通勤できない人を積極採用。テクノロジーが広げる、障がいのある人の“働く可能性” | うーのブログ

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シェアばかりですが、良い情報なので
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人それぞれですが、まだまだ働きたい人も
いるかと思います。
いろんなことに諦めずに社会参加できる
世の中を目指して。
可能性はたくさんあります。
 
https://www.recruit-lifestyle.co.jp/lifeshift/ls22427_20170126
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2017.01.26

通勤できない人を積極採用。テクノロジーが広げる、障がいのある人の“働く可能性”

 

2017.01.26

通勤できない人を積極採用。テクノロジーが広げる、障がいのある人の“働く可能性”

ICTは、働く場所や時間だけでなく、職業選択の自由度を拡大する。オフィスと労働者の物理的な距離の解消だけでなく、例えば、障がいを持つ人が、スキルを活かし、自分が働きたい仕事に従事する機会を広げることにもなる。その技術を活用し、重度障がい者の在宅雇用を推進してきたパイオニア的企業が、OKIワークウェルだ。同社では、独自開発の音声コミュニケ―ションツール「ワークウェルコミュニケータ」による“バーチャルオフィス”で、社員の半分にあたる43人が、在宅勤務で日々の仕事に従事しているという。ICTは、障がい者の仕事における壁をどのように飛び越えさせてくれるのか。企業の成り立ちから今後のビジョンまで、津田 貴社長に話をきいた。

きっかけは、自身がケガをしたこと

OKIワークウェルは、IT企業であるOKIのグループ会社だ。現在、代表取締役を務める津田氏もその出身であり、ソフトウエア開発に従事していた。しかし、ある日、会社の球技大会で足を骨折してしまう。

「松葉杖が必要だったので、通勤したくても電車に乗ることがすごく怖かった。働く意欲はあったものの結局2カ月休職せざるを得ませんでした。そして、職場復帰後、会社に社会貢献推進室なるものが設置されているのを知りました。休職中、“福祉”というキーワードが頭の中に浮かんでいたこともあり、その扉を叩いてみたのです」

社会貢献推進室には、すでに、障がい者の在宅勤務プログラムというアイデアがあった。それを実行レベルに押し上げるために、技術畑だった津田氏のスキルや経験、そして熱意は重宝され、みずからもマネジメント役に挙手したという。

「企業が社会貢献するとき、本業とかけ離れたことをすると継続しにくいと思います。だから、IT企業であるOKIらしいことをしよう、と。プログラミングやデータベースの構築、ホームページの制作ですね。これらの仕事は、当時もアウトソーシングされることも珍しくはありませんでした。だったら、在宅勤務者でも実行可能なものだと思ったのです。通勤ができない重度の障がいであっても問題なく働ける環境、つまり通勤できない人を積極的に採用しようじゃないかということですね」

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在宅勤務者が働きやすい“オフィス”をITで実現

当時は、離れた者同士のコミュニケーション手段は、電話やメールが主流。仕事や意思伝達のスピードも決して早くはなく、マネジメントできる範囲も限られていたそうだ。それを大きく変えたのが、自社独自開発の「ワークウェルコミュニケータ」の導入だったという。

「在宅勤務者は、まず、サーバー上の勤怠管理システムにログインしメールで始業を全員に伝え、会社が貸与するパソコン周辺機器を使って、ワークウェルコミュニケータでネットワークに常時接続しながら仕事をします。ワークウェルコミュニケータは、チャットだけでなく音声でのコミュニケ―ションを可能にするソフトウエアで、“会議室”などの部屋が割り当てられたいわばバーチャルオフィスのようなものを視覚的に実現しています」

「近年は在宅勤務者の人数も増え、スキルや経験、その人の介助や通院のスケジュールも加味しながら、チーム制を取るようにしました。すると、管理者から勤務者へ、勤務者個別のメッセージだけでなく、チーム内で同時にコミュニケーションを取りディスカッションする必要がでてくる。そういった時に、“会議室”を使うのです。例えば、“会議室1にON”すれば、そこにいる人たち同士だけが同時に音声や文字のやり取りができます。また同時に、管理者も、誰と誰が“会議室1”で打ち合わせをしているという状況を確認把握できます」

もちろん、テレビ電話などの機能もあるが、メインで使われているのが、この音声と文字でのコミュニケーションだという。インターフェイスも極めてシンプルだ。

「重装備されているからといって、優れている、つまり、使いやすいとは限りません。また、それがかえって在宅勤務のやりにくさに繋がる可能性があるんです。例えば、オフィスでは上司が部下に、『ちょっと、このプロジェクトの進捗どうなってる?』とか、部下が『ちょっと、この企画書をチェックいただけますか?』と言ったりしますよね? 在宅勤務者は、その“ちょっと、ちょっと”のコミュニケーションを求めているのです」

