明けましておめでとうございます~!
今年も迷走しながらもスキビ二次にどっぷりかと思います…。
皆さまよろしくお願いいたしますー!!
リアルにこの年末年始はバタバタなスケジュールです。ようやく時間が取れたので、ご挨拶だけでも…とPCの前に座っております。
もうね、新年のスタートから二日酔いとか、記憶をどっかに落っことしてきたとか酷いもんです。
もうちょっとお酒はスマートに飲めるようになりたいものですww
ひとまずっ。
1月頭はちょっと更新が難しそうなので、しばらくは停滞すると思われます…。
まずは続き妄想をなんとかしたいですけどね…。
ううう、気ままにがんばりますー!
手短ですがひとまずご挨拶まで。
去年の12月にスキビ二次をはじめ、気がつけばあっという間の1年でした。
去年の今ごろは本誌の展開に気が気じゃなかったな…←遠い目
以前に比べたら更新が遅く中だるみ万歳な私ですが、皆様にいろいろ反応していただき支えられました!
基本ビビりな癖に、楽しいことはとことん楽しみたい、変なところはアグレッシブな自分にビックリな一年でございました!
私に絡み付かれた不幸な作家様は数知れず、リアルでも絡み酒で実際にお会いできた方もいらっしゃって、二次って楽しいなぁと若返った気持ちでした!
同人イベントで大ファンの作家さんに差し入れもって新刊を買いにいったり、緊張のあまり感想も伝えられずに同人誌を購入しただけとか、昔の行動が原動力になってた気がします。
あの頃はまだ酒の味も知らず、懐も寂しい学生時分でしたので、いま考えるとイロイロスゴいな…。
ともあれ、皆様と一緒にスキビファンとして過ごすことができてよかったです!来年もヨロシクお願いいたします!
さてと、今後の見通しとか言い訳とか…まいど嘘つきですが性懲りもなく書き連ねておきます。
カレンダーと無縁の生活を送ってますので今日が仕事終わりで明日が仕事はじめです!その隙間に年末年始行事が詰め込まれるのであまり時間がありませんー。スケジュールみたら1月も7日辺りまでフリーな時間がとれない…?
二次の更新は恐らくしばし停滞ですー。期待しないでくださいね…
ACT205妄想
誰だよー、年内にはとかいってたのは!←12月頭の私だ…
ひぃ!もう一ヶ月近く止まってる!このパターンは繰り返してるのに懲りないなぁ。
短編は思い付かん!とか秋口から思ってたのに、12月はなぜか人様の便乗妄想に書けないと思ってたのにキョコ誕とか、自分でも何が飛び出すか全く予想がつきません。
でも次回こそ!?長編は書き貯めしてから発車したいなぁ…←無理だろうけど。
あとは誤字の激しい過去記事の修正やら別館の整備やらやりたいなぁと思ってることは多々あるのですが、腰が重すぎて進みません。あー、まずはダイエットかw
ますますペースダウンしそうですがのんびりお付き合いいただけると嬉しいです~。
それでは皆様、よいお年をー!
霜月さうら拝
やっぱり遅刻したキョコ誕…。というか!もともと何のネタも浮かばずにスルーする気満々だったのに、24日の23時ころケーキ食いながら小ネタが降りてくるってどうよ!?
しかも書いてみたものの、あまりまとまりがないという…。そんでありがち、かも。いい加減にしろよ自分orz
そんなわけでキョコさん!誕生日おめでとうございました!
そしてたくさんの作家様方!キョコ誕に合わせて沢山のお話を拝読・イラストを拝見できて幸せでしたー
ありがとうございます!!
