法に触れる依頼はどこも引き受けてはくれない。当然の事だ。

 

そうでなくても依頼を受けてくれないこともある。

コストと報酬が見合わない場合は

やはり仕事として依頼を受けないこともある。

 

実費だけで1万円かかる作業を1万円では受けられないのは

当然なのに、それ以上の予算がないと言われては、お断りするしかない。

 

引っ越し業者に引っ越しを依頼して断られるケースは、

道路の向かいのマンションに引っ越すような場合だ。

トラックを使わず、手作業ですべて運ぶような作業については

引っ越し業者はまず引き受けない。

 

たった一個の荷物を運ぶことすら断られることもある。

荷物が梱包されていない場合、運送業者はほとんど断る。

 

12月の20日に依頼の電話が入った。

クマのぬいぐるみを秋田県横手市まで運んでもらいたい。

と言う依頼だ。

運送業者はどこも引き受けてくれなかったらしい。

 

施設にクリスマスプレゼントを贈りたいとのことで、

日時を打ち合わせて引取りに行った。

デカイ!

立たせると2m以上胴回りも抱えきれないくらい大きい。

柔らかくてクネクネして一人では持ち上げられない。

当然梱包はしてない。

 

翌日の午後3時に現地で待ち合わせることになり、

荷物は車に何とか積み込んだ。

 

普通なら高速で片道5時間の行程。

 

途中雪道の場所もあり、実際に何時間かかるか分からない状態なので

早く着けばそれに越したことはない。

約束の時間に遅れるわけにはいかないので、

夜道を行くことにした。

 

案の定、雪でスピードを出せない部分もあったが、

思いの他早く着くことが出来た。

 

7時間の行程。

 

依頼者合流して、施設に向かうが、少し手前で待つように

指示され、合図を待つことになる。

 

依頼者は施設の中で、

ぬいぐるみの登場の最高のタイミングを演出しているのだろう。

 

10分ほどで、来るようにとの合図があり、

施設の前で荷物をおろし雪に足を滑らさないように注意して運び込んだ。

 

施設に入ったとたん、子供たちの驚いた声が飛び交う。

その中を指定された場所まで運び、そこに、巨大なぬいぐるみを

座らせて設置して作業終了。

 

運び込むときから、座らせて形を整える間、子供たちが

周りを取り囲み、耳が痛くなるほどの歓声を上げていた。

 

座らせたぬいぐるみから離れると同時に、数人の子供たちが

待ちきれなくて、ぬいぐるみに抱きついていた。

 

依頼者は子供と一緒にはしゃいで満面の笑みだ。

 

そのまま我々は静かに帰路に就いた。

 

帰りも7時間かかった。疲れがない。

 

依頼者と施設の関係はわからないが、

ぬいぐるみをクリスマスプレゼントとして寄付する行為に

実費の他に依頼者の気持ちだけを受け取り作業を終えた。

 

利益にはならなかったが、久々の長距離ドライブは

日ごろのストレス解消になった。

 

仕事としては北への最遠方地点の更新にもなった。

(ちなみに、南は九州長崎が最遠方地点。)

 

パフォーマンスも求められた荷物の運搬はきっとどこに依頼しても

断られただろう。

 

何処に頼んでも断られた依頼を引き受けたケースは

ほかにもいろいろあるが、それはまたの機会にしましょう。

 

 

次回は、追っかけの依頼についてお話しします。