絶叫 | 激流五鱗書+

激流五鱗書+

我釣りにおいて後悔をせず

涼しさから
寒さへと変わりつつある
この季節に、
情熱と切なさが同居する
複雑な思いを胸に
今週も沖の島へ

本日もお世話になります。
 
台風が去り
その残りウネリの頭を
強めの北風が
なだめてくれている事を
期待し、
本日の磯回りである
大小島へと向け
船は走った。
 
が、しかし
執念深いウネリが
残っており、
大小島に近付くにつれ
大きく揺れ始めた。
目の前にある筈の沖の島が
波頭を越える度に
波しぶきで見えなくなる。
 
大きなウネリに
少しばかり不安になるが
日の出は人の心を
穏やかにしてくれる。
 
と言っても
現実は厳しく、
ウネリに呑み込まれる
大小島を諦め、
船はノコ回りへと向かった。
しかし、
同じ南面だけに
どの磯も
ウネリに呑まれており
ここでも渡礁は無理だった。
 
その状況に
船長は大きく舵を取り、
先週と同じ
二並島回りへと向け
船を走らせた。
 
着いてすぐ
一番に呼ばれた。
「海人君、高場でもいい?」
と聞かれた。
その場所を断る理由は無い。
即答で
「もちろんです!」
と答えた。
まずは崖登りから始まる。
 
高さ10m程の
ロッククライミング
これも
この場所の
楽しみの一つだと思う。
 
登りきり
沖の潮に一礼した。
 
撒き餌は
少なめのキビナゴ
 
キビナゴの撒き餌は
有効だとは思うが、
なるべくなら撒きたくない。
また、
朝一から撒くと
浮いている魚までもが
沈むと感じている。
 
7時15分
釣りを開始した。
 
前回の高場で味わった
タマンからの洗礼
それを晴らす為にも
気合いを入れ、
いざ勝負
針に付けたキビナゴ単体で
タマンを探す。
 
三投目、
30m沖にある潮のヨレ
 
早朝の静かな海面に浮かぶ
巨大なウキは
一気に消し込まれた。
 
ラインが走ると同時に
素早くベールを戻し
アワセを叩き込んだ。
 
物凄い重さが竿に乗り
同時に突っ込みが始まった。
 
ドラグはフルロック
竿は両手で支える。
 
動かさずに耐えるのみ。
 
止めきった。
 
やり取りは無我夢中
獲れた。
針掛かりも最高
勇ましい魚体
これぞタマンと言える
63㎝の魚だった。
 
前回の屈辱が晴れた。
 
気が楽になった。
 
潮で遊んだ。
 
魚も遊んでくれた。
 
色々な魚が
一投一匹で釣れる。
バラフエダイ
モンツキイサキ
ヒブダイ雄
アカハタ
 
もちろんタマンも。
 
フルロックでの
巨大なタマンとの戦いは
ハリスを縦に裂く。
この勝負
最後の最後に
針外れで終わった。
 
気を取り直し遊びに戻る。
 
50m沖でウキが消し込み
ラインが弾かれた。
重さもあるが
速さが勝る魚が喰った。
跳ね回る魚とのファイトを
15分間ほど楽しみ、
タモ入れした魚の正体は
シイラだった。
高場だけに
取り込みが大変だった。
その重さから
絶叫してしまった。
自己記録更新では無いが、
115㎝と
なかなかの長さだった。
 
13時45分
迎えが来た。
ロープを信じ岩を降りた。
人生と同じで
登ったら降りる時が来る。
沖の島よありがとう。
 
持ち帰りは
タマン、シイラ、
モンツキ、アカハタ、
それらを少しだけ。
 
二並島 東のハナ高場
そこは夢ある場所だった。
 
二日釣りの初日も
無事に終了
 
今宵は
明日の魚に乾杯だ。