兄の滋朗から古書店を継いだ珊瑚、大学院の国文科を卒業しその店で働く姪孫の美希喜、ありし日の滋朗を含めご近所さんたちが登場してくる6つの話が収められている。
ごぼう天うどんなど食べ物の描写が秀逸であった。本との話が融合した楽しい読書時間が過ごせた。
珊瑚と美希喜は、古書店にカフェスペースを作った。
店主がお客様にコーヒーと一緒に本を紹介できる環境が整った。
文庫本とコーヒーは誠に合っているものだ。
その場をいとも簡単にまろやかにして、他人同士が親しくなってしまう魔法がある。
人情味あふれる登場人物たちの心情や境遇に共感することができた。
本とともにほろ苦い思い出が寄り添うものだな。
人生を楽しく豊かにしてくれる本の魅力がたくさん詰まっていた。
読んだことがない色々な本の紹介があったのでそれらを読みたくなった。
読書好きにはたまらない短編集だったと思う。
<目次>
第一話 森瑤子「イヤリング」と川端康成「掌の小説」と日本で一番古いお弁当屋さんほか、最終話 「京都『木津川』のおひるご飯」と中華料理店のカレー
原田ひ香さん
神奈川県生まれ。2005年「リトルプリンセス2号」で第34回NHK創作ラジオドラマ大賞受賞。07年「はじまらないティータイム」で第31回すばる文学賞受賞
