【No1661】難問の多い料理店 結城真一郎 集英社(2024/06) | 朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~

朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~

読書とは――著者や主人公、偉人、歴史、そして自分自身との、非日常の中で交わす対話。
出会えた著者を応援し、
本の楽しさ・面白さ・大切さを伝えていきたい。
一冊とのご縁が、人生を照らす光になる。
そんな奇跡を信じて、ページをめくり続けています。

 

ビーバーイーツの配達員が持ち込む謎を、餃子の飛車角、タイ料理専門店ワットポー、カレー専門店コリアンダー、本格中華珍満菜家、元祖串カツかつかわ……などのゴーストレストランのシェフが解き明かしていく。

 

ここの表現が気に入ったし、この物語を端的に示している箇所だった。

28P

溢れんばかりの熱気と、渦巻く欲望と、ある種の無常観。

官能的で、享楽的で、刹那的。

(不夜城)東京、六本木。

その片隅で、怪しげな“裏稼業”に勤しむ特別な自分。

信号が青になる。

めいっぱいペダルをこぎ、高揚感と優越感-そして、もしかすると一抹の背徳感に背中をおされながら、僕は暗闇の中を明日に向かって駆けていく。

 

真実を知らなくとも生きてはいける。知らなければ知らなくてよいように過ごしていける。

解釈を知ってしまってもどうにもならないし何も結果は変わらないのだが。

自己満足のためなのだろうか。

知りたくなるのは、やはり人間の心理なのかと思った。

342P 「ニーチェの言葉に、こんなものがある。『事実というものは存在しない。存在するのは解釈だけである』と」

344P

知りたいなら、教えてやる。

渇いているなら、満たしてやる。

「ただし、真実など放っとけ」

347P

これらのメニューを注文する客には一つの共通点がある。

そう、彼らはみな、おしなべて求めているのだ。“真実”を―“真実”というオブラートに包まれた“解釈”を。そうして空きっ腹を見たしたがっているのだ。その腹は満たされるべきなのか、それとも飢え死にさせるべきなのか。

 

 <目次>

転んでもただでは起きないふわ玉豆苗スープ事件

おしどり夫婦のガリバタチキンスープ事件

ままならぬ世のオニオントマトスープ事件

異常値レベルの具だくさんユッケジャンスープ事件

悪霊退散手羽先サムゲタン風スープ事件

知らぬが仏のワンタンコチュジャンスープ事件

 

結城真一郎さん

1991年神奈川県生まれ。東京大学法学部卒業。2018年『名もなき星の哀歌』で第五回新潮ミステリー大賞を受賞しデビュー。2021年「#拡散希望」で第74回日本推理作家協会賞(短編部門)を受賞。2023年#真相をお話しします』が本屋大賞にノミネート。その他の著書に『プロジェクト・インソムニア』『救国ゲーム』がある。