佳人(1) | ー夢星石ーシンイ二次創作

ー夢星石ーシンイ二次創作

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二次創作に嫌悪感のある方はオススメいたしません。



勢いで書いておりますので違和感を感じてもスルーして頂けると嬉しいです(汗)




佳人(カジン) ( 1)




“天女”・・・

言われて嫌な気持ちにはならないわよね。
現代では美人とは言われていたし、同性からも羨ましいですなんて言われていたわ。それなりに自覚はあったのよ。

・・・・男運だけは悪かったけど。
しかし、天女か・・・でもね〜・・・む〜・・・

うーんと悩むウンスにトクマンが近づく。

「どうされました?腹でも痛いのですか?」
「どうしてお腹なのよ?違うわよ」
いや、医仙様の具合が悪いのなんてそれしかないのでは?食べ過ぎか二日酔いしたか・・・
とは口には出せず、はぁと抜けた声を出すのみにした。

「違う違う、私ねぇ、天女なんかじゃないのよね」
「え?だって天界からいらしたではないですか?」
「あぁ、そこはそうなんだけどね。私が言ってるのは天女と呼ばれる程の美女かとそういう事で・・・」

トクマンは首を傾げキョトンとしていたが、意味がわかったのか驚愕した。

「・・・え?では天界には医仙様よりも美しい女子がいるというのですか!?」
「・・・うっ、ストレートに聞いて来るわね!まぁ、モデルや女優を指すんだったら私より綺麗な人なんて沢山いるわ」
「え、ええ!?」

天界はなんて処なんだ!
医仙様の美しさが普通だと!?

「そもそも顔を更に綺麗にする事だって出来るし、私は美容整形外科で顔を担当していたのよ」

か、顔!?
顔に医仙様が縫合で使うあの小さく鋭い刃をあて皮膚を裂くのか?
何故そんな事で綺麗になれると思うのか。
顔に傷等付いたら女子は嫁ぐ事さえ出来ぬではないか!
トクマンは考えただけで血の気が引いてくる。

「天界とはまこと奇妙な処でございますね・・・」 
「うーん、それは美を追求した結果というか・・」
「でも医仙様はそのお美しい姿と素晴らしい医術をお持ちなのです!隊長は医仙様だからお選びになったのです!」

医仙様が何故悩んでいるかはわからないが此方に来た事を憂いて欲しく無かった。
貴女様が悲しまれると隊長も悲しまれる。
そして機嫌も悪くなる。

結果迂達赤達が被害を被る。

「あ、あ、そうなんだ・・・ありがとう」

拐われたも同然なのにトクマンの勢いに咄嗟にお礼まで出てしまった。
そもそも何で私なの?
それは拐われた当初からずっと疑問に思っていて考えがそこにいくとまた気分も沈んでしまう。


「・・・場所が変わって男運も少しは変わればねー・・・」


まだ救われるのに

本当に私の運命の人はどこなのよ!?




迂達赤兵舎に戻ったトクマンは昼間ウンスから聞いた事を広間にいる兵士達に話していた。

一番に飛びついたのはトルベでトクマンに掴みかかる勢いだ。

「何だと!?天界には医仙様よりも美しい女子がいるというのか!?」
「あ、ああ、そうらしい。でも何だったか・・?まぁ、その女子達は滅多に会う事が出来ぬとか」
「なんだ・・・会えぬなら意味が無いではないか」

何だお前意味が無いって天門でも潜るつもりか?
呆れた眼差しでトルベをみるが、ガックリと肩を落とすトルベを無視しチュソクは腕を組み唸った。

「しかし医仙様のあの美しさが普通だと?信じられん!」
「そうだよな?医仙様も勉学しか興味なかったと言っていた・・・ご自分の美しさに気づいて無いのでは?と思ったが」
「それは有り得るな。だが女子で勉学に励むとは・・・故にあの様な医術をお使いになるのだからどれ程ご苦労されたのか」

