男女群島
釣りたいのは鮪
裏本命はタマン
そうなっても仕方が無い
それがこの島
圧巻の光景
撒き餌に突っ込み
ヒラを打つ
優に20kgは超えている
水面直下
足元に見えるのだから
久々に震えた
同時に
釣神の存在を強く感じた
まだ薄暗い午前5時半過ぎ
沖に潮目
遠投しデージを置く
馴染むか馴染まないか
指を弾きラインがぶっ飛ぶ
ファーストラン100m
セカンドラン50m
サードラン20m
170mは引き出された
ドラグを締め上げる
もちろん
全力でのやり取り
これ以上は出せない
止まれば巻く
巻けば出される
一進一退
その繰り返し
右へ左へ
沖に手前に
膠着状態
30分は経っていたか
鮪が潜り始めた
両手は竿を支えるのみ
握力の限界も近い
それはラインも同じ事
軽くなった
上から飛ばされた
放心状態
ラインを巻き直した
午前9時
撒き餌に群がる
小魚、キツ、ヒラマサ、
そこに
一際デカイ魚
鮪が突っ込んできた
直ぐ様
針付きのキビナゴを入れた
一発で食ってきた
またまたラインがぶっ飛ぶ
ファーストラン
セカンドラン
サードラン
新たな戦いが始まった
全力で戦う
40分を過ぎた頃
突然終わりを迎えた
また上から飛ばされた
仕掛けを組み直す
ハリスの号数も上げた
午前9時50分
気持ちを切り替える意味で
あえて遠投をしてみた
着水と同時に
ラインがぶっ飛ぶ
ハンドドラグを掛けた
グローブ越しの手の平が
火傷をしそうになった
デカイ鮪を確信
三度目の正直
必ず獲る
そう気合いを入れた
切れた
ハリスの真ん中から
うなだれた
獲れる気がしない
鮪に磯竿で挑む事は無謀
そうなのか
悔しい
それから時が経ち
午後14時
また現れた
これも20kgは超えている
悠然と撒き餌を捕食する姿
手が震えた
たまにヒラも打つ
針付きのキビナゴを入れる
上手く交わしていく
完全に見切られている
そう思えた
血液が熱くなる
何度も何度も同調を試みた
経つこと一時間
食うことは無かった
そして遂に撒き餌も切れた
終わった
負けた
餌取りすら見えなくなった
鮪は終了
そう諦めかけた時
足元を黒い影が横切る
戻ってきた
そしてそれは目の前で
大きく回り始めた
イエローフィンが美しい
束の間
見とれてしまった
進行方向に仕掛けを振り込む
ラインが走った
食ったと確信
ベールを起こし
強いアワセを叩き込む
四度目の正直
釣神
私に力をお与え下さい
そう願い
竿を強く握り締めた
リールは巻けない
耐えるのみ
ドラグが唸る
物凄い走り
サードランで軽くなる
膝から崩れ落ちた
暫し呆然
仕掛けを回収
チモトの上から飛んでいた
少し鮪を舐めていた
前回の帆立岩
ルアーロッドでの釣果
比較的
簡単に獲れた
船からも数多く釣ってきた
なのに
磯竿でとなると
この有り様
情けない
別物なのか
根本的にジャンルが違う
そう感じた
同時に
釣神に感謝をした
新たな試練を与えてくれた
嬉しくなった
夢が出来た
必ず獲る
男女群島で
磯竿での鮪釣り
キハダ狙い
また行く理由が見付かった。