あの場所でもう一度⑵
・・・俺には嫌いな女性がいる
ヨンは長年の夢だった自分の国に漸く帰って来た。
江南区にある大きな病院に勤務が出来て、
アメリカで頑張っていて良かったとも考えていた。
一時期は医者を止めてスカウトされたモデルの道に行こうかとも悩んでいたが、やはり諦めきれず精神がおかしくなる位に勉強して医大に入り何年かのインターンも含め長い間頑張り漸く医者になれたのだ。
アメリカで幾つか実績を積んでいる時に、此方の病院に韓国から来る者がいると聞いて“だったら自分の希望も通るだろうか?”と申請を出すと何と江南区の大病院から快い返事が返って来て、引きの良さに思わず自分の部屋で嬉しさのあまり声を上げてしまった程だ。
やはり両親からは心配されたが元々家業等長男の兄貴が継ぐとわかっているし、会社自体自分の物にはならないと小さい頃から自覚している。
俺は俺の道を進みたい。
以前住んでいたという両親が買っていた江南区のアパートを自分名義にして貰い、これからここで頑張っていく決意を決めて病院に入って行った。
――だが、やはり歓迎半分拒絶半分で、
その中でも何故か一番態度に示して来たのが美容整形外科のユウンスという女性だ。
まず初めて廊下ですれ違った時にあまりに綺麗過ぎて思わず凝視してしまった。
赤茶色の靡く髪にもつい目がいってしまったが、ふと彼女は此方を見てヨンの顔を見た後ネームプレートをじっくり見ると片眉を上げ、フンと目を逸らし歩いて行ったのだ。
・・・まるで“何故ここに来たの?アメリカにいれば良かったじゃない”
彼女の瞳がそう語っていたのだ。
そんな眼差しにショックと怒りが湧いた。
今まで苦労してきた自分の過去を彼女に言うつもりは無いが、彼女からそんな眼差しを向けられる謂れもないだろう?と腹が立ったのだ。
科が違くとも時々すれ違う事があり、冷たい眼差しを向けられ徐々に自分も同じ反応を返す様になった。
・・・病院内で一二を争う程の美人が美容整形外科にいると聞いていたんだがな。
まぁ、確かに?綺麗だとは感じたけどさ・・・。
意外と彼女て性格悪いんじゃないのか?
もしかしたらあの顔に自信があり色々遊んでいるタイプかもしれない。
「・・・あぁ、駄目だねそういう人は」
・・・そういう女が一番嫌いだな。
2ヶ月経ちそれなりに落ち着いて来た頃病院で新しく入って来た新任や転勤者のお祝いも兼ねて歓迎会をしようと話が進み始めた。
ヨンを狙っている女性達はここぞとばかりに参加をし、それは男性側にはつまらないが他が余る訳でそこを狙っている者達もいた。
そして実は密かに男性達から人気があるのがウンスで、彼女が最後迄参加するのかわからず男性達の誘い合戦が始まっていたのだった。
「ユ先生、是非参加しましょうよ」
「他の科の人とも話す良い機会ですから」
「・・・そうね、どうしようかしら?」
ウンスも男性達側から誘いを受けている事に、少々気分が良くなりにこやかになってしまう。
スタッフ用食堂でウンスの周りに男性達が集まり、誘っている風景は去年もあった為この時期になるとメス鳥に集まるオス共の様だと静かに眺めている者達までいて、離れてその様子を伺っていた。
――何故皆見てしまうのか?
それはウンスは歓迎会に一度も参加した事は無いからだった。
彼女は今の時期になると細胞研究のレポートを書く為部屋に篭ってしまい、誰もいなくなった研究棟で一人黙々と細胞研究をしている事は前からいる職員達は知っている。
故に誘っても意味が無いのだ。
見た目が華やかなだが本質はやはり真面目な医者で、その勤勉さも病院内では好まれている為に、結局は誘う人も絶えなかった。
「えぇ、そうねぇ・・・」
ウンスが困り顔をしてちらりと食堂の入口に視線を向けると丁度入って来たヨンと目が合ってしまった。
ヨンはその光景に少し驚いた様だったが、あからさまに口端を上げ笑うと・・・。
――良いご身分で。
口がそう動いたのをウンスは直ぐ気付いたのだった――。
(3)に続く
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・・・ヨンさん、凄いウンスの顔見る人でもある。笑
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