【No1657】なぜ働いていると本が読めなくなるのか 三宅香帆 集英社(2024/04) | 朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~

朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~

読書とは――著者や主人公、偉人、歴史、そして自分自身との、非日常の中で交わす対話。
出会えた著者を応援し、
本の楽しさ・面白さ・大切さを伝えていきたい。
一冊とのご縁が、人生を照らす光になる。
そんな奇跡を信じて、ページをめくり続けています。

 

タイトルに引かれたならば、途中であきらめずに最終章を読んでほしい。

「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」!答えがあるから。

 

全身全霊で毎日働きすぎると、こころの余裕がなくなり文字が読めなくなるものだ。

仕事はほどほどにして、週3で働き残りは休みながらこころの余裕を持つべきか。

 

情報を得るように直接的な答えを迎えにいくのではなく、読書はノイズがあり回り道や寄り道をして行く、物語が少しずつ回りくどく展開しながらたどり着けるところ。

 

読書は仕事と両立できる楽しい場所だとぼくは感じた。

 

◎234P 働いても本が読める社会

本を読むことは、自分から遠く離れた他者の文脈を知ることである。しかしそれは遠く離れているとはいえ、自分と完全に切り離されているわけではない。いつか自分につながってくる文脈なのかもしれない。

本が役に立つかどうかなんて関係ないという人がいるが、あなたの今の文脈にすぐつながるかどうかは分からないくらい遠いかもしれない、と述べているにすぎない。だが私は、この世の知識はいつかどこかで自分につながってくると思っている。他者とは自分と違う人間だが、それでも自分に影響を与えたり、自分が影響を与えたりするのと同じだ。

遠く離れた他者もまた、いつかあなたとつながる文脈にいるかもしれない。

働きながら、働く以外の文脈を取り入れる余裕がある。それこそが健全な社会だと私は思う。

働いていても、働く以外の文脈というノイズが、聴こえる社会。

それこそが、働いても本が読める社会なのである。

 

 

 <目次>

まえがき 本が読めなかったから、会社をやめました

序章 労働と読書は両立しない?

第1章 労働を煽る自己啓発書の誕生―明治時代

第2章 「教養」が隔てたサラリーマン階級と労働者階級―大正時代

第3章 戦前サラリーマンはなぜ「円本」を買ったのか?―昭和戦前・戦中

第4章 「ビジネスマン」に読まれたベストセラー―1950~60年代

第5章 司馬遼太郎の文庫本を読むサラリーマン―1970年代

第6章 女たちのカルチャーセンターとミリオンセラー―1980年代

第7章 行動と経済の時代への転換点―1990年代

第8章 仕事がアイデンティティになる社会―2000年代

第9章 読書は人生の「ノイズ」なのか?―2010年代

最終章 「全身全霊」をやめませんか

あとがき 働きながら本を読むコツをお伝えします

註・参考文献一覧

 

三宅香帆 さん

文芸評論家。1994年生まれ。高知県出身。京都大学大学院人間・環境学研究科博士前期課程修了(専門は萬葉集)

著作に『(読んだふりしたけど)ぶっちゃけよく分からん、あの名作小説を面白く読む方法』、『推しの素晴らしさを語りたいのに「やばい!」しかでてこない―自分の言葉でつくるオタク文章術―』、『文芸オタクの私が教える バズる文章教室』、『人生を狂わす名著50』など多数。