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原始的な自然音階をもう少し説明してみる。例えば二つの音を同時に鳴らす「和音」の中から響きの美しい(二つ以上の音を重ねたとき唸り=差音=の出ない)完全4度は3:4の振動数比、完全5度は2:3の比で作る。(実は現在でも普通耳にするヴァイオリンなどの弦楽器の弦は、この比率で調弦する)この整数比を繰り返して音を作って行くと、最初のオクターブが1:2でなく妙な比率1:2.0272…といった具合になってしまい、「うなり」を生じてしまう。つまり自然倍音の繰り返しでは、旋律に制限が出来てしまう。
人類は自然音から抽出された音階だけで音楽を作ると、とてつもなく不自由だということにかなり早くから気がついていた。これを解決するために人工的に色々な音の高さの組み合わせを上記のように考えたのだが、その音律はどれをとっても少しずつ困った問題を抱えていた。どのように音を組み合わせてもある程度綺麗な和音が出来るのだが、自然倍音のような唸りのない響きは作れない。そしてオクターブの問題を何とかクリアする音の並び方を編み出しても、音どうしの高さの差が一定にならず、楽器はそれぞれある一つの音を出発点=中心にした調子の音階しか滑らかには作れない。一つの楽器は一つの調にしか調律できないし、一つの調の音楽しか演奏できない。(後記の「転調」と呼ばれる調子の変更を行おうとすると、長時間かけて調律をしなおさなくてはならない)
音楽が発展するにつれて、様々な高さの音を、音階の出発点・終結点とすると(これを現代でも“調子”と呼ぶ)、それぞれに特徴があって(例えばある調子は重厚に、ある調子は熱情的に響く)、曲ごとに、あるいは曲の途中で調子を変えると表現に非常な幅が出る。つまり“転調”を行いたくなる。ところが、バッハが登場する前辺りでは、「美しい響き」重点で音階=音律が組み立てられていたため、一つの楽器で色々な調子を自由に演奏することが出来なかった。この問題をある程度解決するために考えられた例えば「ミーントーン」は、いわば響きと便利さの双方を何とか妥協させた音律で、非常に成功し、グスタフ・マーラーの世代あたりまで重用された。
これら先行の音律を多くの音律研究者が改良し “うまく調律”したのがWell-Tempered 「ウェル・テンペラメント」の楽器である。バッハはこの調律方法の楽器を気に入って「平均律クラヴィア曲集」を書いた。この曲集は、Well-Tempered楽器1台で演奏できる24の調子の佳曲からできている。


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原始の時代、人間は自身の声を出すか、何かを叩き、擦り、吹くことで「音」を出した。この音の中には、自然に無数の倍音(高調波)が含まれる。その中で強く存在するのはその発音体が固有に持つ音(基音)の整数倍の音や整数比の音である。例えば「ド」の音には自然に「ソ」の音や、何オクターブもの「ド」の音が強く含まれる。これら自然倍音の中で、耳に気持ちよく感じる音を、人類は本能で選び出し、地球上の色々な地点で民族ごとに音階を自然にこしらえた。だから、いわゆる近代文明に遠い距離にある民族にも、例外なく音律がある。
そしてこのいわば自然音階とも呼ぶべき音列を、様々な民族がそれぞれの美的感覚に従って二次あるいは三次信号化した。その中の『完全純正律』『純正調』(15世紀)『ピタゴラス律』『ミーントーン』(16世紀)を初めとする数十の調律法が生き残っている。西欧諸国だけをとって見ても、国毎に特色ある音階・旋律がある。しかしこれらの音律にはそれぞれ長短があった。(因みに日本で聞く機会の多い「グレゴリオ聖歌」が実に独特の響きを持つのは、非常に美しい5度の音階を繰り返して作られる7つの音でできたピタゴラス律を基礎に書かれているからである。後世の音楽に比べると単調だが、響きは実に美しい)



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