恋人同士な蓮キョ設定の小話↓
*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆
特別な日に特別な楽しみを
グラスに入った細かな泡を立て薄い黄金色の液体を飲み干したキョーコは、すかさずその口に手をかざして蓋をする。
薄口のグラスがキョーコの手のひらに触れて、ふわわっと綺麗な音を響かせた。
「もうっ、ダメです!」
「どうして?キョーコ好きでしょ?」
ボトルを片手に、どうしてダメなのかと食い下がる蓮は、空けたシャンパンがもったいないんじゃない?とキョーコの姿勢を崩しにかかる。
「そんなこと言って敦賀さん、私に注いでばかりで自分はそんなに飲んでないじゃないですか!いつもなら飲みすぎるのを怒るくせに!」
「それは外の話。今はうちだし、俺しかいないし、明日はオフだし。美味しくって飲みすぎたって何も困らないよ?」
お酒を楽しみだして日の浅いキョーコが好むアルコールは、蓮にとってはだいぶ甘い。そんなに強くはないが、美味しそうに楽しそうにお酒を楽しむキョーコと一緒に飲めるようになったのは蓮にとって嬉しい事。そしてアルコールに潤びたキョーコを美味しく頂く楽しみはやめられない。
今日だって特別な日には特別なモノをとは思うけれど、庶民的感覚の愛しの恋人にそれを入手するまでの対価を見抜かれると、アルコールそのものを楽しむ以前にお小言が降ってきて恐縮と先入観からちゃんと味わってもらえないというのは過去の度重なる学習で習得済み。
本日、キョーコを楽しませているのは十分高い!と文句を言われる階下のスーパーマーケットで扱っている大衆的金額の優良品。飲みなれていていつ飲んでも美味しいと感動してくれるいささか安い買い物だが、小言を言われたあげく美味しさが分からないと言われるよりはふわふわと可愛らしく笑うキョーコとの時間を少しでも長く確保したい。
そんなキョーコの性格を知り尽くした蓮のチョイスに、キョーコの文句をつける場所は少ないはずなのだか、今日はなんでか拒否をされる。
空いたグラスに追加を注ごうとする蓮と、それを拒否するキョーコ。
コレ、美味しくない?と首を傾げる蓮はいつぞやに見たことある大型犬の癖に耳を垂れたワンコ状態。でもそんな仔犬は実は狡賢い仔ライオンでもある事キョーコは知っている。
分かっていても凶悪に可愛らしく母性本能を擽る仔犬の皮に、『う……』とキョーコは怯みそうになるが、今日の一番をこの後に控え引くに引けないのだ。
「食事はいったん終わりにして、お風呂に入りたいんです」
「じゃあコレを飲みきって一緒に入ろう?」
「…一緒に入ったらその後が無いじゃないですか」
「あとって?」
ベッドの中で甘いデザートを楽しむだけだけど?と、どストレートに表現してはさすがにそのデザートに逃げられてしまう。曖昧ににっこりと蓮が微笑んで見せれば、キョーコは胡散臭そうな視線を投げてよこした。そんな視線でさえ、アルコールに潤んだ瞳で突き刺されれば蓮の頬はついつい緩んでしまう。
世の恋人たちが甘々しく過ごす日だというのに、なんとつれない事か。
今はクリスマスイブ。
時計を見上げればもう1時間半もすれば日付が変わってクリスマス。
ただでさえ恋人との語らいに酔ってもいいはずの日なのに、世間一般の恋人たちと違うのはクリスマス=恋人の誕生日という一大イベントでもあるということ。
「あとは…デザートです」
「俺も同じことを考えてたよ?」
「嘘ばっかり」
そういってキョーコは蓮の手をよけて食器をシンクに置くと、素早くバスルームへ消えてしまった。
逃げられてしまったとはいえ、ここは自宅でキョーコの行先はバスルームとはっきりしている。
夜はまだ長いし、毎年のごとくおめでとうと、一番乗りでお祝いをするのはもう1時間ほど先の事。
「あま…」
逃げられてしまったデザートを深追いせず、蓮はボトルに残った甘めのシャンパンを自分のグラスに注いで口に含む。べた付く甘さではないのだけれど、どうしても蓮の舌には甘味が強く残る。
甘いのはキョーコだけで十分だと一人ごちて、甘くなかった恋人の見えない背中を追うように視線を廊下につながる扉に滑らせた。
