本当に「褒める」ことができる先生とは | 福岡県の学習塾コンサルタント|学習塾運営の手引き

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「褒める」という行為は、一見すると簡単なように見えます。しかし実際には、その人の本質的な姿勢や相手を見る目、そして伝え方の技術が求められる、非常に繊細で難しい営みです。特に教育の現場においては、褒め方一つで生徒の自己肯定感や成長の方向性が大きく左右されるため、教師の「褒める力」はまさに力量の一つとして問われるべきです。

 

たとえば、数学で100点を取った子どもを褒めるのは容易です。「よく頑張ったね」「完璧だね」と自然に言葉が出てくるでしょう。しかし、もしその子が常に高得点を取っているなら、それはその子にとって「できて当たり前」のことであり、褒め言葉がそれほど心に響かないかもしれません。

 

一方で、40点しか取れなかった子どもを褒めることは非常に難しいものです。点数という数字だけを見れば「できなかった」という評価になります。しかし、点数の裏には「前回より10点上がった」「苦手な分野を自分なりに勉強してみた」といった、小さな努力や前進が隠れている場合があります。そこに気づき、誠実に向き合って、「前回よりここができるようになってるね」「この問題はよく考えて書けているよ」と伝えることができる先生こそ、本当の意味で生徒を育てられる人なのではないでしょうか。

 

ただし、このような褒め方は注意が必要です。40点の子に対して、根拠のないお世辞や、事実とかけ離れた賛辞を送ることは、かえってその子を傷つけてしまう可能性があります。子どもたちは大人が思っている以上に敏感です。「嘘の褒め言葉」は、見抜かれてしまいます。ですから、「あなたは素晴らしい」と言うのではなく、「そういうふうに言われると頑張れる」と子ども自身が思えるような褒め方が重要なのです。

 

また、他の誰かが「ここがダメだ」と言っている点についても、先生は安易にそれに同調するのではなく、「でも、こういうところはいいよね」と、違う角度から価値を見出してあげる必要があります。これは、教師が生徒をステレオタイプではなく、個として真正面から見ている証拠でもあります。

 

どんな子にも、必ず「褒められるべき部分」は存在します。それを見つけるには観察力や想像力、そしてその子の未来を信じる気持ちが必要です。生徒を本当に見て、本当に育てたいと思っている先生であれば、点数や行動の表面的な評価にとらわれずに、心からの言葉でその子を支えることができるでしょう。

 

だからこそ、私は思います。「褒め方」には、教師としての覚悟と愛情、そして人間としての深みが反映されるのだと。誰もが褒めたくなる子を褒めるのではなく、誰もが褒めづらい子の中にも光を見つけ、それを言葉にして届ける——それができる先生こそ、本当に尊敬される教育者であると私は信じています。