【No1623】谷から来た女 桜木紫乃 文藝春秋(2024/06) | 朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~

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六つの連作短篇集であり、桜木紫乃さんの真骨頂であった。底力を魅せつけられたおとなの作品だった。

 

いつものように、出身の北海道を舞台にしたものであり、鼠色のどんよりとした雲が全体に深く重く漂っていた。

 

アイヌの歴史や民族に関しては、簡単には語れないものだ。

 

アイヌ出自を持つ紋様デザイナーの赤城ミワは、独自のスタイルで不動の地位を確立していく。

彼女は、誰にも冷静に対応できる。相手を突き放すわけではなく、真面目で芯の強い。

触れると怪我をするのに関わらず、ミワにもっともっと近寄りたくなる。

おそろしく魅力的な不思議な女性の物語だった。

 

29P

遠慮なく酒が飲めて、一緒に食べるものが旨い。滝沢がそれだけで十分ではないかと思うのに懸命なのは、踏み込めば短命な関係を何度か経験しているからだった。長く付き合ってみたい女だが、長く付き合うためには多少の我慢が必要なのだ。

 

 

 <目次>

谷から来た女

ひとり、そしてひとり

誘う花

無事に、行きなさい

谷へゆく女

谷で生まれた女

 

桜木紫乃さん

1965年、北海道生まれ。2002年「雪虫」でオール讀物新人賞を受賞、07年『氷平線』を刊行。13年『ラブレス』で島清恋愛文学賞、同年『ホテルローヤル』で直木賞、20年『家族じまい』で中央公論文芸賞を受賞