ジグザグ(12)
※ヨンの少し過去話(彼女歴等)が出て来ます。
「毎回出す提出物が合格点で返って来る女がいる」
「何だよ、それ?」
キャンパス内のベンチに座りヨンは話し掛けて来た友人達の話に眉を顰めていた。
「きっと教授のお気に入りなんだろうな」
「ふぅん・・・」
教授も男だ。若い女の子から強請られたり、色気を出されたらそりゃあ良い気にはなるだろう。
しかし、医学部でそんな事が通用するのは今のうちだ。
社会に出た時にきっと挫折する筈。
ヨンは鼻で笑ってしまった。
「・・・あんな年寄りに迫るなんて凄い度胸だなぁ」
「大して美人て訳でも無いんだけどな・・・あれか?寝たら豹変するのか?」
大声であははと笑う男子達を横を通り過ぎて行く他の学生が驚いた顔で見て行った。
大学4年を経て、ヨンは今医師教育課程迄来ていた。
あと数年、まだまだインターンもその後の兵役だって残っている。だが、自分の意志でここ迄着たのだ、実家を継ぎたくない意地かもしれないがそれなりに自分に合っていると自分は思っている。
両親からの当たり前に継ぐだろうという期待に嫌気が差していたが、漸く自分の居場所を見つけた様に感じていた。
・・・まだそんな事考える女もいるんだな。
ヨンはふと思ったが、それは直ぐに頭から消えていったのだった。
「はい、再提出~」
バサッと戻って来たレポートをベンチに投げ捨てた。
「ヨンが?珍しいな」
「大して研修もさせてくれないくせに、勉強不足?巫山戯るなよ!」
ヨンは苛立ち気に座り、はぁーとため息を吐いた。
「・・・別な生徒はOK貰ってる奴もいたっていうのに・・・くそっ!」
ヨンの言葉に友人達は顔を見合わせた。
「女?」
「ああ」
「じゃあ、それがその噂の女じゃないのか?」
「あぁ?いや・・・だって」
ヨンが教授の研究室に入った時に確かに一人学生がいた。古いソファーに座り何かを書いていて、入って来たヨンを見ると直ぐ顔を下に向けまたレポートを書き始めていた。
しかし・・・
「・・・地味な女だったぞ?」
髪を後ろに一纏めに纏め、眼鏡をして、化粧も薄くしかしていない様だったが・・・
「じゃあ、その女だな」
「はぁ?」
あれで?教授を誘惑するのか?
・・・キャンパスから出たら変わるのか?
「ねぇ、ヨンは終わったらクラブ行かないの?」
「もし行くなら私達と行かない?」
「行かない。まだレポート提出終わってないんで」
大学に来ると誰かしら女が周りに近付いて来る。
でも少しも魅力的に見えないのは、皆同じに見えるからだろうか?
高校生迄は確かに女の子と付き合ったが、軽い付き合いであっという間に別れてしまった。それを何回か繰り返して自分はあぁ、彼女では無く誰かの温もりが欲しかったのだと理解した。だが若い女の子は自分に甘えて来る事しかして来ないのだ。
・・・何でだよ?女だけが要求するばかりで!
しかし自分がそんな幼い考えだった事が恥ずかしくなってしまった。
そのうち毎日医学部の勉強に追われているうちに既に数年彼女いない歴を作っていた。
それでも男の性で欲求を満たしたいとは思う。
・・・作ろうか?誰も好きでも無いのに?
「私も再提出なんだけど、ねぇ?一緒に勉強会しない?」
「しない。自分の事は自分でしたいんだ」
ヨンの取り付く島もない態度に女性達はむぅと口を尖らせていたがふと違う方を見た。
「あぁ、本当にムカつくわ。何であの女は何時も合格貰えるの?」
その声にヨンは顔を上げ彼女達が見ている方を見ると一人の女性が歩いている。
あの教授の研究室にいた学生だ。
後ろに一纏めにした髪を揺らしながら歩いて行く。
ヨンの隣りに立っている女性のがまだ華やかに見える。
「・・・わかんねー」
ヨンが初めてウンスを見た第一印象だった。
(13)に続く
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ウンスは優秀でしたよ。ヨンもですが。
何しに大学に来ているのかですよね。
