ロデオ★座★ヘヴン振り返り 前編 | 菅野貴夫の野球電鉄

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俳優・菅野貴夫のブログです。
「どこ鉄」とは、友人から送られてきた鉄道写真を、それがどこで撮られたものかを推理・検索・悪戦苦闘しながら解いていくシリーズです。

さて、もう2週間ほど経ってしまいましたが、、
ロデオ★座★ヘヴン『日本演劇総理大臣賞』の振り返りをしたいと思います。


御来場くださったお客様、本当にありがとうございました!

ならびに、素晴らしいスタッフの皆様・共演者の皆様、ありがとうございました!

長いこと演劇をやってきましたが、全ステージでここまでお客さんの熱気が凄まじかった舞台は、初めてです。本当に凄かったです。


今回の『日本演劇総理大臣賞』は、
戦時下の日本、国による検閲が行われている(稽古場にも警察の監視が入る)なかで演劇作品『残り火』をつくっていく劇団チームと、
その1年後、政府により創設された戯曲賞「日本演劇総理大臣賞」の最終選考会にて、本命と目された『紙吹雪』に5票が集まるなかで1票だけ『残り火』に入り…という会議チームの、
2つの世界で構成されていました。


それでは素敵な出演者の皆さんの写真で振り返りたいと思います。撮影してくださったのは、ロデオ制作のまえこさん(前川裕子さん)です!ありがとうございます!


まずは劇団チームから。

澤口渉さん(ロデオ★座★ヘヴン)。

劇団「極楽座」の座付き作家・幹彦。
体制にも食ってかかる危うさ、作品だけでなく芸術文化に対する想い。
セリフを変えさせられるシーンの葛藤、劇団員の芝居に対する厳しさ、召集が決まった直後の稽古、そしてラストシーン。この写真もそうですし、なんと言っても眼差しにこもった熱量が凄かったです。この作品の求心力そのものであり、カリスマ。
「どうだ、これがロデオ★座★ヘヴンの澤口渉だ!!」と、なぜか僕が声を大にして言いたくなります。

あと、もう一つの作品『アイラブユー』での渉さんは最高に怖くて気持ち悪くてカッコ良すぎて、僕らはみんなファンでした。


田中良子さん。

極楽座座長・雪子。
この眼差し。前髪。
劇団の看板女優としての矜恃、残った劇団員たちを守るという決意。
もうね、うっとり魅入ってしまいました。今回唯一、両チームが混ざる場面では、その時のお芝居がすごすぎて、危うく持っていかれる所でした。僕は絶対に持っていかれちゃいけないのに。
まさに劇団極楽座と、そしてこの公演を背負った女優の力、というものに感嘆するほかはありませんでした。ほんっっっとに素敵でした。と、またファン目線になってしまいます。



鶴ちゃん(鶴町憲さん)。

極楽座劇団員・桑山。
仲間を想う厚く優しい男。検閲に最後まで抗う反骨心。
さすが鶴ちゃん!という桑山さん。なんだろ、役に血を通わせることに抜きん出た俳優さんなのだと思います。インタビューの場面では笑わせられ、退団を決める場面や最後の幹彦とのやりとり、何度も涙しそうになりました。
あと、裏(楽屋)で準備している時の鶴ちゃんも、衣装に着替えるタイミングに関して極端にナーバスになっていたりと目が離せません。


もりりん(森田陽祐さん)。

極楽座劇団員・安納。
実はこの劇団を陰でいちばん支えている存在。みんなの意見を聞いてまとめ、時には叱ったり諭したりもできる人間性。警察との間で緩衝役にも。
劇団員がバラバラになりそうな喧嘩の時、グッと堪えながら思いを吐露する安納さんには、僕も演劇人のはしくれとして胸が熱くなりました。
舞台上で共演してみたいなあ…。
あと、もりりんがTwitterで言ってたけど、劇中劇で演出によって芝居が良くなっていく(ト書きに書いてあるw)、というのは無茶苦茶難しいことだと思うので、劇団員役の皆さんは本当にすごいです。

すぎちゃん(杉山圭一さん)。

監視の警察官・多々良。
つねに稽古場で目を光らせ、時に権力をチラつかせ、時世にそぐわない設定や台詞は容赦なく変えさせる。
今回、前から観てみたかった1番のシーンは多々良さんの表情ですね。劇団員にとっては敵なんだけど、本人も「仕事です」と言い切っているんだけど、最後の稽古で演劇にのめり込んでしまった時の顔。おそらくこの写真なのでしょう!それ考えただけで泣きそう。ああ、生で見たかった。
冷徹な憎まれ役から最後にガッツリ持っていく、すぎちゃんの力に脱帽です。


鈴木朝代さん。

新聞記者・春子。
初々しく一生懸命な姿で劇団に新しい風を吹き込む。時には劇団員たちに昂然と意見をしてしまう熱さとまっすぐさ。
彼女の目線でこの作品を観た、という方も多かったようです。
劇団員が春子に愛着を持っていく過程とか、劇団内の話なのに意見を言っても嫌味がないのは、彼女の持つふんわりとした魅力あっての事だと思います。朝ドラの主人公みたいでしたよね。
お酒が入ると違う面が出てきますので、見逃せない人です。相当なラーメンマニアらしいし。





公演のこと、皆さんのことを思い返すと、力がこもってしまいました。

会議チームは次にします。

その会議チームのなかで、スタジオ稽古終盤にみんな思ったことがあって。
それは、「今後は劇団チームの稽古を見ないようにしよう」ということ。

劇団チームの熱量がすごくて、しかも演劇人である我々には役とかを超えて刺さってくるものがあって。
見入ってしまうと、次のシーンの自分たちの演技に支障が出る、と。


それでも本番のモニターや舞台袖で聞こえてきた声などでまた心を動かされて。

そんな複雑な事情のなかで好き放題書いたことをどうかご了承くださいませ。