透析患者さんの貧血は、慢性炎症がない場合にはエリスロポエチン製剤の投与で改善します。

 

しかしながら、毎回の透析後の回路内に微量の赤血球は残りますし、月2回の採血もあります。赤血球内のヘモグロビンというタンパク質が酸素と二酸化炭素のガス交換をすると言う重要な働きがありますが、赤血球の減少がすなわちヘモグロビンの減少であり、貧血です。

 

ヘモグロビンは鉄を含有したタンパク質であり、貧血はすなわち鉄欠乏が一番大きな原因の由縁です。

 

さて、3か月に1度の採血で、フェリチンを採血しています。

フェリチンは、赤血球の分解後のヘモグロビン由来の鉄を脾臓や肝臓内に貯蔵している鉄蛋白質の形態です。この体内の細胞内にため込んだ鉄はフェロポンチンという細胞膜の穴から血液中に出て血清鉄になります。

 

しかし、このフェロポンチンの開け閉めをコントロールしているのが、ヘプシジンです。

 

ヘプシジンはサイトカンの刺激で上昇します。ヘプシジンの上昇でフェロポンチンは閉鎖してフェリチンは細胞内に閉じこめられて、血清鉄として上手く利用できません。慢性炎症が貧血の原因となる理由です。これが機能的鉄欠乏という状態です。

 

さて、鉄剤の内服でも、フェジンの点滴投与も気分が悪くて出来ない患者さんがいます。

 

思い切って1/4Aを5% ブドウ糖50mlに入れて4時間で点滴投与する事にしました。

患者さんもここまで薄めて時間を延長して静脈内投与すると副作用も起きませんでした。

 

フェリチンの推移は、最低 14.8, 54.6, 70.2, と上昇しています。もう少しで100を超えます。

 

週1回1/4Aですから月に1A、12か月1年で13A投与です。

 

当院では、フェジンはワンショット静注をさけて、5%ぶどう糖50mLに混注して

透析時間をかけた点滴で投与しています。ワンショットよりヘプシジンの上昇が抑えられるとの報告があるからです。ワンショットより、気分不良は抑制できます。

 

また週に1回の投与に抑えています。これもヘプシジン抑制効果を狙ってです。

 

 

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