群馬県警察本部刑事部捜査第一課の葛警部が活躍する。
彼は、上司から疎まれており、部下からも慕われていない。
無駄口を叩かず部下に的確な指示を出し優れた洞察力を発揮し問題を解決に導くのだ。
刑事たちの地道な捜査と葛警部の鮮やかな推理で進行していく。
事件発生後に普通に容疑者が浮上してくる。
真実の解明の流れが自然だった。
葛は臨場の違和感を大切にしている。
凶器の奇妙な形状、目撃証言の矛盾、死体遺棄の不自然さ、紙に放火されない事情、非常ベル作動の遅さ、等々ふと見過ごされがちな小さな疑問にこだわる。
あらゆる可能性を考え安易に目をそらさない、証拠集めをして判断していく。
鋭い観察眼と消去法でもって事件の意外な真相を暴く。
ひとつひとつ資料を基にして葛自身の目で確認し勘も重視し行動していく。
アナログ的な思考手順だったが、ぼくはそれが嫌いではなかった。
刑事ものとして十分に楽しむことができる内容だ。
これも米澤穂信さんの真骨頂だと思う。
<目次>
崖の下
ねむけ
命の恩
可燃物
本物か
1978年岐阜県生まれ。2001年『氷菓』で第5回角川学園小説大賞奨励賞(ヤングミステリー&ホラー部門)を受賞しデビュー。11年『折れた竜骨』で第64回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)を、14年『満願』で第27回山本周五郎賞を受賞。同作は「ミステリが読みたい!」「週刊文春ミステリーベスト10」「このミステリーがすごい!」の国内部門1位となり、史上初のミステリーランキング3冠を達成。翌年『王とサーカス』でもミステリーランキング3冠に輝く。21年『黒牢城』で第12回山田風太郎賞を受賞、さらに同作で22年第166回直木賞、第22回本格ミステリ大賞を受賞。また同作は史上初となるミステリーランキング4冠を達成
