依頼のなかには 、真意のわからない依頼もある。
表面的な依頼内容の裏にある真意を見据えなければ
思わぬところで共犯に仕立て上げられてしまう事もある。
危ない依頼は簡単な依頼を装って現れる。
書類を届けてもらいたい。
確かに印刷物には間違いないが、小さな紙片に福沢諭吉の印刷。
路上で受取り、路上で渡す。
この依頼は受けられない。
依頼の電話の段階で真意が丸見え。危ない危ない。
真意を伏せての依頼であっても、大概察しがつくから
受けた依頼は依頼の期待以上のサービスが出来る。
ところが、いくら考えても真意の分からない依頼もある。
わからなくても、犯罪に絡まないなら依頼は受ける。
お世話になった方が本を出したので、応援のために何カ所かの本屋で
買ってきてもらいたい。との依頼。
有名書店での週間売り上げと、新刊本の売り上げの
ランキング上位を狙っての応援のための本の購入。
一冊1000円ほどの本で指定された書店は
八重洲ブックセンター
紀伊国屋書店 大手町ビル店
丸善 丸の内本店
丸善 日本橋店
三省堂書店 神保町本店
三省堂書店 有楽町店
紀伊国屋書店 新宿本店
紀伊国屋書店 新宿南店
の8ヶ所。
ぐるっと回って買ってくればいいのかと思いきや、
各書店での購入数を指定された。
その数300冊。
10日間で一冊づつ目立たぬように購入するようにとの指示。
単純に1軒での購入が37冊ないし38冊
休業日を考えると、
1日に1軒あたり4冊の購入をしなければならない。
一人が一回に一冊購入することになるので、
一日に4名が買いに行く必要がある。
しかし毎日同じ者が、同じ本を買っていれば
お店に知られてしまうので、
書店の清算レジを変えたり、バイトを使ったりして
不審がられないように購入を続けた。
不審がられると、ランキングの対象外になるので
思いのほか大変な作業になった。
指示通りに300冊購入する作業が終わった報告をした際に、
新たな指示が出された。
大阪の紀伊國屋書店梅田店
紀伊國屋書店グランフロント大阪店
で30冊20冊の計50冊を2日で購入してくれというもの。
幸い、両店とも大きな店で、レジが何カ所もあったので、
何とか購入して依頼終了。
本の購入代金と依頼料を合わせると100万円以上になった。
ランキングはどの書店でも2位か3位になっていた。
よほどお世話になった方への恩返しでもなければ100万円以上の
お金をかけて、応援しないであろう。
ところが、
ほぼ一月後、同じ10店舗で合計600冊の購入依頼が来た。
期間は1ヶ月。
購入代金を含め総費用200万円以上となった。
単なる恩返しではないことはわかる。
何のために、ここまで費用をかけるのか?
費用対効果がランキングにあるのだろうか?
出版業界の事について何も知らないから、
この作業の真意が全く分からない。
そしてさらに1ヶ月後、また同じ内容の依頼が来た。
今度は550冊を一ヵ月で購入。
購入代金を含めた総費用160万円以上
3回の代理購入依頼の総額は、購入費用を含め
500万円ほどとなった。
購入した本1500冊。
依頼者が著者本人ではない事は確認している。
友人知人親戚からの依頼だったのか?
そこまでしてランキングを上げたかったのはなぜか?
理解できないまますべての作業が終わった。
購入した本はその都度依頼者宅へ宅急便で送った。
この作業に携わったもの全員が、書店に行ったついでに
別な本を買って読んではいたが、
この本を5ページ以上読んだものがいなかった。
もしかしたら、この本の最後の方に
沢山買いたくなるようなことでも書いてあったのか?
真相は不明。
次回のお話は、今のところ不明。(笑)