ジグザグ◇(10) | ー常永久ーシンイ二次創作

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ジグザグ(10)





『・・・ほぉ、なるほど。ヨンとそんな事がありましたか?』

久しぶりに電話に出たオーナーはだいぶ具合が良くなった様だったが、声が偶に掠れてしまうらしく時々咳をしていた。

「お体がまだ良くなっていないのに本当に申し訳ありません。・・・ですが、もしかしたら私のクリニックはもう・・・」
小さくなっていくウンスの声にオーナーは何があったのか、と尋ねて来てウンスはすみませんと謝り話を始めた。

ウンスとヨンがお互いの気持ちが漸く分かり合えた後、ウンスはオーナーに事情を話していた。あの後ヨンがまた会う機会を設けると言っていた為、最初はオーナーも秘書も見合いで仲良くなったのだと思っていた。
しかし実は二人は大学生時代からの知り合いだった事に驚き、更にはお互いが長い期間を経て愛し合う仲になったという事を聞いてオーナー達は納得しそれなら応援しましょうとまで言ってくれていた。

プラズマ美顔器も実はヨンからのプレゼントと聞きオーナー達は笑っていたのだった。

「そこ迄の仲だとは」
何となく楽しんでいる様にも聞こえてしまうが、ウンスとしてはクリニックのオーナーが心良く思ってくれるだけでも有難かった。


・・・しかし今の状態になってしまった。

はたしてこれからもクリニックを経営していけるかもわからないのだ。
自分で新しい幹細胞培養液やそれが入っている美容液、薬剤等を廻してくれる会社を探さなければならない。
出来なければ・・・。
ウンスは確実なツテも無い為不安しかない。
ヨンは離れない、と言っていた。
このままでいてくれとも。
しかしヨンの犠牲の上で平気な顔をしてクリニックの経営等出来る訳が無い。彼がどう収めるのかもわからないのだから。

『・・・ヨンが、あちこちから見合いだ、食事会だと誘われているのは確かです。・・・私だってウンスさんとの見合いを組みましたからね』
「それは・・・はい」
ヨンから逃げる為に断らなかった私もだが。
しかし話を聞くとヨンがアメリカから帰って来てから誘いが更に増え、彼の父親が経営している会社にも取引先等から頻繁に連絡がある様だった。今回の見合いもその中で起きた事だという。

「・・・やっぱり他にも色々組まれていたのですね」
そんな事ヨンは一つも言わなかった。
心配を掛けさせない為だとわかるが、後々から知る方が辛いし、苦しくなってしまう。

はぁーと思わずため息を吐いてしまうウンスに電話の向こうのオーナーは、微かに笑っている様だった。

『彼はきっとうんざりとしているでしょうね。その医療メーカーの女性もその中の一人ではないでしょうか?』
「でも、断ったら私のクリニックの取引を切られるとヨンは思っているかも・・・」

『・・・なるほど、そういう事で・・・』
オーナーは何かガサゴソと紙を触っている様だった。

『・・・ところでウンスさん?』
「・・・はい」

『ヨンがまた日を改めると言っていましたが、ウンスさんとのお見合いは何時するのですか?』


「・・・・・は?」

『あの日はお見合いしなかったのでしょう?
言い合いになったと。・・・てっきり私は後からまたお二人が見合いをすると思っていたのですがね。
・・・なのに別な女性とするなんてねぇ・・・』



『・・・ウンスさん。これは怒って良い案件ですよ?』







――・・・・・・え?



「・・・・・え?」



ヨンとユジン達は怒りの眼差しで腕を組み四人を睨んでいるウンスを呆然と見上げていた。

「チェヨンさん?こういうのを詐欺っていうのよ?」


「え?何、ウンス・・・?」

「まぁ?忘れたっていうの?貴方私とのお見合いはまだ終わっていないのよ?」


・・・・は?


