今年の2月に、新しい透析患者用の新薬が発売になります。

 

この薬の面白い所は、小腸上皮細胞の腸管との接する細胞膜にある「ナトリウムイオンとプロトンポンプ交換輸送体3」をブロックする事で、ナトリウムイオンが細胞内に入るのを阻害する事で、小腸内にナトリウムイオンが留まる事です。

 

小腸内に留まったナトリウムは、当然のように水も引き付けます。小腸内の水分を引き付ける。

 

そういえば、アミティーザの作用機序を思い出します。

小腸上皮にある「クロライドチャネル」と呼ばれる構造を活性化し、腸管内への水分の分泌を増加させ、便を柔らかくすることによって、排便作用を促します。

 

クロライドとはクロールの事で、ナトリウムと結合するとNaCl(塩化ナトリウム)と言う訳です。その保持によって便が柔らかくなると言う機序です。

 

フォゼベルが高リン血症治療薬と銘打って発売するのは、ナトリウム・プロトンポンプ交換輸送体阻害によって、小腸上皮細胞と細胞の間の隙間(タイト・ジャンクション)が狭まって小腸内のリンが上皮細胞内に移動する事を抑制するそうです。

 

臨床的には、使用出来る人は、便秘があって何等かの下剤を飲んでいる人を対象とするのが良いでしょう。作用としての腸管内の水分保持をして排便がスムーズになっる事を期待しています。

 

これで排便コントロールが出来れば、副次的にリンの吸収を抑える事で少しリンの値も少し下がる。あくまで、リン吸着剤がベースラインです。

 

便通の悪い患者さんが、投処方の適応となると思います。

リンの値は、ベースラインのリン吸着剤を飲む事が基本です。

あまり期待しないようにしましょう。

 

#下剤 #高リン血症治療薬