はぁと感心する二人にトルベはふと疑問が出てしまう。

「いや、しかし医仙様程の美しさだ。言いよる男の一人や二人はいただろう?」
トクマンは顔を上げウンスがボヤいていた事を思い出した。

「ああ、そういえば何か、男運も変われば・・・と言っていたな、天界で何かお辛い事でもあったんだろ・・・・う!」


見上げた先には怒りの形相で此方を射るような眼差しで見下ろす迂達赤隊長チェ・ヨンがいた。




「医仙!!」
「わあっ!?ビックリした!チェ・ヨンさん何よ?」

突然ヨンが扉を壊す勢いでウンスの部屋に入って来た。

近くに武閣士しかいないとわかり洗濯物を干そうとしていたウンスだったが、慌てて籠に戻す。そんな事はお構い無しに大股で近寄るヨンに声を上げようとしたのだがあまりの威圧感に怯んでしまった。

「な、何?」
「貴女は、また天界の話をそう軽々と話されては困ります!」
「はぁ?」

暫く思案してトクマンとの会話を思い出した。

「べ、別に歴史に関係ないじゃない!綺麗な女性がいるってだけでしょ?」
「我々は王を護る兵士でありその様な話は迂達赤達には必要無い事です!」

はぁ?
話したのはトクマン君だけなのに何で兵士達になってるの?

「話したのはトクマン君にだけで何で達になるの?周りに話したのはトクマン君で私関係ないじゃない!」
「彼奴に話す事自体間違っておるのです!」

・・・ええ?
理不尽じゃないそれ?
あんぐりと口を開け唖然と此方を見るウンスを見てヨンは我に返った。

――違う。
そうではない。
言いたい事は違うのにどう聞いて良いかわからず突っかかった物言いになってしまう。

本当に聞きたいのは・・・

ウンスは呆れから怒りに変わったのか口をへの字にしてヨンを睨む。

「何?それを注意しに来たの?わかったわよ!話さなければいいんでしょ!」
フンと横を向いてしまった。


「・・・只私が申したいのは・・・」

その声さえ無視する様にウンスは此方を見ない。

「・・・貴女の男運等とも言わぬ方がと・」
言い終わらぬうちに物凄い勢いでヨンを見たウンスに言葉が止まった。
みるみるウンスの顔が真っ赤になっていく。
間近で見てしまい驚いたがその顔が何だか可愛らしく目が離せなかった。

「な、な、何?そんな事私言ってな・・・・ァ、言った」

苦虫を噛み潰したような表情ではぁーと顔を手で隠しため息を吐く。
医仙のそんな顔を見れた事に対して少し浮かれてしまったがチリチリと胸が焼けるのは・・・

「・・・辛い事でも?」

聞いてどうする?
本当に聞きたいのか?
余計苛立ってしまうだけなのに。
だが知りたい、この方の天界での過去も。
俺の知らないイムジャの姿も。

「辛い?まぁ、辛いといえばそうね・・・いつも私ばかり空回りして・・・」

顔を手で隠している為どんな表情をしているのかわからない。

顔が見たい
しかし悲しんでいたら?その様な顔をさせた奴を殺したくなるやもしれん。

「イムジャ・・」
「違うわ!」
「え?」

顔を上げたウンスはヨンを睨んで来て、ヨンは口を閉じてしまう。

「これは怒りだわ!思い出しただけでも腹が立つ!」
「・・・は?」
「だから占って貰ったのに、しかもあの占い師!意味不明な事ばかり言うし、何処よ!運命の人は!!」
「・・・・・」

ウンスの気迫に硬直してしまったヨンを無視し、イライラを隠す事なく部屋を歩き回っている。
周りを見渡したと思ったら、首を傾げ悩み始めていたが立ち止まって、

「・・・まさか、ここ?」

その言葉にピクリとヨンが反応した・・・だがウンスは気づかない。

「イム・・・」
呟いているウンスに手を伸ばすがすぐ下ろした。

運命とは?
その様な人がいるのですか?
この国ですか?天界ではなく?
俺がお連れしたのは
俺が貴女をお連れしたのは・・・

しかし突然ウンスが顔を上げた。

「いやいやいや。私にだって好みのタイプはあるんだから」

ふざけないでよねと腕を組む。
その言葉にヨンは再び目を細め軽く睨んだ。




天界語はわからない
しかし今確かに好みと言った。
ふざけるな?
何に対してだ?