酔うほどのアルコールは摂っていないのだが、クリスマスイブを恋人と過ごせる喜びとその時間を確保するために削った睡眠時間と詰め込んだスケジュールから少しぼんやりしていたのかもしれない。
シャンパングラスだけが取り残されたテーブルの前で、蓮は甘いとぼやきつつも緩やかに一筋の泡を立ち上らせるシャンパンを舐める。
蓮にとってのデザートはキョーコ自身だが、キョーコが指したデザートは本当にデザートなのだろう。
小食の蓮でもまだキョーコとデザートを楽しむ余裕がある。それは蓮の胃袋を本人以上に知り尽くしているキョーコが本日のディナーを調整しての事だ。
そういえば、以前とっても美味しいケーキを作るお店と巡り合ったのだと嬉しそうに話していたのを思い出す。もしかして例のケーキ屋のケーキを買ってきてあるのだろうか?と思っていると、カタリとリビングのドアが開き、湯を使ってきたキョーコが戻ってきた。
「おかえり」
蓮が片手を差し伸べ、おいでと手招きするようにその手を広げる。
キョーコは一瞬警戒の色を見せたが、来てくれないの?とでも言うように小首をかしげた蓮に負けてちょこんと蓮の隣に座った。
「敦賀さんも、お風呂どうぞ?その間にデザート準備してますから」
腰を絡め取った手を牽制するキョーコに構わず、蓮はキョーコを引き寄せる。風呂上りの温かなキョーコの肌からは控えめで清潔な石鹸の香がふわりと香る。甘いアルコールは湯でさっぱり洗い流してきたようだ。
バスルームに常駐してあるキョーコの好きなローズの香ではない控えめなそれ。抱き寄せたキョーコの項に鼻先をうずめたまま蓮は思わず浮き上がった疑問をそのまま口にした。
「ソープがいつもと違う。どうしたの?」
すんすんとまるで犬のようにキョーコの肌に鼻をすり寄せる蓮の呼吸が項を撫で、キョーコは擽ったそうに首をすくめた。
「だって、しっかり味わいたいんですもん…」
「いいね、それ。キョーコの香りを堪能するのもいい」
がぶりとキョーコの首筋を甘噛みしその肌をぺろりとひと舐めすると、ぞわりと震えが唇を通して伝わってきて蓮はクスクスと笑った。
「もうっ、ケーキの話です!ずっと食べるのを夢見てたんですから!酔っぱらった状態じゃなくてちゃんと五感をフルに使用して見た目も味も香りもじっくり味わいたいんですっ」
べりっと自分から引きはがすように蓮を押し退けたキョーコは、そのままキッチンへと逃げ込んだ。
「お茶を入れて一服してから、日付が変わるころにケーキを食べましょう?まだちょっと時間があるからお風呂に入ってきてください」
キッチンからお茶を用意するために働くキョーコが奏でる生活音が響いてくる。
これ以上ご機嫌を損ねてはと、蓮はのそりと立ち上がりキョーコの指示に従いバスルームへ向かった。
「おかえりなさい」
シャワーで汗を流しただけの蓮は、ほどなくリビングへと舞い戻った。
バスルームに使えとばかりに置いてあった無香料のソープを使用した蓮は、いつもの風呂上がりと何かが違うようで、ほんの少し、なんとなく居心地が悪い。
正しくは居心地の悪さでなく、ここまで自分のおねだりを無下にあしらわせキョーコが居住まいを正して味わおうとする『デザート』に対して抱いたほんの少しの面白くなさ。
そんなモヤモヤした感情を心の底に抱えつつも、温かな紅茶の香の漂うリビングでキョーコがふわりとほほ笑んで出迎えてくれたことで嬉しくなる自分に苦笑する。
キョーコは湯上りの蓮にミネラルウォーターと紅茶とどちらがいいか聞きながら、ちらちらと壁にかかった時計を気にしていた。
時刻はもうすぐ0時を指す。
キョーコはいそいそと冷蔵庫から小ぶりな白い箱を取り出し、リビングのテーブルの上に運ぶ。
既に皿とフォークがスタンバイされたテーブルに、蓮は小さめの足つきグラスを棚から取り出しセッティングする。キョーコが喜びそうだと選んだ薄桃色のシャンパンはハーフボトルで、デザートを味わいつつの1杯ならいいだろうと、文句を言われた時のことを考えつつそろそろと準備をする蓮だったが、キョーコは箱の中のケーキに意識が集中しているようで全く気付く様子が無い。
