの近くに立っていて、スマホを見ている姿だったが買い物帰りなのか大きな紙袋を持っていた。
この間はちらりとしか見なかったが、年齢は自分と同じにも見える。身長はそんなに高くないが、可愛い部類に入るのではないか?
ふとそんな事を考えていると後ろから声を掛けられ、久しぶりに聞いた高い声に急いで振り向いた。

「ユ先生!」
「あ、やっぱりイ先生だわ!」

久しぶりと笑うウンスにイ医師もニコリと笑う。

確かに彼女とは前よりも会う頻度が少なくなってしまったなと寂しく感じていた。今は元同僚という立場で自分達が時々クリニックに遊びに行くか、この様に街で偶然に会うだけになってしまった。ヨンだけはせっせと毎日の様に通い、週末には何かとウンスを誘っている様だが。

「えー、3ヶ月ぶり?」
「そうですね、コーヒー買いに来たの?」
「えぇ、久しぶりに飲みたくなって・・・あら、じゃあ中に誰かはいるのかしら?」
「いるんじゃないかな?チェ先生もいると思うよ」
「あら、そう?」

最近研修で会えていないというヨンは、再びイ医師とキム医師達と合流し夕飯を食べに行っている。
しかし、話す事はほぼウンスの話ばかりになってしまうのだ。

「今から、ご飯食べに行くの?」
「一緒に行く?」
「久しぶりに行こうかなー」

早めに今日の研修が終了したと言うウンスにだったら決まりだね、そうにこりとウンスに笑うと彼女を促し店内に入って行く。

入る瞬間ちらりと店の前の道路を見たが、既に誰もおらず静かな夜の街になっていた。


「―ッ、ウンスさん?!」

ウンスの姿を見つけ椅子から立ち上がったヨンと、
ウンス先輩だー!と嬉しそうに手を上げたキム医師が座るテーブルへと二人は歩いて行った――。




・・・・

・・・





「おぉー、チェ先生の家凄いね!」

「・・・元は両親が契約していたマンションだったんです」
「いや、その歳でここに住んでいる事自体凄いと思いますね!わ、2階改装して吹き抜けにしてる!」

わぁ、と口を開け高い天井を見上げたり、広いベランダを見てポカンとしているキム医師と、景色が良いなぁとイ医師は窓から外を眺めている。



「・・・・・」

ヨンは最初驚きで頭が回らなかったが、徐々にもやもやとした気分になりだした。

「・・・何で、この二人がいるんだ?」
何も考えていなかった訳では無い。

ウンスを自分の家に招くという事は、それなりに自分の中での覚悟や準備を完璧まではいかないがしていたというのに。


――面倒くさいなぁ。



ヨンは笑顔を作り彼らの質問に答えていたが、
ひくひくと口角を引き攣らせていたのだった――。







◇(2)に続く
△△△△△△△△△△△△△△


ちらりと先に。

(29)に載っていますが少し修正した部分もあります(*´`)




🐈参加しております🐤

にほんブログ村 小説ブログ 韓ドラ二次小説へ

にほんブログ村



🦌🦅🦮🐧🐈🦊🐤🎶

カムバまで応援キャンペーン💖⚑”