
仕事の拠点を自宅に移した時。
来客の際に使う小物を見直した。
・・・そうスリッパと靴べらだ。
ともするとスリッパは、ひとつ間違えば
一気にその空間を所帯じみて見せてしまうアイテムのひとつ。
子供の頃から実家のスリッパを購入していた
お茶の水のスリッパ専門店”クロイワ”は
残念ながら既にその姿を消していて
はたと考え込んでしまった。
すると同じくいつも”クロイワ”でスリッパを購入していた
今は亡き親友であった骨董屋の主人の姿を思い出した。
彼はずっと黒い牛革製のスリッパを愛用していて
その軽さと履き心地がえらく気に入っていたからか
入院してから病室用と
たまに許可の下りる外出用と
同じスリッパを2足履きわけていた。
革は使えば使うほど
馴染んで、何とも言えない艶を出してくれる。
そこで
青梅の古民家で靴作りに励んでいる友達に相談した。
その当時、彼女自身、スリッパを依頼されたことはなかったらしく
思いのほか楽しんでくれ
ふたりで「あぁでもない」「こうでもない」などと
素材や色を選びながら
性別や年齢(子供は別だが)を選ばない
シンプルなものに仕上げてくれたのだった。
そしていよいよスリッパが仕上がった時、
届けられた箱の中には
たくさんのスリッパと1本の靴べらが入っていたのだ。
「ほら、靴べらをどうしようって言ってたでしょ?
同じ素材なら玄関に置いても
違和感無いかなぁ・・・と思って。」
それは彼女からのサプライズプレゼントだったのだ。
うん。
確かに違和感なく、むしろ統一感が前面に出ている。
やはり相談して良かった、と
心から思えた。
ちょっと意識しながら家の周りを見直してみれば
個々のデザインが気になってしまうもの、
先のスリッパのように
一歩間違えれば所帯じみてしまうものは
案外多いものだ。
何かの機会に”貰った”ものなどは
思いのほか、自分の生活のスタイルや好みと
相反するものが多い。
それに目を瞑って暮らすのか、
それとも自分の好きなものや美しいもの、
そして自分の意思で選んだものを
少しずつ増やしながら暮らしていくのか。
こうした小物から
考慮してみるのも悪くないと思う。