学校の先生って、妙に“強い”。
別に腕力の話じゃない。
権限がある。評価がある。正解を持っている顔をしている。
そして何より、こちらの人生を「決められたレール」に乗せる力を持っているように見える。
だから子どもは萎縮する。
謙遜する。
逃げたくなる。
負けた気になる。
でも、今回の話はその逆だ。
先生・教師・大人という強者に対して、萎縮せず、謙遜せず、逃げず、負けず、敬い、認め、理解して・・・内心でバカにする。
この矛盾みたいな態度こそが、少年期の特権だという話。
沈黙という名の透明な壁・・・先生を「内心でバカにする」少年の特権
「教師を内心でバカにすべし」とは何か
「教師を内心でバカにするべし」
この言葉は、雑に聞けばただの反抗だ。
舌を出して笑う子どもの悪ふざけにも見える。
でも、ここで言う“バカにする”は、侮辱じゃない。
怒りでもない。復讐でもない。
もっと軽い。もっと冷静。
そして、もっと致命的に効く。
それは・・・
先生を絶対にしないこと。
先生の言葉を真理にしない。
先生の評価を自分の価値にしない。
先生の正しさを、世界の正しさにしない。
先生を「強い存在」から「強い役割」へ落とす。
それだけ。
少年は、人生と生活を軽蔑しきれる
大人になると、生活が重くなる。
家賃、締切、責任、疲労、損得、体力・・・そういう“現実の重り”が身体にくっつく。
重りがつくと、人は生活を軽蔑しきれなくなる。
軽蔑した瞬間、明日が壊れるから。
でも少年は違う。
まだ重りが完全にはついていない。
だから、生活を外側から見て言える。
「大人って、何やってんの?」
「それ、ほんとに正しいの?」
「人生って、そんなに偉いもの?」
この無遠慮さと純度の高さが、少年の特権だ。
そしてここが重要で・・・
先生もまた、生活のために労働している存在に過ぎない。
聖職でも、真理の代理人でもなく、生活者。
その事実を見抜いた瞬間、先生の“神格”は剥がれる。
先生は「最初に現れる、乗り越え可能な強者」
少年にとって、先生は最初の強者だ。
最初の権威だ。最初の管理者だ。最初の評価者だ。
そして少年期の面白さは、ここにある。
先生は「乗り越えられる」
大人社会の強者は手強い。
会社、世間、金、世論、空気・・・あれは見えにくいし、逃げ場もない。
でも先生は見える。
顔がある。言葉がある。ルールがある。
つまり、攻略できる。
だから先生は・・・
忠実である相手ではなく、狡猾に駆け引きする相手になる。
ここで言う狡猾さは、悪さじゃない。
“強者の重力”に飲まれないための、子どもの知性だ。
「狡猾な駆け引き」という名の誠実さ
三島的な視点に立てば、少年が教師に対して従順である必要はない。
しかし、単なる反抗もまた、相手に執着しているという意味で「不自由」である。
真に自由な少年は、教師という存在を「人生で最初に出会う、狡猾に駆け引きすべき他者」として扱う。
レールを走らされているのではない。
レールという巨大な遊具を使って、どうやって自分を遠くへ運ばせるか。
教師という「システム」をいかに攻略し、自らの栄養とするか。
この不敵な知略こそが、少年期にのみ許された、残酷なまでに明るい「遊び」なのだ。
「敬って理解して、内心でバカにする」という二重性
ここが今回の核心かな・・・
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相手を敬い、認め、理解する
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それでも、内心でバカにする
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萎縮せず、謙遜せず、逃げず、負けず
この二重性は、大人には難しくなる。
大人はどちらかに寄りやすい。
敬う・・・つまり従属する。
バカにする・・・つまり敵対する。
でも少年は、両方を同時にできる。
「あなたは役割として強い。分かった。」
「でも、あなたが神だとは思ってない。」
「だから心の中で笑える。」
「でも礼儀は守る。」
これが、子どもの遊びとして成立する。
遊びだからこそ、残酷に強い。
少年の特権を使いこなした者が、大人の責務を担える
少年の特権を使いこなして成長することが、
大人になって大人の責務を担える存在になること。
大人の責務とは、たぶんこういうことだ。
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権威や強者と折り合いながら
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自分の心を売らず
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逃げず、負けず
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でも相手を粗末にせず
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役割の中で生き抜く
先生を「最初に乗り越える強者」にできた少年は、
その後に現れる強者たちにも、同じ姿勢で向き合える。
萎縮しない。
謙遜しない。
逃げない。
負けない。
敬い、理解し、内心で笑う。
それは処世術じゃない。
子どもの遊びだ。
でも、その遊びを失わない者だけが、
大人になっても“強者”に呑まれずにいられる。
三島氏の言葉を借りれば、
教室は「道徳の授業」の場ではなく、あなたの「意志」を研ぎ澄ますための砥石です。
この「不敵な少年」の視点から、次に直面する「進路」や「将来」という大人のレールを、
面白くとらえることが出来れば、きっと世界は宝箱になる。


