絶体絶命の状況で、これまで培ってきた“営業力”と“理論”を武器に、どうにか命をつないでいく――そんなシーンの連続に、気づけばページをめくる手が止まらなかった。
とりわけ印象に残ったのは、凄腕営業マン・鳥井が、殺人を請け負う裏社会のプロと対峙する場面だ。
銃口を向けられ、逃げ場のない状況にもかかわらず、鳥井は静かに言い放つ。
「ここで私を殺したら、あなたは必ず後悔します」
その一言から始まる“営業トーク”は、もはや交渉術を超えて、生存戦略そのものだった。
そして鳥井は、まさかの「殺し屋専門の営業マン」として裏社会に足を踏み入れていく。
物語は終盤まで、まるでノンストップのカーチェイスのように危険な展開が続き、読者を一瞬たりとも休ませてくれない。
他の読者の感想でも「テンポの良さ」「キャラクターの魅力」「営業という日常的なスキルが極限状況で光る面白さ」が多く語られていたが、まさにその通りだと思う。
読み終えたあと、久しぶりに胸の奥がスッと晴れるような心地よさが残った。
これは面白い――そう素直に言いたくなる一冊だった。
<目次>
第一章
第二章
第三章
江戸川乱歩賞の沿革および選考経過
江戸川乱歩賞受賞リスト
第72回江戸川乱歩賞応募規定
著者等紹介
著者紹介
野宮 有さん
1993年、福岡県生まれ。
第25回電撃小説大賞で選考委員奨励賞を受賞し、『マッド・バレット・アンダーグラウンド』でデビュー。
現在「少年ジャンプ+」にて漫画原作者として『魔法少女と麻薬戦争』を連載中。