そんなにケーキに夢中ですか、と先ほど収まりかけたモヤモヤがまた蓮の心中で蠢くが、早くと手招きするキョーコに急かされて蓮もキョーコの隣に腰を下ろした。
「開けますよ?」
まるで宝石箱を開くかのように、うきうきどきどきした表情でキョーコが白い箱をゆっくりと開いた。
持ちあがった蓋の中から現れたのは、直径15㎝弱の小さな小さなホールケーキ。
滑らかな生クリームの上に真っ赤な苺が鎮座した、シンプルで王道のショートケーキだった。
「随分と小さいね」
定番のホールケーキをミニチュアにしたような小ささなのに、しっかりと『ホール』であることを主張する佇まい。スポンジに挟まれているであろう苺は側面の真っ白な生クリームに覆われて今はうかがい知ることができない。
「可愛いでしょう?こんなに小さくてもちゃんとホールケーキなんですよ?」
それにこれ以上大きかったら二人で食べるにはちょっと辛いですというキョーコに、そうだねと相槌を打つが、蓮の目にはただ小さい普通のケーキにしか見えない。
「これが、特別なの?」
思わず零れてしまった疑問。
いじけたような質問に蓮はしまったと思ったが、幸いなことにキョーコはその裏に潜む嫉妬心には気づかずただ本当に素朴な疑問だととらえたようだった。
「そうなんです!以前仕事で知り合ったケーキ屋さんのご主人に頼んで作ってもらったんです」
ケーキの類も職人顔負けの見た目と味のモノを自作できるキョーコがわざわざ購入してきたケーキ。
それは言わずもがなキョーコの琴線に触れる至上の味わいなのだろうと理解できるが、それでも商売屋の商品であることには変わりない。
「以前いただいた時にとっても美味しくって。でも小さいお店だし、気難しいご主人で個別の注文は基本受けてくれないんです。どうしても、ここのホールケーキが食べてみたくって…」
「カットケーキじゃダメなの?」
「だって夢じゃないですか、ホール丸ごとって…」
丸ごとだろうが切り分けてあろうがケーキには変わりないと思うのだが、蓮には理解できないこだわりと憧れをキョーコは持っているようだった。ホール丸ごとと言うとどうしてもブラックホール胃袋を持つ食に関しては遺伝しなくてよかったと思うハリウッド俳優が脳裏をチラつき、蓮は軽く頭を振ってその姿を頭から追い出した。
頑固な職人気質な主人は、どことなくだるまやの大将に通じる空気を持つ人だった。お店のケーキに惚れこんだキョーコが食い下がり、仕事を通じてキョーコの人柄を気に入った店主はある条件ならば注文を受けてやってもいいと最終的にはキョーコにほだされていた。
「しかもお店で取り扱ってない、特注の小さいサイズですし」
「そんなにこだわらなくても…。通常サイズなら受けてくれたんじゃないの?」
「だって、敦賀さんと食べたかったんだもん。ホールケーキ」
蓮にはよく分からない理屈だったが、キョーコがこだわっている一部分は『自分と食べる』ためのケーキであることが読み取れ、ほんの少し胸中のモヤモヤが薄らぐ。
「ご主人が出してた条件に当てはまる時なら作ってくれるって言ってくれて、それで今日念願かなってここにそのケーキがある訳ですっ!」
「条件って?」
そうまでキョーコがこだわるのであれば、それなりの条件なんだろう。
でもそれならば、クリスマスも誕生日も特別ではあるけど年に1度はチャンスがあるはずで、気難しい店主が出した『条件』とは蓮には思えなかった。
「特別な人と、特別な時に食べるケーキだったら作ってやってもいいって…」
キョーコの口から出た条件に、蓮は思わず目を見開いた。
だるまやの大将の様なタイプのケーキ職人がそう暗示すると言えば…。
しかし目の前の恋人は時折ありえない斜め上方向に天然で、そんな意図は何も持ってはいないかもしれない。恋人の座に納まってなお進化する蓮の学習能力が警鐘を鳴らしている。
「…だから敦賀さんと一緒に過ごせるクリスマスと誕生日は当てはまると思ってお願いしてきちゃいました」
蓮と過ごすクリスマスで誕生日は特別な人と過ごす特別な日だとキョーコは言う。もちろん蓮にとっては喜ばしい言葉だ。言葉を言葉のまま解釈すればキョーコの条件は当てはまるのだろうけれど…その通りだろうけれど…。
