📘『吾輩は猫である』を3行で解説!
他人の目線に怯え、他人の評価に一喜一憂し、他人の言葉に踊らされる。
格好つけて、誰かの上に立とうとして、足を滑らせている。
その滑稽さを眺める猫がここに居たらどうする?
~キャスト~ |
|
|---|---|
| 吾輩 | 野良猫から哲学者に絶賛進化中。 |
| 苦沙弥先生 | 不思議と人が集まる人の魅力ってなんだろう? |
| 奥様 | 結局強いのはかぁちゃん。 |
| 迷亭 | 論破がカッコいいみたいな風潮ってなに? |
| 寒月 | このメンバーの中でも冴えるのは無言の存在感なのか? |
ラノベ風に改変「吾輩は猫である」12話
第12話:招かれざる来客と猫の苦悩
🚪突如として鳴る、靴音
吾輩は猫である。
いつもはちゃぶ台の下で、人間どもの滑稽をのんびり観察している。
だが今日に限っては違った。
玄関から、不穏な靴音が次々と響くのである。
ひとり、ふたり、さんにん……
気がつけば、見知らぬ顔ぶれで居間が満員。
—はい、完全に“招かれざる来客まつり”である。
🧍♂️人間の「客」とは、家を占領する存在
客というのは、人間にとって社会的ポーズを演じる舞台らしい。
主人は愛想笑いを浮かべ、奥様はお茶を慌てて出し、
子どもたち(いれば)を整列させる。
猫?
……もちろん居場所を奪われる。
さっきまで丸まっていた座布団は、
「お客様こちらへどうぞ〜」の一声で瞬時に没収。
吾輩は廊下へ追いやられた。
おい、人間。
その座布団、吾輩の領土であるぞ。
📢繰り広げられる「どうでもいい話」
客たちの会話は、とにかく長い。
内容は、噂、世間話、見栄の披露、そして——自慢。
「いやぁ、この間なんて息子が成績トップでしてね」
「奥様の和服、お似合いで……」
「ところであそこの町内会長が——」
吾輩は思う。
「なぜ人間は、どうでもいいことほど熱心に話すのか?」
たぶん答えは簡単だ。
**“沈黙が怖いから”**である。
猫なら、沈黙は“心地よい時間”だ。
だが人間にとっては、“会話の死”。
だから彼らは、言葉を埋め草にして安心する。
🐾猫の哲学:居場所とは何か
その間、吾輩は廊下の隅で考えていた。
「居場所とは、誰に決められるものなのか?」
猫にとっては、陽だまりや座布団が居場所。
人間にとっては、世間体と言葉の中が居場所。
どちらも不安定だ。
太陽はすぐに移動するし、世間体もすぐ崩れる。
それでも、人は「ここが私の居場所です」と、
言葉で主張しなければ不安になる。
吾輩は名前すらない。
だからこそ、逆にこう思える。
「居場所は、与えられるものではなく、“そこに居続ける意志”そのものなのではないか」
👣去りゆく足音と、猫の溜息
やがて、客人たちはようやく帰っていった。
「いや〜長居してしまいましたな」「また伺います!」
……いや、来なくていい。
部屋は静けさを取り戻し、
ちゃぶ台の下に再び空間ができた。
吾輩はするりと戻り、丸くなる。
やれやれ。
人間の“居場所”のために、猫の居場所は今日も奪われた。
——それでも吾輩は、明日もここに座る。
それが、吾輩の答えだから。
次回予告:「吾輩、理想の人間像について考える」
——人間とは何か?理想とは何か?
猫が語る、皮肉まじりの真剣な哲学問答。

