
真夜中になるとしたくなることのひとつにジャム作りがある。
周りが寝静まった夜中。
琺瑯の鍋に季節の果物と砂糖を入れ
とろ火でことこと、ことこと煮るのだ。
だんだんに立ち上っていく
キッチン中に広がる甘く幸せな香り。
それに包まれながらそぉーっと、そぉーっと灰汁を取っていく。
何度も、何度も・・・
やがて煮汁は澄んだ色へと変わり、
じっくりと火を通せば
徐々に水分は飛び、
旨みは果実の中へと入り込んでゆくのだ。
この時間帯にひっそりと
こうした作業をするのは心地よい。
誰かが突然、来ることもなければ
電話が鳴ることも無いに等しい。
周りを気にすることなく
ただただ鍋の中を見つめ、無心になれる。
ジャムだけではなく
煮豆などの煮込み料理もそうだ。
この琺瑯の鍋とのつきあいは
もうかれこれ20年になる。
ことこと、ことこと。
ゆっくりと仕上がっていく・・・
このひなびた時間が何ともいえず好きなのだ。
”時短料理”もいいが
たまにはゆっくりと時間が美味しくしてくれるものもいいものだ。
時間をかけて作るものは
じんわりと心と体に染みいるように入ってくる。
日中は何かと忙しなく時間が過ぎていくが
夜中や明け方という
非日常的な時間は案外ゆっくりと感じるものだ。
じっくり鍋と向き合っていると
無心になっているからだろうか?
からっぽになった内側には
案外、いい考えが浮かんだり、
それまで忘れていたことや
暫く会っていない人の事なども思い出す。
眠くなったら、その時点で火を止める。
そうしてまた別の日に続きをすれば良い。
こうした時間は
瞑想することと似ているかもしれない。
心地よい満足感が同時に得られるのだから・・・