きっとこの無邪気な笑顔でそう言いきられた店主は、自らの意図と異なっていてもこの注文を受けないわけにはいかなかったのだろう。自分同様この天然娘に振り回される大の大人の光景が蓮の瞼の裏にくっきりと浮かぶ。
「あっ、メリークリスマス!敦賀さん」
蓮がいろいろな方向に思考を巡らせている間に時計は0時を回って日付が変わる。
「お誕生日おめでとう」
キョーコの声に引き戻された蓮は、不意打ちを食らいつつも今年もまた一番にキョーコに祝いの言葉を贈る。祝福の言葉にキョーコはふわふわと花のように笑う。
小さな小さなホールケーキは切り分けずに、お互いにフォークをそっと突き刺して一口分取り分けた。
「はい、あーん」
ずいっと目の前に突きだされたケーキにキョーコは目を丸くしたが、恥ずかしそうに微笑んだあと素直に口を開き蓮の手に持ったフォークから最初の一口を口内に招き入れた。
「おいしい?」
「もちろんです!」
うっとりと目を閉じてケーキを味わうキョーコの喉が動いたタイミングで声をかければ、即座に返ってくる返答と同時に、蓮の目の前にも一口分のケーキが差し出される。蓮の意図など分からず自然に返しただろうキョーコの行動に嬉しい笑みが零れそうになるのを持ち前の演技力でカバーし蓮もケーキを味わう。
甘さ控えめで洋酒の効いた生クリームと、口の中で溶けるスポンジに酸味と甘みのバランスの良い苺。
二口目以降は自ら取り自ら口に運ぶキョーコを眺めて、蓮は用意していたハーフボトルのシャンパンを開ける。ぽんっという開栓の音にキョーコが振り返って蓮の手の中にあるボトルに目を見開くが、蓮はそれに構わずグラスにボトルを傾ける。トクトクとゆったりした音を立ててグラスが薄桃色に満たされる。
「美味しいね。このシャンパンなら合うと思うけど?」
「わっ…、きれい」
控えめな泡がはじけるロゼのシャンパンは美しいピンク色でキョーコを魅了する。
「ちゃんと味わったから、後はお酒との組み合わせを楽しんでもいいんじゃない?」
アルコールで鈍った舌で味わうのは失礼だと言っていたキョーコだけども、開けてしまったシャンパンは無駄にもできない。しっかりアルコールの抜けた身体はこの魅惑的な桃色とケーキのハーモニーも味わいたいと騒ぎ出す。
誘われるままにグラスを傾けて、ケーキを崩して会話を交わして始まったばかりのキョーコのバースデーは喜びに満たされていった。
ケーキが二人の胃袋に収まり、シャンパンの色を写したかのように薄桃色に染まったキョーコに蓮は笑いを含みながら話しかけた。
「今度ちゃんと、このケーキの作り主に注文を出そうね?」
「ちゃんと…?」
蓮の意図するところを計りかねているキョーコは首をかしげる。
「特別な日に特別な人と食べるケーキって、多分ウエディングケーキの事だと思うよ?」
「ふえっ…?」
くるんと丸くなった茶色の瞳に、蓮はくすくすと忍び笑いを漏らした。
「キョーコからのプロポーズ、嬉しかったよ」
グラスを片手に固まったキョーコの毛先を梳き、蓮はにっこりと微笑んでキョーコの手の中のグラスを取り上げてテーブルに置いた。
固まったキョーコの脳裏には、注文をお願いした時のケーキ店の主人の微妙な表情が渦巻いている。
「ファーストバイトも済ませちゃったし。いつにしようか、本当の結婚式」
「…あ、あ、あ・・・・あのっ…!」
事の次第を理解し始めたキョーコは、薄桃色からその頬の赤みを深めていく。
「予行練習、しちゃったね…?」
「つ…、つ、つ、つる…がさん…っ…」
アワアワとし始めたキョーコの唇の端に残っていたクリームを見つけた蓮は、ぺろりとそれを舐めとるとそのままチュッとキョーコの震える唇にキスを落とす。
「よろしくね、俺の未来のお嫁さん」
目を回して真っ赤になって挙動不審なキョーコを、マテをしたイイコな俺にも別腹のデザートを頂戴ねと蓮が寝室にさらって行く。
キョーコが自分の左薬指に嵌められた石をあしらった指輪に気が付くのは、朝日に照らされた翌朝の事…。
滞ってる続き妄想は置いといて!刺激を受けて妄想むくむくだったのでこんなモノを書いてみました!
