「ふだん何を食べているのか言ってごらんなさい。
そしてあなたがどんな人だか言ってみせましょう。」
J.A.ブリア=サヴァラン
「いつも健康な食事を摂り、日常を楽しみ、
物に対する執着を持たず、与え、
真実を愛し、人に尽くす。」
発言者不詳
これはいつも自分のココロに言い聞かせているふたつの言葉だ。
今日、自分が口にしたものが明日の自分をデザインする。
これは本当のことだと私は信じている。
こんなことがあった。
私の友人は45の歳に20年以上勤めていた職場から
解雇されてしまった。
以前は休日だけに限らず、普段も自分で料理を作ることを
楽しみにしていた穏やか人だった。
だが、日頃の再就職探しに翻弄されてか、
その楽しみもいつしかおざなりになっていた。
そうしているうちにやっと見つけた再就職先。
元エリートとしてのプライドと
「今度は絶対に定年まで辞められない!」などという
頑なな気持ちから入社当初からバリバリ仕事をこなしていたそうだ。
やがて、なぜだかその人曰く
一緒に働いている人たちが仕事ができない低俗な人に見え、
重箱の隅を突くかのように職場のアラまで探すようになり、
就業時間中は休むこともなく働き
会えば「この会社を私がいい会社に変えてみせる!」などと
会うたびに豪語していた。
当然、帰りは終電間際。
帰り道のコンビニでストレスを発散するかの如く
しこたま弁当や惣菜を買いまくり、
家に帰るなり大した咀嚼をすることなく
”今日初めての食事”を職場から持ち帰った仕事をしながら
”喰らう”のだった。
そんな生活が3カ月も続いた。
近所だからよく会う人だったが
太るどころか日ごと容姿はやつれていき、
険しい表情になり、
イライラと愚痴ばかりが募っていき、
いい歳をしてキレやすくなり、
「できないヤツらに怒鳴ってばかりの毎日。」と言う。
そして人事部からある日、
「我が社をあなたの手で変えられるほど
世の中は甘くはないですよ。」と
試用期間のみで契約を打ち切られたそうだ。
それと同時にその人は多くのものを失った。
心配してくれた友達、自分自身の健康、
そして歪んでしまった心・・・
それから1年近くの歳月が流れているが
まだ再就職先は落ち着いていないそうだ。
随分前の映画作品”SUPER SIZE ME”をふと、思い出した。
某ファストフードのメニューを1ヶ月間、3食食べ、
店員に薦められたメニューは断らないのがルールの
ドキュメンタリー作品だが
結果は想像通り。
彼の体型は戻っても、内臓器官の悪化は二度と戻ることはなかった。
私たちの生まれた国には四季があるのと同時に
食べ物には”旬”がある。
旬は短い期間だが、栄養価が高く、値段も手頃だ。
春には芽吹きだしたもののほろ苦さで
口の中に春の息吹と生命力を感じ、
夏は汗で火照った体の内と外を冷やすような
瑞々しい野菜や果物を食することによって
体に籠った水分や熱を上手く逃がしてもらう。
秋には甘い果実や栗、芋類などが
少しひんやりしてきた外気と相まって美味しく感じ、
茸や木の実などの香りも乾いた空気によく香る。
そして冬には土の中で旨みを増した根菜類や
冬の北風に晒され、甘みを増した葉物で
滋味深さを感じると同時に
春が待ち遠しくなるのだ。
野菜だけではなく、魚も卵なども
旬のものは季節を感じるだけでなく
”舌の記憶”も呼び覚まさせてくれる。
もうひとつ言わせてもらうとしたら
旬のものは茹でる・蒸す・グリルするなどの
シンプルな調理法で、
なおかつ味付けも塩や醤油をほんの少し・・・などの
シンプルな味付けで充分美味しい。
財布だけを持って外へ出れば
24時間営業している店や自動販売機が至る所にあり
私たちは治安の危険をさほど気にすることなく
いつでもそれらを購入でき、
階級制度もないわけだからどんな店へも入れる。
それだけ自由に選べる選択肢があるのだから
せっかく選ぶのなら
自分の内側も外側も磨けるような
そんなものを選びたいものだ。
かといってコンビニなどで販売しているものを
全否定する気はない。
時間に余裕がなければささっと購入して帰宅し、
それらを自宅の器に盛りつけ
ドレッシングやソースなどを自分で作る、
もしくは好みのものを量を調節すれば良いのだから。
そしてもし、あなたのうちにハーブがあるとしたら
加熱する際に一握りのハーブを乗せて温めたり、
鰹節をちょっとフライパンで焙ったり、
焼き海苔を五徳の炎で軽く焙ったり、
ほんの何秒かフライパンで胡麻を炒って
親指と人差し指で擂り潰すように捻ってかければ
それだけでキッチンはいい香りになり、
自分の心も満たされていくものなのだ。
また、それすら難しく
食欲を満たすことが最優先であれば
食後のコーヒーやお茶を丁寧に入れてみたり、
就寝前のハーブティーや
電子レンジを使わず、ミルクパンで温めた牛乳に
シナモンパウダーを振りかけたり
蜂蜜をとろりと入れるだけで
心は自然と満たされていくものなのだ。
前述の友人も
こうしたことだけでもできたら
もしかしたらもっと何かが違っていたかもしれない。
ダイエットに関心が強い人は
自分の意思を持って食事制限をしているかもしれない。
体重計の数字が嬉しい変化を遂げれば
更にダイエットに拍車がかかるだろうから。
だが、ちょっとだけ振り返って欲しい。
体重が嬉しい変化を遂げるのは誰でも喜ばしい出来事だ。
だが、急激な変化は
私たちの目に見えない内臓器官等が悲鳴を上げているかもしれない
ということもわかって欲しい。
蓄積された脂肪が激減すると内臓器官の脂肪も激減し
耳の中にある脂肪が体内の悲鳴を聞きつけ
それぞれの臓器に流れ出していく。
だが、耳の脂肪は一度流れ出すと
二度と戻らず”耳管開放症”という症状も
招いてしまうこともあるのだ。
女性であればホルモンバランスが崩れることも否めないだろう。
旬のものはそれだけで味が濃いから
シンプルな味付けで済む。
もぎたての野菜がいい例だ。
もぎたての野菜は塩すらつけなくとも
それだけで美味しく、しっかりと咀嚼するので
少ない量で満足感が得られるのだ。
それに適度な運動をしていれば
体にとって不必要な水分や栄養素は
自然と体外へと排出されていく。
摂り入れることと排出がうまくいけば
気持ちも穏やかになり、心も安定していくのだ。
”食欲の秋”
自分の内面を磨くように
食生活もシンプルにできるか見直してみるのにもいい季節。
それを意識しながら買い物をしに出かけてみると
食品や調味料の見方や購入の仕方にも
変化が出てくるかもしれない。
