以前 、
よく通る道の 古い長屋が
取り壊されていたとき

古いカレンダーが懸けられたままの
部屋の中が見えました

何年か はっきりとは
思い出せませんが、
私の母が 子どもの頃くらいだな と
その時思ったので
今から60年近く前の カレンダーでした

その頃から ずっと 
時間が止まっていたなんて…


気づけば 建物はすっかり無くなり
長屋の跡には 
柔らかそうな土が 表れていました



三谷の山野草の里で
荒れた田んぼの跡に 
水を入れるようにしたら
それまで 生えなかった植物が
現れ始めたという話を 
教えてもらったことがあります


土も 植物も
息を潜めて 眠っていて、

その時が来れば
目覚め 現れる

どんなに 覆われても 隠されても
ちからを 失うことは無い

逆らわず
じっと 時を 待つ

たとえ
文明が 滅んでも

鎮まり還った時に
ゆっくり ゆっくりと
音もなく 現れて

いのちを 育んでゆくのだろう


何度でも

はじめから