山崎豊子 原作の 「沈まぬ太陽 」(←公式HP) を観てきた。
新潮文庫から「アフリカ篇」(上下巻)・「御巣鷹山篇」・「会長室篇」(上下巻)と全5巻の大作を手に取ることが出来る。
もちろん、すべて読んでいた。
(ちなみに、この本に対して誹謗するような書き込みもネットに存在しますが、読んだ人それぞれが自分自身でお考えになればよろしいのではないかと思います)
読後に思ったことの一つに、是を映画にするとどうなるのだろうというのがあった。
少なくとも映像化するとしたら、何編かに分けないと伝えきれないだろうなというボリュームだった。
何年か前には、ちらっとだけ「映画化」という文字を見かけたが、内容が内容だけに揉みつぶされたかのように情報を見失った。
その代わりに気づいたら出てきていたのが、JAL123便の御巣鷹山の事故現場を舞台にした「クライマーズ・ハイ」。
これは、DVDで観ました。(感想割愛)
話し戻って、主演に渡辺謙(恩地)、重要な役である(行天)に三浦友和を迎えた今回の作品だが、本を読んでいる者が観ても十分によく考えて創られていたと感じた。
映像なので、本のストーリーとの時間軸をうまく行ったり来たり出来ていたと思う。
本作は、高齢の方もしっかり見ることができるように、映画の途中に休憩が入ります。
館内の照明も入っていたので、文字だけなら問題ないと思い...。
ちなみに、この休憩時間のバイオリン演奏者は、父親をJAL123便で亡くした事故から一か月後に生を受けた遺族である、バイオリニストのダイアナ湯川さん。ご自分から音楽家として映画に何か参加できないかと手紙を出されたそうです。そんなエピソードを聴いていたので休憩時間はあの事故を思い出していました。
監督:若松節朗 脚本:西岡琢也
二人の手腕が冴えた作品ではないでしょうか。
共に国民航空労組の仲間として戦った、恩地と行天という二人のその後...。
会社内での生き方や人間性から人の弱さと強さを考えさせられます。
この映画を先に見た人は、是非あらためて文庫本をじっくり読んでみたらよいでしょう。
私は、読後にネット上に存在していた事故機123便のボイスレコーダーを聴いてしまいました。
自分から聴いておいて、体が震えて寒くなりました...。
実家にいた子供の頃、事故はリアルタイムで起きており、残骸散らばる尾根の様子やヘリコプターによる生存者救出の場面の映像は今でも覚えている。
事故機に乗っていた方のあのメモについても...。
最後に、あらためて、自己で犠牲になった方や遺族の方に追悼の意を表します。
お奨め度★★★★★ (最高5つ!)