心地よい | 激流五鱗書+
満員の朝日丸にて
小豆島南へ
船中カゴ師は私のみ。
この孤独感が
たまらなく心地よい。
何年前になるだろうか、
船長からも
「カゴ釣り?小豆島で?
とりあえず誰もしないし
釣れんじゃろ」
と言われていた。
だからこそ形にしたかった。
いや、
形にしたい。

水平線とカゴ釣り。
剛竿をぶち曲げて
輝いています。
真鯛はやっぱり美しい。
これくらいの釣果では
まだまだ形になったとは
言えないが、
一歩ずつ一歩ずつ。
話は戻るが、
今では船長から
「へ~やれば釣れるんじゃ~
それにしても海人君は
カゴ釣りが好きじゃな~」
と言われ始めた。
しかし本当はカゴ釣りが
好きなのでは無く、
暗中模索している時の
自分自身が好きなのです。
形になれば止めます。
カゴ釣りと言う名の暗闇を
走り始めて早十三年、
未だ光の点すら見えず。

