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ジグザグ(20)
「何だ、これ?」
最初に気付いたのは二ヶ月前、そのメールを見てテスははぁ?と首を傾げてしまった。
変なメール。
その時はそれしか感じなかったのだが。
「それ、消さないで取っておいてくれ」
同じ外科という事もあり聞くと、何故か友人のジュユンが言って来るので一応保存はしておいた――。
事務仕事をしているとジュユンからのメールがスマホに届き、自分が事務室で使っているメルアドを教えろとの内容。
「何で?」
病院の物なのだから私用には使うなよ、と一言付け加え教えたが、
数時間後来たのはジュユンからのメールでは無かった。
「あぁ?」
またかよ?意味わかんねぇな。
しかしジュユンの事だ、イタズラする為に聞いて来た訳では無いだろう。
「うーん、保存、保存、と・・・」
そして診察時間が終了し、仕事が終わったし自分も帰ろうとしているところに事務室の入口からジュユンに呼ばれ近付くと、あの変なメールの送信者がわかったという。
しかし今は教えられないらしく、来た物全てをコピーしておいてくれと言って来た。
「チェ先生て、こんなに恨まれてんの?」
「どうだかな・・・」
ジュユンの言葉は何かを濁した感じに聞こえ、とりあえずチェ先生がイケメンだからか、僻みか、やはり本人の性格の問題か?
・・・まぁ、自分には関係無い事なんだけど。
しかし、内容が細か過ぎて気持ち悪いなぁ・・・。
イ医師は人事部長と話がしたいと言い、あの個室に入って行った。
「チェ先生に関して、おかしなメールが来ているんです」
「それは人事部にも来ているが、他の職員から聞くと確かにチェ先生が暗い雰囲気で仕事をしていたと聞いたのだが?」
「はい。それはここ数カ月の間にありました。ですが、彼にも事情があったのだと思います。
上層部が判断する前に、まず彼から話を聞いてあげて欲しいんです。それは外科医皆の気持ちです。」
イ医師が話すと、人事部長もそうだなぁと腕を組み頷いている。
「彼を見ていても、優秀だし驕った所も見られないから、そこは・・・。・・・わかった、明日チェ先生に聞く事にしよう」
「ありがとうございます。彼は正直に話してくれると思います」
その会話の中でイ医師はヨンに対して来ているメールが事実で無かった場合、メルアドを調べ送信者を探す為に院内PCを復元する事の許可を得た。
「院内?内部の者が?」
「まだわかりませんが、何個かはメルアドを保存しています。・・・同じ病院の職員が、同僚の営業妨害をしている可能性があるんです」
「・・・ふぅむ、わかった。
今日の騒ぎの事もあるし、明日チェ先生から確認次第返事をするで良いかな?」
「お願い致します」
・・・で、チェ先生が人事部に大人しく謝罪か、理由を言えば大丈夫だろうと思っていた。
ヨンが帰って来る前にイ医師のデスクのパソコンには人事部から、話を聞いてヨンに対するクレームメールは事実では無いと判断した。
・・・と返事が来ていたのだった。
――よし、これで大丈夫だろう。
罠に掛かったのはそっちだけどな。
イ医師は黙って二人の様子を見学する事にした。
―――なのに。
「ぐはっ!」
・・・一体チェ先生は人事部に何の話をしに行ったのか?しかもウンスとの話を聞いて人事部は事実では無いとどういう判断になったのか?
可笑しすぎるだろう?!
まさかそんな話で人事部が許可をするとはっ、と耐えられなかったイ医師だった――。
看護師がギリギリとヨンを更に睨み付ける。
「貴方が女性を大事にする訳無いじゃない」
ヨンは少し眉を顰めるが、何かを発する事は無く黙っている。
・・・また言い返さないか?
イ医師は笑いを止め二人の様子を見ていたのだが、ふと周りを見ると再び廊下に職員達が集まり始め、
昨日の今日でまたヨンが修羅場状態なのか?と興味深そうに伺い始めている。
・・・しかし今回はイ医師は動かず黙っていた。
「高校生の頃迄は確かに誰でも良かった。近くに来る女なら誰でも」
「・・・それで飽きたら直ぐ逃げるのよ」
「あぁ、めんどくさかったし」
「結局本性がそれなのだから、何年経っても治らないわ」
肯定して来るヨンに少しのイラつきと、何を考えているのだ?という険しい眼差しだった看護師にヨンはうんと突然頷いて来た。
「そう、治らなかったんだ」
「・・・?」
看護師は意味がわからず言葉を止めてしまう。
「ウンスに言われたよ、俺は最初から変な貢ぎ癖があったと。だけどプレゼントをしても向こうは何の反応もしてくれない、駄目か?もっとあげないと、良い物を贈らないと駄目か?と焦っていたのは自分だけだった」
大学生の頃からウンスに纏わり付き、自分が何でも出来るとアピールしていた。
なのに。
「それを話したら昨日、ウンスに笑われた」
「は?」
「昔からウンスは俺に何も頼む気も、強請る気も無かったと」
何故なのか?
「俺は金持ちの息子だが、その金で大学に来ているただの学生にすぎないと。しかも俺に何の力があったのか?とも聞いて来た」
看護師は目を大きくし驚いていたが、イ医師はくすりと笑いユ先生らしいと思った。
きっと負けず嫌いな彼女の気持ちもあったのだろう。
「ウンスだけだったよ。俺に何かを叶える力なんて無いのをわかっていたのは」
しかしウンスはたとえ反抗心からだとしても、ヨンが親とは違う道である医者を目指す事は凄いと褒めてくれたのだ。
「・・・優しくされたかったんじゃない?褒めてくれたから懐いただけよ」
「・・・そうかもしれない、けど、自分を理解してくれたウンスの優しさだけ欲しかった」
昔みたいに知らない女じゃ、また同じ事の繰り返しだっただろう。
そう言うヨンを見て、看護師は小さく舌打ちをし再びヨンを睨み付けた。
「人事部にとあるクレームのメールが頻繁に来るらしいんですよ」
「・・・・・」
イ医師がいきなり話をし始め、ヨンはチラリと壁に寄り掛かるイ医師に視線を移し、看護師も鋭い目だけを向けて来た――。
(21)に続く
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まだ続く。汗
漸く連勤が終了〜(=-ω-)☆
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