職場に出勤し、淡々と業務をこなす日々が続く。働きやすく人間関係の良い部署もあれば、パワハラ気味の上司とともに過ごすこともある。計画的に税金を徴収できるときもあれば、思うように進まないこともある。慣れた仕事を続けたいと思っても、定期異動によってそりの合わない業務に従事せざるを得ないこともある。
運と不運が交互に訪れる――そんな税務署員の日常が淡々と綴られた日記である。
税務署員もまた一種のサラリーマンであり、給料をもらう働き手としての宿命を背負っている。
本書では、滞納者と対峙する徴収部門、企業の税務調査を行う法人課税部門、窓口に立つ管理運営部門など、著者が30年以上の税務署員人生で実際に見て、肌で感じてきた現場の姿が描かれている。内部事務の激務でうつ病を発症し、休職を経験したことも率直に記されている。
著者は真面目で繊細な性格であり、全体を通して事実と結果を淡々と記す姿勢が印象的だ。
国税査察官(マルサ)のような派手な事件は登場せず、これまでの日記シリーズの中では比較的おとなしい内容で、特筆すべき大きなエピソードがあるわけではない。
それでも、静かに積み重ねられた日々の記録が、読者にじわりと迫ってくる。
読み終えて、日々の業務に押し流されるだけでなく、主体的に一歩踏み出したい気持ちと静かで控えめな前向きさでもう少しだけ頑張ってみようかと、ふと「戦してみよう」という気が湧いた。
■目次
まえがき 税務署嫌い
第1章 税務署員、冷や汗の日々
(税務署員のある一日:難しい世の中/歩くQ&A:税金の質問、やめてください ほか)
第2章 税務調査の内幕
(「公務員」というカード:合格発表の日/ある暴挙:面接突破の切り札 ほか)
第3章 うつと税務署
(瓢からコマ:マルサ引き継ぎ案件/いちゃもん税理士:防戦一方 ほか)
第4章 やめるか、まだ続けるか
(人材不足:新人教育の苦労/生き甲斐はクレーム:ハズレを引きませんように ほか)
あとがき 「書く」という癒し
■著者紹介
大蔵主税さん
1970年代生まれ。関西の私立大学卒業後、国税専門官に合格。某国税局に採用され、徴収部門を経て法人課税部門で税務調査を担当。30代でうつ病を発症し、2度の休職を経験。勤続30年を超えた現在も、某税務署で窓口の最前線に立つ現役職員である。
【No2115】税務署員うつうつ日記 税務署一筋30年、徴収・窓口・税務調査、激務でうつになりました 大蔵主税 三五館シンシャ(2026/08)
