絶望という名の、一番輝く宝物の見つけ方

 

皆さま、今日も「正解」を探して指先を滑らせていますか?

SNSに溢れる「丁寧な暮らし」
「理想の家族」
「素敵な夫婦」
「幸せな母」

・・・その多くは、誰かが書いた台本です。


しかも厄介なことに、あれは“憧れ”に見える顔をして、私たちを静かに疲れさせる。

今日は、その台本をなぞるのに疲れた人へ。
とびきり残酷で、でも不思議と美しい話をします。

 

  自分で触れたものしか、血肉にならない

アン・サリヴァンがヘレン・ケラーの手に「水」を流したあの日。


冷たさに震えた感覚と、手のひらに綴られた言葉が結びついて、
“記号”だったものが、“実体”になった。

あれは、教えたというより、触らせたんですよね。

 

私たちも同じです。

「火は熱い」と知識で教わるのと、
うっかり触れて「アツいッ!」と叫ぶのとでは、まったく違う。

 

この世界には、
感じないと分からないことがある。
いや、正確に言えば、感じて初めて“自分のもの”になることがある。

 

自分で見つけた痛みや手触りだけが、
私たちの血肉になり、人生の中で「宝物」になっていく。

でも大人になると、私たちはその“手触り”を忘れます。

 

なぜなら、社会がこう言うから。

「感じなくていい。正解を覚えろ」
「体験しなくていい。効率よく生きろ」
「転ばなくていい。失敗するな」

・・・はい、ここで人生は一気に退屈になります。

 

  「綺麗」が「損得」に変わる時

 

子供の頃、カブトムシを見て「カッコいい」と思った。
あれは理屈じゃない。身体の反応。

そして触った瞬間に知る。
足が食い込む感覚。顎の力。生き物としての圧。

その時カブトムシは、ただの虫じゃなくなる。


“畏怖すべき生命”になる。

 

ところが大人になると、世界はこう変質します。

ビー玉を見て「宇宙だ」と思っていたのに、
いつしか「ただの硝子玉」と呼び、値札が付いた「トンボ玉」を有難がる。

河原の石を見て、ただの石として切り捨てる人がいる一方で、
水切りの“向き不向き”を語り出し、そこに是非を持ち込む人がいる。

タンポポを見て「綺麗」と言う子供と、
「根が強い雑草」と言う大人。

ここで起きていることは、単純な成長ではないんだろう。

 

経験が増えると、視点が増える。
視点が増えると、世界の解像度が上がる。
でも同時に、そこへ忍び込む。

損得
評価
役に立つ/立たない
正しい/間違い

つまり、世界が「発見」から「査定」に変わっていく。

 

私たちは賢くなったんじゃない。
査定癖がついただけです。

そしてこの査定癖は、最後に“最も大切なもの”へ向けられます。

 

  結婚という、倫理の檻と崩壊の輝き

 

子育ては、確かに逃げ場がない試練です。
でも、まだ救いがある。

なぜなら子育てには、最初からこういう前提があるから。

「試行錯誤していい」
「うまくいかなくて当然」
「正解は一つじゃない」

・・・苦しいけれど、模索は許されている。

 

問題は結婚です。

 

結婚は、なぜか“未完成”が許されない。

世間が押し付ける
「モラル」
「一般常識」
「倫理観」

それが本来、互いを守るためのものだったとしても、
現実ではしばしば「縛るための檻」になる。

夫婦がすれ違う。
すり合わせようとする。


模索している最中なのに、社会はもう判定を始める。

「それはダメ」
「普通じゃない」
「我慢が足りない」
「努力が足りない」

そして、ふと頭をよぎる二文字。

離婚

世間はそれを「失敗」と呼ぶ。
でも私は、こう呼びたい。

結婚観の崩壊という、最高の宝物を見つけた瞬間。

なぜなら、崩壊したのは“愛”じゃない。


崩壊したのは、“台本”です。

理想の夫婦像。
理想の妻像。
理想の夫像。
「こうあるべき」のセット。

その瓦礫の中からしか、見えない空がある。

崩壊は終わりじゃない。


自分の価値基準が、ようやく発見される入口

 

  明るい絶望は、誰にも奪えない宝物になる

 

結局、人生って、
子供の頃に拾った“光る石”を、また見つけようとする旅なんだと思います。

理想が砕けた時。
台本が破れた時。
「正解」が通用しなくなった時。

 

その瞬間にしか、触れられないものがある。

「ああ、これが、私の人生の温度だったんだ」

この“明るい絶望”こそが、血肉になる。

 

誰にも奪えない。
誰にも代わってもらえない。
あなただけの宝物です。

 

 シンプルフレーズ(今日の結論)

 

「絶望は、正解の台本が燃え尽きた後に残る“本物の手触り”だ。」

 

さて、最後にひとつだけ問いかけます。

理想の結婚。理想の自分。理想の教育。
その「キラキラしたゴミ箱」を、あなたはいつまで抱えますか?

あなたが今、いちばん捨てたい“綺麗なゴミ”は何ですか。