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データの確認や納品は社内サーバーを使えばいいし、ストレスなく、かつ孤独感を感じさせない、“ちょっと、ちょっと”の会話がしやすいコミュニケーションツールを用意することで、事実、働き手のモチベーションや生産性はアップし、同時にマネジメントもしやすくなったそうだ。では、具体的にどういった案件の仕事がここで行われているのか。

「案件の約97%は、OKIグループからの発注です。営業チームが使う顧客管理システムや、社内研修システムなどの開発、ホームページの更新やデータベースの構築、また社内報のデザインなども行っています。グループ外の案件は、障がい者委託訓練や新しくできた学校の校章、“ゆるキャラ”のデザインも。当初、われわれが抱えていた品質や納期などに対する不安は、いまではほとんどありません。事実、今では、依頼が増えてお断りするケースもあるほどです」

ICTは、障がい者雇用の枠を超える

インフラが整い、実績も高く評価された今、津田社長は「在宅勤務コーディネイターの存在も、大きなカギを握る」と言う。在宅勤務コーディネイターとは、在宅勤務者と会社を繋ぐ人。それは、仕事のマネジメントだけでなく、在宅勤務者と特別支援学級に赴き、実際にICTを活用した働き方を伝える「出前授業」や、「遠隔職場実習」など、社会にコミットした活動も広げていきたいという、津田社長の想いでもある。

「そもそも障がい者の在宅勤務制度が、企業の障害者雇用率を高めるためだけのものになってはいけませんから。いわゆる仕事以外の活動にも力を入れていきたい。在宅勤務者のキャリア形成に役立っているし、特別支援学校の先生や子どもたち、またその保護者たちにも喜んでもらっています。まだ、多くの人が、“通勤できないと就職できない”“軽作業などできる仕事の内容は限られている”と思っていますから。障がいのある方は、お世話してほしいのではなく、働きたいと思っています。そのことを理解してアプローチできる在宅勤務コーディネイターの育成が不可欠です」

また、現在、OKIワークウェルでは、このICTツールを、仕事の場だけでなく、教育というフェーズに活用することも試みている。2016年にも、特別支援学校で、ワークウェルコミュニケータに他のデバイスを組み合わせ、遠隔社会科見学を行った。

「ネットワークカメラと、タブレット端末でのネットワーク上の黒板ツールを組み合わせて、北海道と東京の特別支援学校の生徒が、香川県の小豆島の醤油メーカーで社会見学をするという遠隔授業を行いました。いまや、タブレット端末などは、ほとんどの学校で使われていますから、お金をかけなくてもできることです」

北海道や東京から香川県へ移動するということは、容易ではない。物理的な距離は、障がい者も健常者も同等だ。ある意味、ICTを活用したサービスは、誰にでも同じ恩恵を与えてくれるということである。

「私は近眼。眼鏡がないと普通に歩けません。たまたま目が悪い人が多かったから眼鏡という道具が生まれ、普及し、それをお店で買えば、普通に暮らすことができる。いまはインターネットが普及し、通信速度も上がり、端末や入力出力のデバイスも進化しています。眼鏡の方が早く誕生しただけとも言えるでしょう」

2017年には、指の動作に不自由がある方も入社する予定だという。電話のボタンを押すことができない。しかし、ワンキーマウスを使えば入力作業もでき、アプリ越しに通話もできる。デバイスを換え、ICTを駆使すれば、働くことができると判断したそうだ。

「今後、ICTを始め、デバイスも進化していくと思います。それにより、さらに障がい者の仕事における壁はなくなるだろうし、仕事をするという面で、障がい者も健常者も変わらなくなるかもしれません。オフィスに通勤できるということが、雇用において優位になるとは限らない日が来るかもしれません。それが理想ですね」

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津田 貴

株式会社沖ワークウェル取締役社長。グループ会社である沖電気工業株式会社(OKI)在籍時に、社会貢献推進室を中心に障がい者の在宅雇用プロジェクトを推進し、マネージャーとして参加。2004年、株式会社沖ワークウェルを設立後、2010年現職に就任。2010年には、在宅勤務社員が執筆した『障害者が思いっきり仕事できる日本でいちばん働きやすい会社〜OKIネットワーカーズ物語〜』が出版に。2016年には、「第9回ワークバランス大賞優秀賞」、「平成28年度 テレワーク推進企業等厚生労働大臣表彰」を受賞。