遊び心は、生き延びるための本能だった

 

「生きることは、本当はもっと面白くていいはず」

そう思えなくなるほど、私たちはいつの間にか、
不安とか、評価とか、正しさとか、
そういうものに囲まれて生きてしまう。

 

知らないこと。
未体験のこと。
分からないこと。

昔はそれら全部に、
目を輝かせる才能があったはずなのに。

 

若さっていう才能は、
誰もが平等に持てる唯一の才能だと思う。

その才能の最大の使い道は、
「失敗しても、やり直せる」って信じられること。

 

だからこそ持てた、あの頃の遊び心

遊び心は、いつだって世界の中から
「輝き」を見つけ出す力だった。

 

けれど大人になると、世界はどんどん不条理になっていく。

人との距離感に振り回されて、
理不尽に傷ついて、
奪われて、
納得できなくて、
後悔ばかりが増えていく。

面白くない世界。
報われない世界。
正しさばかりが幅をきかせる世界。

 

それでも、
そんな世界の中でこそ、
「生きることって実は素敵なんだよ」って
誰かが見せ続けなきゃいけない。

たぶんそれが、大人の仕事なんだと思う。

他者評価に振り回される世界で、
それでも誰かに輝きを届けさせられるものがあるとしたら、
それは
世界を面白くとらえる力なんだと思う。

 

見方を変える力。
楽しいものだけにフォーカスする力。
効率よく取捨選択する力。
優先順位で自分を守る力。

そのすべてを支えているのが、たぶん「遊び心」なんだ。

だけど、遊び心って、
無茶をすることじゃない。
馬鹿をすることじゃない。
誰かを傷つけることでもない。

 

「面白そう」
「楽しそう」

ただ、その方向に
天秤をほんの少し傾けるだけの力。

 

私はいつも、
リスクとメリット、
費用対効果で天秤を動かしている。

 

でも遊び心は、
そこに「+αの可能性」を
そっと乗せてくれる。

プライスレスの魅力を見つけてしまう、
小さなスパイスみたいなもの。

だから失敗も、
後悔も、
怖いけれど、
それでも踏み出せてしまう。

遊び心は、生きるための甘さじゃない。

 

生存戦略で、生存本能そのものなんだと思う。

エンジェルスマイル。
赤ちゃんの、あの無垢な笑顔。

 

本人は何も分かっていない。
不安も、心配も、正しさも、秩序も、価値観も関係ない。

ただ、そこに「在る」だけ。

 

でも、
あれは最高の遊び心だと思っている。

笑顔に変える力。
許せる力。
許されて、認められて、安心できて、
悲しみを一瞬忘れられる力。

 

人を責め続ける人は、
遊び心を忘れた人なんだと思う。

人と笑い合える人は、
遊び心を忘れない人なんだと思う。

 

遊び心って、
もしかしたら秘密基地みたいなものかもしれない。

自分を守るための、
小さな隠れ家。

 

あるいは、
世界と駆け引きしながら戦う
カードゲームみたいなものかもしれない。

正面から殴り合わずに、
負けないための知恵。

 

それとも、
ずっと前から持っていたのに、
忘れてしまっただけの
「思い出」なのかもしれない。

 

だから、
きっと昔から言われ続けてきたんだろうね。

「遊び心を、忘れちゃいけない」って。

それは、
世界を楽しむためじゃなくて、
世界に殺されないための言葉だったのかもしれない。

 シンプルフレーズ

遊び心は、楽しむための力じゃない。
生き延びるための、本能だ。