「え?」
「ヨン?」
「ど、どういう?」

父親やユジン達は意味がわからず驚愕したり唖然とヨンを見ているが、
一番意味がわからないのはヨンであり口を開けたまま固まっている。
そんなヨンを見てウンスは眉を上げ、手を腰に当てた。

「そもそも私とのお見合い自体途中で終わっているのだけど?・・・でも貴方、オーナーにまた日を設けると言っていたじゃない!約束しておいて違う女と見合いとは!」
「え?いや、あれは・・・」
あの後ホテルを取った筈で・・・。

「私は貴方と貴方の親戚のオーナーの言葉を信じて待っていたのに、凄いわね〜チェ家は!」

無視するとは!
ヨンの父親はヨンを向き、どういう事だ?と焦った顔を向けた。

「確かにウンスとの見合いは途中で、いや、始まる前に終わってしまって・・・日を改めると叔父さんにも言いました」
「何だって?!」
我に返ったヨンは漸く椅子から立ち上がり、ウンスに近付き待てと手を掴む。

「どうしてここにいるんだ?」
「オーナーが教えてくれたのよ」
「叔父さんが?!」
ヨンの父親もそれには驚いた様だった。
妻の兄弟が以前違う女性の見合いを組んでいたのは知っていたが、まだ継続中だったとは。

ウンスはヨンを薄目で見て掴んだ手を荒く払った。

「・・・そう。じゃあもういいわ。貴方は其方を選ぶのね?」

そう言い顔を背け後ろに退いて行くウンスにヨンは焦り腕を再び掴んだ。

「違う、ウンス!・・・俺は昔からウンスだけがいれば・・」
「私に何も言わないのに傍にいたい?言っている意味がわからないわね・・・!」
グイグイとヨンの手から離れ様とするウンスをヨンは必死に止めていた。

「だってそうしないとウンスの傍にはいれないんだ、何かしてあげないと・・・」
「それはヨンの自己満足の為でしょう?離してよ!」
「嫌だ!」
「何回もお見合いだなんて、イケメンは本当に羨ましいわぁ!」
「はぁ?何言ってんだよ?!」

手を掴んで女性を逃がさないと引き止めているヨンの姿はイケメンではあるが、
手を引き剥がそうとする女性に縋る様にも見え、何とも情けない姿で図体が大きい男性がやる事ではなかった。
ユジンはヨンを病院で見ている限りもう少し冷静な落ち着いた人だと思っていた為、
そのうるさい姿に引いてしまっていた。

しかもこの女性は病院で見た事がある。
あの時はただ具合が悪い女性に駆け寄って行ったのだと思っていたが、
そうでは無く会話を聞くと既に恋人かヨンが彼女を好きか。
どうにもヨンがしつこく付き纏っている様にも見える。

・・・こんな人だったの?

見た目とは違う性格に自分が彼女になったとしても
これはごめんだわ、と悟ってしまった。
それにこんな場所にいたら私が恥ずかしいだけだわ。
ユジンはチラリと自分の父親を見ると、

「・・・何だか、お邪魔の様だから帰りましょうか?」
「あ、ああ・・・」
父親は唖然としながらも娘に促されそそくさと出て行ってしまった。

ヨンの父親は呆けていたが、ヨンの姿を見て我に返り声を上げた。
「ヨン!いい加減にしなさい!」
「嫌だ!」
即答で反抗されてしまい父親はビクリとなったがウンスがヨンの肩をバシリと叩く。

「自分の父親に何て事を言うの?!ヨン!」
ウンスがキー!と怒りヨンはそこで漸く大人しくなった。

騒ぎを見ていたお客達は静かになったヨン達をチラチラと見ながら何かを話している様だった。
ウンスははぁーと息を吐き、父親を向いて頭を下げた。

「お騒がせして申し訳ありませんでした」

先程の怒りや騒ぎ等無かった様に静かに頭を下げるウンスに
父親は一体どういうことなんだ?となるが、
義理弟が紹介する事に何か意味があるのか?とも思った。





(11)に続く
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オーナーの提案でした。
チェ家も数をこなせば何時かは気になる女性が出るだろう方式だったともいうね・・・。(ヨンの気持ちは知らなかったから)