新川帆立 | 朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~

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読書とは――著者や主人公、偉人、歴史、そして自分自身との、非日常の中で交わす対話。
出会えた著者を応援し、
本の楽しさ・面白さ・大切さを伝えていきたい。
一冊とのご縁が、人生を照らす光になる。
そんな奇跡を信じて、ページをめくり続けています。

さまざまな年齢や社会的立場、そして個性的な性格を持つ人々の恋愛模様は、これほどまでに千差万別なのかと驚かされた。

 

「ハイスペ」「スカブラ」「スパダリ」「イケオジ」「ハングレ」「オレサマ」の六編からなる連作短編集で、それぞれの物語には恋の始まりや終わりの瞬間が鮮やかに描かれている。短編ながら人物像がしっかりと造形されており、一編ごとに異なる味わいを楽しめた。

 

特に印象に残ったのは「ハイスペ」である。

趣味が漢詩という男性が登場するのだが、漢詩を愛好する人は決して多くないだろう。そんな中で同じ趣味を持つ女性と出会えたことは、ただ待っていただけではなく、自ら行動した結果でもあった。

 

趣味が同じということは、人と親しくなるうえで大きなきっかけになる。価値観や物事の感じ方が似ている相手との会話は楽しく、自然と距離も縮まるものだ。恋愛に発展するかどうかは別として、共通の趣味を通じて仲間となり、長く付き合っていける関係も素敵だと感じた。

 

恋愛小説でありながら、人と人との出会いの不思議さや、自分から一歩踏み出すことの大切さも伝わってくる一冊だった。

 

46P「ハイスペ」

 

「だんだん可愛く見えてくるのが悔しい」

 

「君に勧る金屈巵、満酌辞するを須いず」

 ※于武陵『勧酒』

 (金色に輝く杯を心を込めて差し上げよう。なみなみと注がれた酒を、もう十分だと断ることはない。)

 

「花発けば風雨多し、人生別離足る」でしょ。

 (花が咲けば風雨が多いように、人生は別れに満ちているものだから。)

 

得意げに漢詩をつなぐ二人のやり取りが微笑ましく、読んでいて心地よかった。

 

共通の趣味を持つ人との出会いは貴重だ。恋愛に限らず、好きなものを語り合える仲間との縁を大切にしたい。

 

■目次

1話 ハイスペ 瓜生尊(二十九歳・外資系戦略コンサルタント)

2話 スカブラ 有島游(三十五歳・無職)

3話 スパダリ 高木征爾(二十四歳・大学院生)

4話 イケオジ 富樫英樹(四十九歳・医師)

話 ハングレ 杉山涼太(十九歳・大学生)

 6話 オレサマ 武田英二(二十八歳・漫画家)

 

■著者紹介

新川帆立さん

1991年、アメリカ合衆国テキサス州ダラス生まれ。宮崎県宮崎市育ち。東京大学法学部卒業後、弁護士として勤務。第19回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し、2021年『元彼の遺言状』でデビュー。2025年『女の国会』で第38回山本周五郎賞を受賞。