タイトルを見てアレ?と思われた方はたくさんいるでしょうね…
そう、前置きしておきますがこちらは魔人様の2周年記念捧げモノの一つである*aoichi* りかさんのテキスト『アイスクリームに恋をして**』に触発されて書いたモノです。該当テキストは*aoichi*内GIFTの中にあります。拝読希望の方は上記リンクよりお入りください。
読んで妄想大爆発した私は、行き詰っててるお話の気分転換に、自己消化のため非公開で書いてもいいですかー?と打診したところ、とんでもない条件を突きつけられ、このように公開に至った次第ですw
妄想起爆剤となったテキストが魔人様の捧げモノなのですから、当然公開するならこのお話も魔人様の懐行きです。
魔人様―!!2周年おめでとうございます!!←とってつけたようにw
これからもステキな二次世界の橋渡しをお願いいたしまっす!実はまだドボンしてない清らかな身ですが、今後も楽しいスキビ二次の末端に在籍したい所存でございますー。
最後に。
二次の二次的な妄想で、不快に思われる方もいるかもしれません。当ブログの初期案内にある通りの手順は踏んだ上の公開となっております。お名前を挙げてさせて頂いた方々にも事前に確認作業を終えております。苦情等ございましたら、関係部署でなく私までご連絡くださいませ。
*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆
「今日もスルの?」
「いけない、ですか?」
「いけなくはないけど…。ここ連日じゃない?」
笑いを含んだ声色で交わされる会話。
ほんの少し顰めた声量での会話は、どことなく密やかな雰囲気を醸し出す。
アイスクリームとの逢瀬はほどほどに
「約束は守ってますよ?そもそも回数制限なんてなかったはずですよ?」
「でも…そんなに連日だとキョーコが困らない?」
「なんで私が困るんですか?」
共に過ごす幸せな食卓がひと段落した後、するりと蓮の傍を離れたキョーコのその足は浮足立って見えた。
「ヒドイ女だね、キョーコは。本命を置いてけぼりにして今日もまた浮気だなんて」
「む…。意地悪な言い方…っ」
「だってそう言いだしたのはキョーコでしょ?寛大な恋人に言うことはないの?」
「…どこがっ」
恋人同士の蓮とキョーコの間で交わされる『浮気』という言葉。
本来であればキョーコに関してのみ嫉妬深く余裕のない言動を取りがちな蓮が許容できやしない言葉なはずなのに、そんな風にキョーコをからかって笑う蓮はどこか余裕な表情だった。
「で、今日の浮気相手は誰?」
「えーと、今日は…」
キョーコの浮気相手は複数いる。
背徳行為の実行は決めてるものの、本日のお相手を決めかねてるキョーコは真剣な顔で悩んでいた。
「んー…よし!今日はアナタ!」
うんうんと悩んでいたキョーコがようやく本日の浮気相手を決めたようだ。
ソファーに腰掛けた蓮からはその姿は見えないが、きっと冷蔵庫の前でさんざん悩んだことが手に取るように分かる。寛大な彼氏は己の脳裏に浮かんだ恋人の姿にクスリと笑みを零した。
パタンといつぞやの時代に三種の神器と称された電化製品の扉を閉めた音を確認して、蓮はスプーン片手に自分の元に戻って来るだろうキョーコの姿を確認せず背を向けたまま問いかけた。
「いつものヒト?」
食後にアイスクリームを食するのが最近のキョーコのお気に入り。
愛おしそうに、うっとりとそれを口に運ぶさまはまるで恋をしているかのよう。
愛しのアイスクリームとの逢瀬を『浮気』と揶揄するようになったのはキョーコの方からだった。
今まで浮気相手はかなりの数紹介されたが、キョーコが濃厚なチョコレートの彼がお気に入りなことを知ってる蓮は、こんな風に悩んで選んだ本日のお相手はやっぱり大好きないつもの彼なんだろうと思っていた。