「例えばどの様な?」

質問されるとは思っていなかったウンスはギョッとしてヨンに視線を向けた。

「べ、別に言う必要ない・・・」
「貴女の好みの男とは一体どの様な者を指すのですか?」
「何よ?」
「この地の男では不服なのでしょう?天界での男の好みはどの様に違うのか?」

教えてくだされ。

見上げると機嫌が悪く、ヨンの此方を見る眼差しに自分の怒り等消えたウンスは無意識に離れ様と距離を置く
が、ジリジリと間合を詰められ腕を掴まれる。

危険、
咄嗟に感じ手を引くが、ヨンの掴む力は強く外れない。

「・・・お金持ちとか顔が良いとか高学歴とか」
「それは高麗と何が違うのですか?」
「違う訳では・・・」
「男に望むのはそれだけですか?」
「他には・・・」
「他には?」
「私を・・・」
「貴女を?」

私を愛してくれる人
私だけを見ててくれる人
ずっと傍にいてくれる人

男にそれを望むなんて
自分が弱くなった様で
言いたくない
私は男にも負けたくない

何故そう思ったの?
裏切られても悲しまない様に
男の為に泣く女になんてなりたくない

笑う程の強がりだわ
声に出したら負けてしまう
自分の本心なんて誰にも言いたくない。

なのに。

「・・・私を裏切らない人」

フッと吐息が聞こえそっと見上げると間近にいるヨンは微笑んでいる。
普段そんな表情見た事ない
この人こんな顔も出来るんだ。

「ならば安心しました」
「あ、安心?」
「私はけして裏切る事は致しません」

ヨンの顔が徐々に近づきウンスは口元に彼の吐息を感じ一気に緊張する。
掴んでいた手からウンスの身体が強ばったのを感じとったヨンも漸く我に返った。
恥ずかしくなったウンスが俯き顔を隠してしまい、もう少しこのままでと思ったが仕方ない
だが、
離れる寸前ウンスの額に素早く口付けると、口と掴んでいた手を一緒に離した。

「!?」
硬直したウンスを見て口の端が緩むのを誤魔化せないヨンは後ろを向き、

「とにかくあまり余計な事はお話にされぬ様」

そのまま部屋から去って行った。

「・・・・・・・」

おでこに
キスされた?

顔に熱が上がり狼狽えたウンスに対して典医寺から出たヨンは、歩きながら口元を手で抑え隠していた。
口付けたウンスの額は滑らかな肌で髪から甘い香りが漂い思わず舐めたくなり急いで離したのだ。

あの方に近づくと、自分の理性がどうにも抑えられない
しかしあの方から離れるのは嫌だ
自分の傍にいて欲しい
いや、離したくないが正しか

俺はけして裏切らない
貴女を護り続ける
貴女がこの地にいて下さるなら一生
俺の命は貴女だけに捧げる


「そういう事か」

辿り着いた考えに思わず笑いたくなった。

天界にはイムジャよりも美しい女子がいると言うが俺はあの方程美しい女子はいないとわかる
そもそもあの方しか見ていなかったからな
目が離せなかった
小さく箱の中にいてすぐ消えてしまった時は言い表せない恐怖を感じた
駄目だ消えるな!
必死に探し後ろ姿を見つけた時に二度と離さないと思った。

あの時からではないか
あの方は俺の運命の人なのだ
あの方はどう思っているかはわからない
もしかしたら俺を恨んでいるかもしれない


だが
俺は決めた
絶対に離れない
イムジャを離さないと


俺の佳人はイムジャただ一人だけだ。




次の日には隊長の機嫌が良くなり迂達赤達は昨日の地獄の様な鍛錬から逃れられ密かに医仙に感謝した。




「ありがとうございます医仙様!」

にこやかなトクマンに対して顔を引きつっているウンスは

「何の事かさっぱりだけど、まさかこの間からお節介とお小言が増えたチェ・ヨンの事だとしたら恨むわよトクマン君」

「へ?」


しかもたまに髪や頬に触れて来る
イケメンに弱い私をわかっているのか
あの顔を近づけて耳元で囁く


「運命の人とやらは見つかりましたか?」



・・・絶対に私は男運が悪い。




(2)に続く
✣✣✣✣✣✣✣✣


ここまで読んで下さりありがとうございます
イトシイ〜とはまた違います。
そして長くなってしまいました(汗)
何が違うというとヨンが積極的です、隙あらば近づきます。
コチラのチャン侍医は邪魔しません。



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(修正2022/11/3)