A社は膜面積に関わらず、すべて一緒。ただし最大の膜面積だけは価格が高い。

B社は1.5㎡と2.1㎡で同じ価格だったのを、1.5㎡の膜の価格を下げて頂きました。

 

石油そのものの価格が高騰して、電気代も石油から作る製品(ヘモダイアフィルター)も価格高騰のおりに、面積の小さな膜の価格を下げてくれるとは有り難いです。

 

しかし、ここでHDF用のヘモダイアフィルターの膜面積の使い分けが重要になってくるのです。

 

C社は随分昔に3.0㎡の膜(ヘモダイアフィルター)を作りましたが、どのような患者に使うのでしょうか?と疑問に思いってQb300で膜面積だけを変えて、排液検査を行いましたが、2.5㎡の膜とパフォーマンスは変わらずでした。

 

これは、メーカーの作成技術を誇った事以外に意味はなさそうです。

 

かつて、ある施設から紹介となったDW100㎏の患者さんに2.5㎡の膜を使用してQb200の i-HDFをしているという条件の患者さんがいました。これも2.5㎡の膜

が必用なのかと大いに疑問に思った事を覚えています。

 

またある学会での発表で、自施設でのヘモダイアフィルターの選択についての発表で、DWが80㎏から90㎏代の若くて、体格が大きい患者に3.0㎡や2.5㎡の膜を使用しているとの発表がありました。Qbは250から300程度です

 

置換液は前置換40L/Sから60L/Sくらいです。つまり10L/Hから15L/Hくらいです。

 

小分子の透析量を多くするために、血流量を上げて、さらに膜面積も大きくするのは理にかなっています。

 

体格の大きな患者はたくさんタンパク質も摂取するでしょうから、透析量も大きくする必要があるでしょう。

 

透析量は、血流量に相関しますが、同じ血流でも透析膜を大きくすれば除去する量は増加します。しかし、小分子に限ればQb200であれば、1.5㎡の膜も2.1㎡の膜もクリアランスはほぼ変わりはありません。

 

血流量が400と言った高血流の患者は我が国では少数だと思いますが、その時には2.1㎡と2.5㎡の差が出て来るでしょうが、僅かだと推測します。

(欧米の後置換のHDFでは膜面積はせいぜい1.8から2.0㎡です)

 

こうして、色々な事をシュミレーションすると体格差の違いよりも、除去したい透析量(小分子)を考えて、血流量と膜面積を決めれば良いという事になります。

 

また分子量の大きな蛋白質結合尿毒素やアルブミン漏出は、膜質の違い(アルブミンの篩係数)を選択し、置換液量を決定すれば良いという事です。

 

その場合は、前置換置換液に対する膜に対する圧(TMP)が上がれば除去性能も上がります。

 

つまり、膜面積は、血流量+前置換液量の合計と置換液量とTMPの関係を総合的に考える必要が出てきます。例えば、同じ置換液量でも膜面積が小さいとTMPは上がります。

 

高齢化が進む透析室でのヘモダイアフィルターの膜面積を再考する時だと思います。

 

アルブミンはあまり抜きたいくないし、小分子はまずまず抜きたい。Qbはせいぜい

200から250です。

 

2.1㎡の膜を無駄に使っている患者さんはいないかな?

製造コストとゴミ処理のコストを考える透析室でありたいと思います。

 

#膜面積 #血流量 #小分子透析量 #アルブミン篩係数