東海大学の駒場先生の講演会にライブで聴いてきました。

深川先生が神戸大学から東海大学に移動した時に一緒に移動された先生です。

 

神戸大学の卒業ですので、神戸での講演会はホームのような暖かい感じです。

駒場先生を有名にしたのは、JSDTの統計調査を使って、PTX後の患者の予後がそれ以外の患者より良い事を発表した事にさかぼります。

 

レグパラ(シナカルセト)が発売されたのが、2008年ですから、それ以後の内科的治療によって劇的にPTXを受ける患者が減少した事は良く知られている事実です。

 

それでは、PTXとシナカルセト治療の患者さんの予後はどうでしょうか?

彼は、それでもPTXを受けた患者の予後が良い事を示してくれました。

 

神戸大学の後藤先生の発表されたカルシメテイクス(カルシウム受動態作動薬)時代のCaやPTHの予後研究にも言及してくれました。

 

PTHはほぼ直線的に上昇するほど予後は不良になり、減少すれば予後は良好になるとの結果でした

 

後藤先生のデータもPTHのリファレンスを39<と最小値としており、それより上昇すると予後不良と述べています。

 

その原因として、彼はPTH上昇に伴うエネルギーを消耗する事が原因で透析患者の痩せの原因の一つではとデータを示してくれます。

腎不全のPTHと癌の悪液質患者のPTHrPの受容体が同じである事の論文を紹介してくれました。この二つは、同じ似た病態と指摘しています。

 

また、PTH上昇による骨折の増加、特に大腿骨頸部骨折の増加を指摘します。

PTH上昇によって、皮質事の破壊が起こるそうです。大腿骨頸部骨折が増えるのはこの皮質骨折の破壊による所が大きいようです。

 

その一方で、海面骨からなる椎体骨折はPTHの増加でもあまり変わっていません。

 

さらにPTHの上昇はFGF23の増加と心室肥大を招き心不全の増加のリスクと推測していました。

 

骨折や、痩せは高齢者で多く、BMIが低い患者で多く、女性に多いとまとめてくれました。

 

骨折も痩せも解りやすい予後因子です。

高齢で、痩せた患者で女性には特にPTHの厳格なコントロールが必用でしょう。

駒場先生の更なる研究に期待したいものです。

 

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