透析患者さんの検査データで最初に診るのが貧血の有無であれば、


次に診るのがミネラルですね。


ナトリウム、クロール、カリウム、リン、カルシウム、PTH-intact、Alp


などなどです。



高カリウム血症の怖さはみなさんご存じだと思います。


しかし、リン、カルシウムの事になるとしっかり勉強されている人と


全くお任せ透析の方は、随分と差があります。



特にリンが高くなっても、何の自覚症状もないので、気にされない


患者さんは全く気にしません。



慢性腎不全患者さんはビタミンDを腎臓で活性化できないので、


ビタミンDを吸収できません。その結果、カルシウムの吸収力


が落ちてしまいます。 低カルシウムになると、これはイケない


と副甲状腺にあるセンサーが働いて、副甲状腺ホルモン


(PTH)が分泌されます。人の体に大量にカルシウムが含まれて


いるのは、骨(ほね)です。骨にはリンもたくさん蓄えられています。


そこで、PTHが骨に影響してカルシウムを骨から動員してくるように


骨の代謝が良くなり過ぎます(高回転骨)。



そこでまずは、カルシウムの値を正常に保つために多くの患者さんは


内服でビタミンD製剤を飲まれていると思います。


(ロカルトロール、ワンアルファなど)


カルシウムの正常値は8.4~10mg/dLです。


アルブミンを4.0の時として補正をします。


(補正Ca(mg/dL) = 総Ca(mg/dL)+{ 4-Alb(g/dL) ]


(簡単に言うとAlbが3.8なら0.2 をプラスし、 alb 4.3 なら0.3引く


訳です。これは血清のカルシウムの約40%が蛋白と結合して、遊


離型は48%、有機複合型が12%とAlbの値と密接に関係してい


る事によります





次に、リンですが、これは食物中のリンは小腸から吸収されます。


特に、蛋白質にはリンは沢山含まれています。平均すると1gの蛋白


質には15mgのリンが含まれていますので、体重が50kgの人の


推奨蛋白摂取量は50gx1~1.2 =50g~60gです


60gの蛋白質を摂取するとリンは60x15mg=900mg含まれます


しかし、リンは蛋白質(肉や魚)以外にもお米にもまた食品添加物


にも含まれています。1日1000mg程度は経口で摂取でしている


と思います。



4時間透析血流200ではではリンは約800mgしか除去できませんので、


当然リンの吸着剤が必要になります。



リンの吸着剤と言えば炭酸カルシウム(カルタン)やカルシウム非含有


の塩酸セベラマー(レナジェル、フォスブロック)、また金属の


炭酸ランタン(ホスレノール)とあります。カルタンはリン吸着剤の


基本ですが、リンを吸着しない余計なカルシウムが小腸から吸収


されるので、カルシウム負荷の原因となります。そこで3gまで(6T)


を推奨されています。ホスレノールの吸着力は強いですが、ランタン


はわずかに骨や肝臓などに蓄積されてゆきますので、長期成績


が出ていない現状(世界での発売現在7年目)では既存の薬との


併用療法をお勧めします。



透析患者さんのリンの正常値は3.5mg~6mg/dlです。


高リン血症はイオン化カルシウムの低下、ビタミンDの活性化


障害など間接的にPTHを上昇させますが、直接副甲状腺に


作用してPTHの分泌を促進させ、二次性副甲状腺機能を


亢進させます。



リンの管理が重要な理由の一番は、異所性石灰化です。


カルシウム・リン積が55以上になるとこの石灰化が生じて


きますが、普段良く見る胸部レントゲンでも大動脈弓の


石灰化は観察できます。



これが、心臓内で起これば、弁膜症や冠動脈石灰化による


狭心症が一番怖いのです。



カルシウムの値は透析前後でそれほど変化はありません。


カルシウム・リン積はリン値に規定されています。



透析とリンの吸着剤でリンをコントロールする訳ですが、


4時間透析x血流量200ml/分では800mgが限度です。


週3回の透析で2400mgのリンが透析で除去されます。


1日推奨は700mgだけしかリンを摂取しないとしたとしても


7日で4900mgです。透析で除去出来ないリンは2500mgです。



しっかり食べると高リン血症になるのは必然です。


大量のリンの吸着剤を飲む必要があります。


では6時間透析血流200だと1200mgリンを除去できます。


これを血流量300にあげれば除去効率が1.3倍増加するとして


1500mgとなります。週3回で4500mgです。



長時間、高血流透析の最も優れた所はこのリンの除去です。


週4回すれば、リン吸着剤はほぼ必要なくなります。



透析患者さんの栄養問題はこの過度な蛋白制限にあります。


あるいは、食事制限を何年も続けて食べられなくなるという


方が正確でしょう。



3時間透析のままで10年も透析を行えば、高リン血症の問題


を解決するには、食事の過度な制限になり、その結果栄養


障害は目に見えています。もしそれでリンが正常な人がいれば


蛋白質は必要量の半分くらいしか摂っていないと思います。




透析導入になれば、しっかり栄養状態を保たないと、感染症


の餌食になります。腎不全で落ちた免疫力はさらに低下します。



リン管理のため、異所性石灰化の予防のためにも長時間透析


でリン管理をしましょう。4時間透析で食事の制約をするのは


辛いですね。