2008年に発売されたレグパラは、腎不全患者のMBD治療に新しい境地を開いた感じでしたね。

 

PTH-intactを下げるというカルシウム受容体作動薬(カルシメテイクス)の登場は自分自身においては、活性型のビタミンDの使い方も変えました。

 

それまでは、オキサロールをPTHを下げる目的で使っていましたが、高PTHの患者にはレグパラとオキサロールの併用ではなく、レグパラとロカルトロール注に変更しました。何故って?、オキサロールよりカルシウムを上げるからです。

 

ロカルトロール注の不幸はアメリカで開発されていたにも関わらす、日本での発売がオキサロールの発売後1年くらい経ってから発売、使用され始めた経緯があります。

 

さて、レグパラの作用は素晴らしきものでしたが、それに劣らず、嘔気・嘔吐の副作用は醜いものでしたね。

 

半数の人が副作用で内服出来ないという薬でした。

それでも、透析業界ではPTXを必要とする患者が激減したという結果に衝撃が走りました。

 

レグパラの副作用を減じるためにオルケデイアが発売されたのは、2018年でした。

確か、レグパラ25㎎に対してオルケデアは2㎎で同等の効果を有するという優れものです。

 

約1割の量で同等の効果を得る新薬は、それだけ効果が出る核となる主成分が少ないのかなと思います。

 

逆を言えば、オルケデアは本質的には要らない成分を減らしたのかもしれません。(私見ですが)またレグパラは、「薬には要らない成分は無い」のなら、余計な部分が副作用をもたらしていたのかもしれませんが。

 

オルケデアは非常に優れた薬ですが、不幸な事に発売の1年前の2017年に静注用のカルシメテイクスが発売となっています。それがパーサビブです。

 

パーサビブは、最小容量は2.5mgの透析終了後に3回投与する静注用の製剤です。

まず飲み忘れる事がないので、自施設では、レグパラ、オルケデアを中止して、

カルシメテイクスはほぼパーサビブに置き換わり、低カルシム対策は、ロカルトロール注の併用です。

 

パーサビブで副作用の嘔気・嘔吐が出る人は自験例では100名に1名程度です。

また最高容量が1回15㎎×3回/Wですが、1回あたり15㎎以上の臨床治験例がないので、使用したくても出来ませんよね。

 

これでもPTH-intactが100程度で下がり止めの患者が2-3名います。

これがパーサビブの限界でしょう。

 

もうこれ以上、望んでは罰が当たると思っていたら、ウパシタというこれまた静注用のカルシメテイクスが2021年のコロナの最中に発売されました。この薬に期待したのは、最小容量が25μgと言う点です。

 

レグパラとオルケデイアの効果が25㎎と2㎎が同等のように、パーサビブ2.5mgとウパシタ25μgが同等なら、パーサビブが副作用で使えない患者に使えるかも?と思い使い始めた所これが期待どうり、より少ない副作用で使用が出来たのです。

 

しばらくは、最小容量を使う2-3名で使用していましたが、理論的には25μg×3回から300μg×3回までの投与幅があるのならパーサビブの15㎎×3回で下がり止めの患者にも対応できるのでは?と思い、まずは分院の方でパーサビブからウパシタに切り替えました。

 

2か月程度で、これはスムーズに切り替えが出来ました。

換算はおおよそ2.5㎎=25μgで問題はありません。またそれぞれの分子量を調べると1048対373.75でした。共に透析性があり、週3回の透析が必用です。

(レグパラとオルケデイアの分子量には大した差はなく393対374でした)

 

パーサビブとウパシタの実際の同等の有効性を示す量が2.5㎎対25μgと大きな違いは、薬理作用を示すポイントの質的・量的な差であり、分子量の差を超えていると思います。

 

カルシメテイクスの興亡の歴史は色々あれど、カルシメテイクスの存在自体の影響の大きさは図りしれません。

 

カルシメテイクス登場以降ののCa/P PTHの新たなデータ解析も行われて公表される時代になり、喜ばしい限りです。

 

#カルシメテイクス