ジグザグ3
次の日の朝にいきなりスマホが鳴り、
寝起きのウンスはベッドに俯せのままスマホを耳にあてた。
「・・・はい?」
『おはよう、ウンス』
「・・・ヨン?」
『まだ寝ている時間だと思ったんだけど、急いで連絡したくて』
「え、と?」
『今日そっちに帰るから』
・・・は?何で?
「アメリカで何かあったの?」
彼が帰って来る迄に後一年はあった筈だ。
なのに何故今?
トラブルを起こす性格では無いと思うが・・・
優秀過ぎるが故の問題も考えられる訳で。
ヨンは電話の向こう側からクスクスと笑い声をあげた。
『何も無いよ、早く帰れる事になったんだ。
・・・それで、今日の夜会いたいんだ』
・・・いやいや、ちょっと待て!
「仁○国際空港に着くのに何時間掛かると思っているの?それから来るなんて・・・!」
『今から出るから問題無いよ。ウンスが仕事が終わる頃には行けると思う』
・・・いや、違う意味で私が嫌だ。
「・・・私は嫌だわ。ヨンも疲れているのだから・・・そうね、明日なら大丈夫だけど」
『・・・そうか。わかった、じゃあ明日の夜なら良い?』
微かに気落ちした空気を感じたが、ウンスはそれを無視し明日会う約束を承諾した。
『メールの返事も聞きたかったんだ』
「・・・あぁ、それはまだオーナーに確認を取っていないの」
『そう?でもわかったら何時でも言ってくれ』
だから何故ヨンが買う気まんまんなのかが疑問なのだが?
ウンスはベッドからもそもそと起き上がりはぁーと俯いてしまう。
本当に彼は変わらない。
数年前からずっとこうなのだ。
なのに渡そうとした手紙は切り捨てられ、あの時のウンスの胸は行き場の無い辛さにただ泣くしかなかった。
その辛さは数年経ち形が怒りに変わってきているのだ。
はたして彼はわかっているのだろうか?
「・・・今車で空港に向かっているの?」
『よくわかったね、もうすぐ帰れるから嬉しくてウンスに電話してしまったんだ』
ムカッ
「私は今寝起きで凄い機嫌が悪くなっているの!気を付けて帰って来てねっ!」
そう言いスマホの通話を切ると
「嫌いになれないのはそういう所なんだって!」
ウンスはスマホをベッドに放り投げバタリと倒れた。
・・・それよりも、何て事!
ヨンが帰って来るなんて・・・!
彼の戻る場所はまた江○総合病院だろう。
より優秀になった彼は次々と実績を重ねたに違いない。
そんな彼に女性達が遠巻きに眺めているだなんて有り得ないし、壮絶な戦いになるだろうと安易に想像が出来る。
私はその様子を間近で見させられてしまうのか?
まだ完全に気持ちを消化させていないのに・・・
「どうして帰って来たのよ?!最悪だわ!」
ウンスの叫びだけが虚しく響いていた。
仕事に向かいオーナーに連絡をすると本人では無く秘書と言う方が代わりに電話に出た。
プラズマ美顔器は施術の研修を念入りにする事と、スタッフ全員がちゃんと把握出来たのなら出しても構わないと言って来てウンスはまた驚いてしまう。
しかし次に彼が話す内容にウンスは固まってしまった。
「私が・・・お見合いですか?」
これはヨンから離れられるチャンスかもしれない・・・
スマホを持つ手が無意識に力を込めていた。
(4)に続く
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ヨンの態度も不思議なのですがね。
