~小さな選択で、窮屈な毎日をほどいていく方法~
選ぶことの怖さと勇気
「自由になりたい」と願うたび、ふと思う。
選ぶって、こんなに難しいことだったっけ?
“自分で選べばいい”“自分で決めれば自由だ”――そんな言葉を聞くたび、私は胸の奥で立ちすくむ。
だって、選ぶということは「今より悪くなるかもしれない」っていう不安と向き合うこと。
本当にできるだろうか。思った通りになるだろうか。
今の居心地の悪さを捨てて、もっと居心地が悪くなったらどうしよう――
そんな心の声が、私の中で静かに渦巻いている。
だからこそ、選ぶには大きな勇気が必要になる。
現状の不満をしっかり見つめて、
「何がダメなのか?」
「どうして不自由だと思うのか?」
「どこでつまずいているのか?」
――ひとつひとつ、自分の気持ちと向き合ってみる。
不要なもの、もう我慢できないこと、逆に本当に欲しいもの。
その取捨選択こそが、自分の「優先したい気持ち」を浮き彫りにしてくれる。
そして、その想いを選ぶことこそが、
不満に向き合いながらも、自由を目指して歩き出すための一歩。
たとえ小さなことでも、何かを選び取る勇気――
それが、これからの自分を動かす「意欲」になっていく。
優先したものの正体に気付く
自由を感じられない理由は何か?
それは、自由よりも「他の何か」を優先して、今の状況を自分で選んでしまったからかもしれない。
たとえば――
毎朝ぎゅうぎゅう詰めの満員電車に揺られながら、「こんな生活は嫌だ」と心のどこかで不満を抱えている。
でも、なぜその仕事を選んだのか?
給料、安定、世間体、家族のため、過去の自分の期待…。
「自由」よりも、もっと大切にしたい何かが、その時の自分には確かにあった。
住む場所も同じ。都心の小さな部屋を選んだのは便利さや通勤時間、もしかしたら「孤独が怖い」からかもしれない。
本当はもっと自然の中で伸び伸び暮らしたかったのに、今の自分には「それ以外の何か」を選ぶ理由があったのだ。
そのことに気づけたとき、「ああ、私が自由じゃないのは、自分が“自由じゃないこと”を選んでいたからなんだ」と、ちょっとだけ納得できる。
でも、それに気付いた今こそ、「もう一度選び直してもいいんだ」と思える瞬間なのかもしれない。
自分の本心と向き合う――それが、行動する意欲や勇気を手に入れるタイミングになる。
簡単に行動できない葛藤
とはいえ、「よし、選び直そう!」と簡単にはいかない。
今ある暮らしや仕事を手放してまで、すぐに新しい自由を手に入れるなんて、やっぱり怖いし不安だ。
選んだものには理由があって、理由にはメリットがある。
いまの仕事には「安定」があるし、いまの場所には「安心」がある。
たとえるなら、檻の中の鳥。外に出れば空は広いけれど、天敵や飢え、嵐が待っているかもしれない。
「このままじゃ不自由だ」と思いながらも、いまの生活のメリットを捨てる勇気はなかなか持てない。
「本当に新しい世界で自由を得られるのだろうか」
「今よりもっと苦しくなってしまうんじゃないか」
――そんな葛藤が、頭の中でぐるぐると回る。
それでも、今の不自由さには確かに苦しみを感じている自分がいる。
「現状維持」と「新しい自由」――その間で心が千切れそうになるのも、人間らしさだと思う。
小さな自由の積み重ねが、今を生きる力になる
この苦しさの正体は、たぶん「取捨選択が足りていない」ことにあるのかもしれない。
本当は不要なものまで全部抱え込んで、一緒くたに「これが現実」として見てしまう。
そうすると、捨てられるものまで手放せず、重荷ばかりが増えていく。
たとえば、古びたクローゼット。
もう着なくなった服や使わないカバンを、もったいないからと詰め込んでいるうちに、本当に必要なものがどこにあるか分からなくなる。
人生も同じで、不要な物やしがらみまで抱え込んでしまうから、自由が遠のいていく。
でも、本当に必要なものだけを選び取っていけば、少しずつ空間が生まれ、身軽になれる。
大きな自由を一気に手に入れるのは難しくても、小さな自由を一つひとつ積み重ねていくこと――
たとえば、
・朝のコーヒーをゆっくり淹れる
・仕事帰りに好きな道を歩く
・夜の静かな部屋で自分だけの音楽を聴く
そんなささやかな自由が、「今を生きる力」になっていく。
大きな自由を手に入れるより、小さな自由を積み重ねることが、
今を生きる自由につながる。
“全部”を一気に変えようとしなくていい。
「今、自分が選べること」に目を向けて、一つでも選び取る勇気を持つ――
それが、窮屈な毎日の中でも「私は私の人生を生きている」と思える、小さな自信や希望になる。
シンプルフレーズ
全部は選べなくても、ひとつは選べる
こんなふうに、日常の中の小さな自由を大切にすることで、少しずつ「自分らしさ」や「心地よさ」を取り戻していける――そう信じています。

