ジグザグ◇(5) | ー常永久ーシンイ二次創作

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ジグザグ◇(5)





パク医師は午後の診察があると戻ってしまったのだが、キムはバッグを肩に掛けていた。

「俺これから違う病院に行くんですよ。送りますよ?」
「・・・あー、うん」

職員達が戻って来て受付の準備を始めている。直ぐにここも午後からの診察で忙しくなるだろう。


ウンスは女性を見つけてヨンを問い詰めると考えていた事等すっかり頭から消えてしまっていた。
しょぼんとした顔になり椅子に座っているウンスを見ていたキムは近くの自販機からコーヒーを買いウンスの手に乗せた。

「・・・何か理由があるんだと思いますよ。あのヨン先輩ですよ?」
自分から見てもウンスに付き纏っている年数は異常だと思う。何がきっかけで大学生の時から彼女を追い掛けていたのか?直ぐに告白して付き合えば早かっただろうに。

「理由?」
「あの女と見合いまでしなくてはいけない理由」
ヨンの意思とは違う事になっていると?
確かに自分の時だって親が勝手に組んだと言っていた。

「・・・不本意だったのならどうして教えてくれなかったのかしら?」
結局はそこで悩んでいるのだ。

ちびちびとコーヒーを飲んでいたがキムに行きましょうか、と促され腰を上げた。
しかし。

「ンン?」
彼女が向かった方から彼女が帰って来た。
しかもヨンも一緒に。

「わ!」
ウンスは急いでキムを引き受付窓口の端壁に隠れると顔だけ出し二人を見た。
昨日苛立ったウンスはヨンの電話を途中で切ってしまっているのだ。なのに、病院に偵察に来た等と情けない所を見られてしまったら・・・。

・・・いくら何でもこれはヨンに呆れられるわね。

目を丸くして、微妙な表情になる事が安易に想像出来る。

二人は入口の前で止まって、ユジンはにこやかに見上げ話している。ヨンはと言うと無表情ではあるが何かと返事を返している様だった。
「何話しているの?あぁもう、聞こえない!」
ぶつぶつ言うウンスの横でキムは笑いそうになっていた。
気になるなら出てヨンにどういう事なのかと詰めれば良いのにそれは出来ないのか・・・。ヨンだけだと思っていたが、昨日からのウンスを見ていると彼女もヨンにベタ惚れではないか。
大学生時代からのヨンの想いが報われていたのだとキムは安堵した。

「え?えぇ?」
いきなりウンスが口を抑えて指を差した。
「何ですか?」
「・・・ヨン、指輪取ってる!」
「は?」

入口で話している二人を凝視した。
二人というよりはヨンの左手だが。
確かに薬指に指輪は無かった。

「・・・ヨンー・・・!」
ウンスからピリピリと冷たい空気が流れ始めていた。

「ま、待って下さい!だから理由があるんだって!」
「何がよ?!人に付けといてと言っておいて、自分は取ったのよ?」
ウンスは怒りのまま自分の薬指に嵌めてある指輪を抜こうとしている。
「ダメダメ!そこ迄しちゃダメだって!ウンス先輩!」
ウンスの喜怒哀楽の激しいのは変わらないとキムは焦りながらも、手を掴み抑えているとポケットのスマホが鳴り、ウンスを止めながらスマホを取り出した。
「あ、パク先生?ほら、パク先生!」
「パク先生?」
さっき会ったのに何?と少し落ち着いたウンスを宥めながらスマホをタップし耳に当てるとパク医師がウンスはいるか?と尋ねて来た。

「はい?あぁ、まだいます。今送って行こうと・・・はい、待って下さい・・・はい、ウンス先輩、パク先生から」
「私?」
スマホを受け取り耳を当て返事をする。どうやら彼女の勤務先を他の看護師が教えてくれたらしく、ウンスに教え様としたが、ウンスが電話に出ない為キムに掛けたという事だった。

「・・・あぁ、さっきの・・・会社?勤務している会社ですか?」
「あの女が働いている?」

キムも少し近付き聞いていたが、突然ウンスが声を上げた。
「ええ?!」
そして呆然となってしまっている。
ウンスの手から滑り落ちそうになったスマホを受け取りキムが耳を当てた。

「・・・何ですか?・・・俺は知らないな。
・・・ウンス先輩?」
両手が空いたウンスは、顔を下に向けると指輪を抜いていた。
「ちょっと、ウンス先輩?!」

しかし先程とは違ってウンスの顔色は真っ青になっていた。
「・・・あぁ、どうしよう」
「え?」

指輪をぎゅっと握り締め座り込むウンスに意味がわからずキムは慌ててしまうが、ふとした気配に何気に顔を上げ彼も顔色が悪くなった。


「・・・すみません。ウンス先輩、バレてる」


キムが見た先には入口でユジンと話していたヨンが何時の間にか身体ごと此方に向け、射抜かんばかりの鋭い目付きで座り込むウンスの後ろ姿と傍にいるキムを凝視していたのだった――。






(6)に続く
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キムは二人の数年に渡る勘違い劇場は知りません。
そして、ヨンに見つかるのであった。