「ちーがーいーまーすぅ」
パタパタと軽快な足音を立てて戻ってきたキョーコは、するりと蓮の膝の上に収まった。
するとキョーコの手の中からふわりと蓮の鼻腔をくすぐる香り。その少し大人びた香りに蓮は眉を顰めた。
してやったり、な顔をしたキョーコの手の中にあるのは、数ある浮気相手の中でたまにしか登場しないダークホース。
「え…?このヒト?」
「ふふふっ、寒い時期にあったかいところで、冷たいものを食べるって最高ですね」
少しだけ不機嫌な色をにじませた蓮の様子に気づかずか無視してか、キョーコは蓮の胸にぎゅうぅっと背中を押しつけて手の中の『彼』をじぃっと見つめている。
「暑い夏に冷房の効いた部屋で食べる鍋焼きうどんとか、コタツで食べるとアイスとか…」
「俺、こたつ?」
「だってあったかいんですもん、敦賀さんの身体って。コタツでアイス以上ですね。これだって高級アイスだし」
トレーニングで維持している筋肉質の体は代謝が高く、寄り添うキョーコには温かく感じられる。
そしてキョーコの手の中のアイスは、庶民的感覚のキョーコから見れば高級品。種類で言えばラクトアイスでもアイスミルクでもなく『アイスクリーム』に分類される代物だ。
暖を取るコタツが高級なのか手にしたアイスが高級なのか。
この浮気は本命である蓮の膝の上で。
見通しの良い浮気現場は、意見の違う二人で導き出した妥協点でこの浮気のルールだ。
最初は何かが違うと警戒心を持って蓮の膝の上に渋々おさまっていたキョーコだったが、浮気を重ねるうちに違う視点を持ったようだった。
「うふふ、贅沢~」
「恋人の目の前での浮気って背徳感が増すからじゃない?」
「禁断の…ってヤツですか?そうかもしれませんねぇ」
浮気に夢中なキョーコの気を引こうと、蓮が耳にかかる髪を梳いて軽く引いても耳元にキスを落として甘く囁いてみても、キョーコの恋する眼差しは手の中の彼から逸れなかった。会話自体もどこか上っ面であしらうような印象だ。
キョーコはスプーンを握りしめ、紙製の容器の縁をぐにぐにと押して食べごろの硬さを見極めている。
それがまた悔しくて、蓮は再度ちょっかいを出す。
ここ最近繰り返されているやり取りなのだけど、今日は浮気相手が浮気相手だけになんだかとっても面白くない。
「こんなに連日浮気すると、太るよ?」
「太りません!この浮気の為に食事量も調節してますし!それに…」
「それに?」
「浮気の後はいっつも嫉妬深い本命のお相手で、消費しちゃいますもん…」
「……」
いつもならキョーコの口から出てくるとは思えない返しは片手間に蓮の相手をするからついつい零れた本音なのか。
ねぇ、それって誘ってるの?期待してるの?と言いたくなった蓮は口許を緩めつつもその言葉は飲み込んだ。発してしまえばお決まりの破廉恥発言に約束も反故にされ、暫く蓮的食後のデザートにありつけなくなってしまう。
「おいしそ…」
キョーコ好みの食べごろになったのかスプーンを容器に突き刺し、程よく柔らかくなった一口分救い上げられた彼。
クリーム色のバニラアイスの中にレーズンがのぞき、甘い香りの中にふわりと漂うラムの香が僅かな苦みと酸味を思わせる。
匙の上でトロリと滑らかな表面でキョーコを誘う浮気相手。
その魅力に取りつかれたキョーコは赤い唇を開いて彼を迎え入れる。待ちきれないとでもいうように、小さな舌がちろりと開いた唇から覗いた。
妙に艶めかしい恋人の浮気現場を、蓮はキョーコの耳元や頬に口づけを落として見守る羽目になる。
スプーンごと口に含んだまま、ふるりと震える痩躯をきゅっと抱きしめると今度は蓮の体温にキョーコの体がまるで先ほどのアイスクリームのように溶ける様に緩まった。
「~~っ……おいし…っ…!」
口に含むたびその美味しさゆえか、冷たさゆえかフルフルと震える身体をその度に蓮は抱きしめ直す。
