北アルプス 槍ヶ岳 北鎌尾根
45年いや50年も前から挑戦したいと思っていた山岳コースだ。
今でも一般登山ルートではない、バリエーションルートだ。
無雪期でも難コースだ。
最近でこそYouTubeなどでそのルートの動画があり、
以前と比べて挑戦しやすくなり、多くのアルピニストが登っている。
動画を紹介されて、簡単登れるようになった?かのように思えるからか、
毎年遭難騒ぎが起こり命を散らす者が絶えない。
ルートについて紹介されても、山は40~50年で変わる事もなく、
登る者の技量を試している。
確かに昔に比べれば装備は良くなり、軽量化されていて、
登山技術を大幅にカバーできる、かのような錯覚を起こさせる。
このルートは、槍ヶ岳に向かう東鎌尾根にいったん登った後、
裏側の天井沢を下り、北鎌沢出合から再び登りはじめ、北鎌尾根に向かう。
そこから、槍ヶ岳を目指す。
槍ヶ岳に登るのが目的ではなく、この北鎌尾根を登ること自体が目的となる。
北鎌尾根に出ると避難ルートはない。水場もない。テントを張れるところもない。
登り始めたら登り切らなければならないルートなのだ。
技術のある者と組んで登らなければ、無謀だといわれても仕方がない。
単独で挑戦する勇気がなく、結局あこがれ続けて今に至る。
技術が有っても、もう体力的に挑戦できそうにない年齢になってしまった。
北アルプスには一般ルートと言われるコースが数多くあるが、
他の山の一般ルートとは一線を画している。
クライミング技術、ザイルワーク、天候判断、ルートファインディング、
など、経験と知識と技術を求められる。
一般ルートでありながら、ほんのちょっとしたミスに対する代償は大きなものを
求められる。
上高地から見える奥穂から前穂への吊尾根ルート。
下から見上げる景色は、素晴らしい。
吊尾根から見下ろす景色も素晴らしい。
簡単なルートだから、初心者を連れて行くにはいいルートだが、
やはり、判断を間違うと命にかかわる。
どんな状況になろうと、
背負ってでも下山する覚悟が無ければ初心者を連れていく事は出来ない。
1度目はそう思われながら歩き、2度目、3度目はその覚悟で歩いた。
何事もなければ素晴らしいルートだ。
だから初心者を連れて行きたくなる。覚悟をもって。
冬の北鎌尾根。
「風雪のビバーク」
積雪期の北鎌尾根での遭難記録の本だ。
無雪期でも危険な難コースを積雪期に挑んでいる。
装備も今とは比較にならないくらい劣っている。
計画段階から、遭難の一部始終が記録されてる。
遭難者本人が書いた手記だ。
手記の初めはしっかりとした字で書かれ、次第に
ひらがなが多くなり、最後はカタカナで書かれている。
漢字まじりの文字が書けなくなっていくさまがわかる。
背負って降れる場所ではない。

覚悟が試された。
信じる、信頼するということはお互いに覚悟を決める事なのか?
覚悟を決めない相手を信じることはできない。
