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簡素な暮らしーSimple of life

日々の暮らしの中での”シンプルな”そして”簡素な”ものやことについて綴っています。




アダムとエヴァが食べた禁断の果実。林檎。
その赤い実はシンプルなフォルムを持ち、
ひとくち口にすれば甘酸っぱい果汁が口いっぱいに広がる。

日本に入ってきたのは明治時代だが
日本ほど品種がある国はあるだろうか?

ヨーロッパの林檎もアメリカの林檎も
紅玉のような酸味のあるものが多く、
日本の林檎ほど甘いものには出会ったことはない。

Parisに行った際に知人から教えてもらったレストランは
前菜からデザートまで林檎ずくしだった。
勿論、飲み物はシードル。しかも呑み比べができる。
そして帰りに店内にある世界中の林檎からギャルソンが
ひとつ選んでお客様への”ちいさな贈り物”として渡してくれた。

林檎は柔らかい布で磨くとピカピカになる。
これは八百屋を営んでいる友達から聞いた。
「お客さんに手に取ってもらいたいからこうやって磨くんだ。」
と彼の手の中からこぼれたそれは、まるで宝石のようだった。

「また太ったわね!体重落とすまで林檎と水だけになさい!」
学生時代。
現代舞踊の舞踊団員として活動していた頃、
体重計を見た
訳でもないのにスタジオに入った途端
500gでも太った
団員を主宰者は見落とすことなく、
怒られたものだった・・・

カロリーが少ないのに”医者いらず”と言われるほど
その栄養価は高い。
まさにスーパーフードなのだ。

学生時代に嫌と言うほど食べたのに、
大人になっても決して嫌にならない食べ物のひとつ。

この季節なら豚の塊肉と林檎、ドライプルーンで煮た”ポットロースト”や
おやつにワインで煮た温かな”コンポート”、
焚火やオーヴンで焼く”焼き林檎”も美味しい。

”焼き林檎”に夢中になったのは
友達の長野にある別荘に行った冬の日。
焚火をしながらアルミホイルで何重にも包んだ林檎を焼いたのを
食べたことが始まり。
いい大人が子供の頃のキャンプファイヤーを思い出しながら
焼き芋と焼き林檎に興じ、研究者の友達は
「アルミホイルを何回包むのが一番美味しくできるか?」
と”実験”をするほど、
焚火のやさしい火の回り方にウキウキしたものだった。

皮は剥かずにそのまま頬張ることが多い。
皮の真下にはポリフェノールが隠れているのだから
剥いてしまうのは勿体ない。
微かな渋みを感じた後、すぐに酸味と甘みが同時にやってくる。

個人的には紅玉の酸味も好きだし、秋映の満足感も捨てがたい。
それにシナノスイートに始まる”シナノシリーズ”の甘みも・・・
スタンダードなところでは王林、フジ、茜、千秋・・・
イギリスへ行くと”ピンクレディ”と”グラニースミス”は必ず食べる。

林檎ひとつで料理本が書ける自信があるほど林檎が好きだ。

先日。友達からオーガニックの林檎をもらった。
今日は寒いから呑みかけのオーガニックの赤ワインで林檎を煮た。
美しいピンク色に染まり、柔らかくなったそれを口にしてみる。
口いっぱいに広がる甘さと芳醇な香り。

外には小雪が散らついていた。

ふたくち目には冷蔵庫にあった冷たいサワークリームを乗せてみる。
冷たい酸味と温かな甘さ。
相反するものは一緒にしてみると案外融合するものなのだ。

シンプルなものは
そのもの自体を楽しむのも好きだが
自分の好みでいかようにも変えることができる、
そうしたところにも大きな魅力が潜んでいると言える。