包み込まれる度に安心するように弛緩する癖に、キョーコの眼差しは浮気相手に向いたままだ。
「そんなに?」
そのうちに、蓮の不機嫌さの原因が顔を出し始める。
大本命のチョコレートの彼では出ない反応が、ダークホースの彼が持つ魔力。
割合にしてほんの1.6%のアルコールが、キョーコの眼差しを潤んだものに変化させていく。
キョーコがお酒に極端に弱いと蓮が気づいたのは付き合いで飲んで帰った日の事。
酒で緩んだ理性でキョーコの唇を貪れば、吐息と舌先に残ったアルコール分で簡単にキョーコはとろけてしまった。
上気した頬に潤んだ瞳で見つめてくるキョーコは普段とは違った艶やかさと可愛らしさをのぞかせる。その無意識の小悪魔の瞳が自分を映す快感は言い知れない。
その夜の味をしめた蓮は、時折意図的に自分に残るアルコールをキョーコに口付けで分け与えていた。
それが、だ。
蓮のささやかな秘密だった小悪魔が、浮気相手の魔力で現れる。
「キョーコ…」
少し強めに耳朶を甘噛みして、ラムレーズンの魔力に対抗するように蓮は甘く甘くキョーコの意識を溶かすように囁きかける。
そんな夜の帝王の努力空しく、小悪魔は潤んだ瞳で浮気相手との逢瀬に夢中だ。
飽きもせず一匙掬ってはうっとりと口に運ぶキョーコ。時折唇にトロリと垂れた乳白色の雫を、あわてて赤い舌先が舐めとっていく様がどことなく淫靡で、その光景を作り出しているのが浮気相手であることに蓮の嫉妬心が少しずつ大きくなる。
「ねぇ、キョーコ」
「なんですか…?」
負けじとキョーコの気を引くことに蓮が努力すれば、やっとキョーコの声が返って来るが潤む瞳は貰えない。
「浮気相手と俺、どっちが良い?」
いつも繰り返されるこの質問。
「んー…」
いつもだったら『毎回同じこと』、と詰りつつも蓮の望む答えをくれるキョーコなのに。
「今は、浮気相手…かなぁ」
「………」
手の中の彼のように、甘く蕩けたキョーコは簡単に蓮を傷つける言葉を吐く。
いささかむっとした蓮は、ひょいとスプーンを取り上げた。
「あんっ」
逢瀬を邪魔され甘ったれた声を上げ、むっとした表情で振り返ったキョーコの顎を取ると、蓮はその唇に強引に口付けた。
「んっ…」
舌先で唇を割り口内に侵入すると、キョーコが楽しんでいた甘さとラムの香が蓮の舌にも絡まる。
それもなんだか悔しくて、蓮は驚いて逃げ惑うキョーコの舌を絡め取り浮気相手の残滓を奪い去っていく。
キスに浮気相手の残り香が完全になくなり、甘いキョーコの吐息だけしか感じなくなる頃になってやっと蓮は貪っていた唇を解放した。
「…ねぇ、どっちが良い?」
強引なキスで無理やりキョーコの意識を引きつけた蓮は、僅かなアルコールに潤んだキョーコの瞳が自分を捉え、先ほどのキスで崩壊寸前まで蕩けたことを確認してニヤリと嗤った。
「もう一回教えて欲しいから……ね?」
半分以上残っている浮気相手をキョーコの手から奪い、ソファー前のローテーブルに投げ落とす。
軽い紙製の彼はかたんと軽い音を立ててローテーブルに綺麗に着地した。
「そんなの…」
言葉の代わりに蓮の首にスプーンとカップを奪われたキョーコの手が絡みつく。蓮の首筋を撫でた左手がひやりと冷たい。その冷たさが彼の存在を思わせて、蓮は早く自分の熱でキョーコを塗りつぶしたかった。
キョーコからキスを貰ってようやく満足気に微笑んだ蓮は、本格的にキョーコの体温を上げにかかる。
踊るように揺れるキョーコの四肢の向こうに、二人の熱に当てられたかのように食べ時を過ぎて液体になってしまった浮気相手が蓮の視界を掠めた。
明日の朝には高級なのに!半分しか食べてないのに!と怒るキョーコに、じゃあ全部食べていつもの2倍、カロリー消費に協力してあげようかと答える自分を頭の片隅で想像し、蓮は自分を誘う小悪魔の誘惑に喜んで乗るのだった。